令和2年

② 県営水道における災害時の体制強化について【令和2年第3回定例会 決算特別委員会】

会議日:令和2年10月14日(水)から11月2日(月)

2 県営水道における災害時の体制強化について

●ソフト事業:災害時の受援体制の強化

千葉県企業局との合同訓練の様子(県資料より)

被災時に他の水道事業者からの応援を受け入れ、速やかな応急復旧活動が行える体制を整えるため、他の水道事業者と合同で訓練を実施したほか、備品等を購入しました。

県営水道では、地震等の大規模な災害が発生した場合に職員が迅速かつ的確に行動できるよう、次の事項に重点を置き、企業庁全体の訓練を毎年4回行っています。

【重点事項】

・地震のほか浸水や停電など多様な場面を想定した訓練を行い、具体的な被害をイメージしてそれに対応する能力を高めること
・発災時、特に勤務時間外における手順を反復して訓練し、初動対応を強化すること
・協定を締結している水道事業者や観光事業者、応急給水を担う市町との連携協力体制を強固にするため合同訓練を実施する

平成29年9月神奈川県管工事業協同組合との合同災害対策訓練の様子(県HPより)

令和元年度の決算額は60万円となっていますが、他の事業者からの応援を受け入れる際に、応援隊が持参した器具が、県営水道で使用している弁栓類の形状に合わないことも考えられるため、貸し出すための器具を整備したもので、3種類のバルブを開け閉めする器具3種類を1セットとして4セットを購入したものです。

また、令和元年度は次のとおり合同訓練を行ったとのことです。

●応援要請に係る通信連絡訓練

●千葉県企業局
→海老名市と合同で応急給水に係る実動訓練

●観光事業協同組合
→市町と合同で災害用指定配水池での給水タンクへの注水訓練

●神奈川県石油業協同組合
→停電時を想定した非常用発電設備の燃料タンクへの給油に係る実動訓練

(意見・感想)

●千葉県企業局
「千葉県のほうでは高低差を利用して自然流下で水を配れる配水池が少なく、応急給水の際に配水池から給水車への注水は想定していないので、このような施設であることを事前に把握しておくことは実際の活動に大変参考になる」

●海老名市
「実際に現地で確認することが大事だ」

※病院の受水槽へ実際に注水する訓練をした際、当初は病院の受水槽へ階段で下るという情報を把握していたが、実際にははしごだった

受援体制を構築するためには、しっかりと被害の想定をする必要があると考えます。

例えば、断水をした場合の被害戸数や被害金額、それに対して必要な人員などが想定できないと、なかなか訓練にも役に立てていくことができません。

ソフト面の訓練は非常に大切であるため、しっかりと取り組むことを求めました。

●ハード事業:揚水ポンプ所停電対策事業

大規模災害時の揚水ポンプ所の停電対策強化のため、令和元年度からの2か年の債務負担行為を設定し移動電源車を導入しました。

※寒川浄水場に導入された電源車

令和2年第3回定例会 建設・企業常任委員会報告資料より)

今回導入した電源車は、全長が約7メートルの4トン車に相当する車両に、電圧が200ボルト、発電容量が160キロワットの発電機を搭載したもので、車両と発電機の燃料はともに軽油を使用します。

1回の給油で約4時間の発電が可能で、令和2年7月に寒川浄水場に配備されました。

令和元年度は電源車と揚水ポンプ所を速やかに接続するための設備を設置するため、3か所の揚水ポンプ所の電気設備を改造を実施し、決算額は1,558万円余りでした。

電源車の購入については、令和元年度から2か年の債務負担行為(*)を設定して購入契約を結んでおり、令和元年度は政策期間であったため計上した額はありません。

*債務負担行為:数年度にわたる建設工事や土地の購入等において、翌年度以降に支出する経費支出など、将来の財政支出を約束する行為。

※寒川浄水場

電源車は緊急時に迅速かつ的確に運用することが最も重要であり、24時間365日ポンプ所等の運転状況を監視している寒川浄水場に配備することで、いつでも出動できるよう準備しています。

また、電源車の運用マニュアルを作成するとともに、発電機の起動や停止、ポンプ所側の受電設備との接続などの一連の作業について定期的に訓練を実施するなど、ソフト対策に取り組むとのことです。

この電源車は揚水ポンプ所で配水池に水を揚げるために使用することを想定しています。

揚水ポンプ所から配水池に水をためるところであれば、たまっている水がなくなるまではすぐには断水しないため、水の容量の減り方を見ながら、減り方の激しいところから順に回っていくとのことです。

県内には神奈川県内広域水道企業団、神奈川県、横浜市、川崎市、横須賀市の5つの事業体がありますが、現在のところ、ほかの事業体で利用することは想定していません。

緊急時に備え、トラックで運べる2トン車程度の可搬型の発電機も2台用意しており、災害時な複数利用しながら対応していくとのことです。

災害が同時多発に起きたような場合や、現在導入された寒川浄水場から電源車が移動できない場合に、可搬式の発電機があるとはいえ、各5事業体が連携する必要性はあると考えます。

今後はそういった方向性を視野に入れ、災害に強い水道事業を構築していただくことを求めました。

当日の質疑の様子は、県HPからご覧いただけます。

神奈川県議会議員:佐藤けいすけ

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