令和2年

① ダムのしゅんせつ土砂の有効活用について【令和2年第3回定例会 決算特別委員会】

会議日:令和2年10月14日(水)から11月2日(月)

1 ダムのしゅんせつ土砂の有効活用について

※しゅんせつの様子(県資料より引用)

相模貯水池は、湛水を開始してから70年以上が経過し、上流から流入する土砂によって貯水池内の堆砂が進行しています。

堆砂を放置すると貯水池内の河床高が上昇し、上流部で浸水災害を発生させる恐れがあることや、利用可能な水の量が減少することから、堆砂対策が必要となります。

そのため、上流域の災害防止と、県民の大切な「水がめ」としての機能を確保するため、相模貯水池等に堆積した土砂(堆砂)を除去し、 しゅんせつした土砂の有効活用を図る事業を行いました。

令和元年度事業費は1,294,170千円で、予算に対し残額が1億2,587万円余りとなりました。

主な理由としては、予定していた工事を入札したところ、残額が4,893万円となったこと、また、骨材として利用すると見込んでいた土砂量が東日本台風の影響により搬出できなかった分、執行残が7,032万円ほどとなったことによるものです。

しゅんせつにより生じた土砂は、コンクリート用骨材に優先的に活用し、良質な砂については養浜事業や河川の置き砂などに活用されます。

養浜事業

茅ヶ崎海岸は、相模川にダムが建設され昭和30年代に大規模な砂利採取が行われるなどの都市開発が進み、河川流出土砂量が激減したことで砂浜全体が減少し、更に、漁港や海岸構造物など沿岸漂砂の移動を阻止する施設が建設された結果、局所的な侵食が急速に進行しました。

 そのため、山、川、海が連携した総合的な土砂管理の取組みが大変重要な地域です。

茅ヶ崎海岸(中海岸地区)侵食対策事業(県HPより)

養浜事業は平成13年から行われ、これまで32万立法メートルのしゅんせつした土砂を活用してきました。

令和元年度は1万3,000立方メートルの砂を活用し、費用は、運搬費等を県土整備局と2分の1ずつ負担し、6,084万円余りとのことでした。

茅ヶ崎海岸の中海岸地区では、養浜により砂浜が回復し、台風のときでも波消し機能により被害は発生しなかったなどの効果が確認されているそうです。

河川の置き砂

県では、河川からの土砂の減少を食い止めるため、しゅんせつ土砂をダム直下に置き、洪水(ダムからの放水)時に土砂を自然に流し、相模湾に土砂が流れ込むようにする「置き砂」を行っています。

この事業は平成20年度から行われ、これまでに1万3,000立方メートルの土砂が活用されています。

令和元年度は2,000立方メートルを搬入し、その費用は運搬費分1,491万円余りとなっています。

置き砂は、生態系へ影響させずに土砂を流すことを目的としていますが、モニタリング調査の結果では、生態系に影響なく土砂を流すことができているとのことです。

※平成28年3月「相模川流砂系総合土砂管理計画(今後の実施方針)」より

養浜の効果はかなり大きいと感じましたが、置き砂に関してはまだまだ効果が見えづらい印象です。

河川の一部では上流からの砂が流れていない区間もあることを考えると、今後の活用についても期待できると見込まれるため、取り組んでいただきたいと述べました。

令和2年度相模貯水池堆積土砂しゅんせつ工事区間

近年の激甚化する豪雨により、ダムへの土砂の流入量が約26万立米増えてきていると言われ、今後も大量の流入が想定されます。

一方で、年間の目標しゅんせつ量は15万立米となっており、貯水量の低下を避けるためには、しゅんせつ土砂の活用先の開拓のほか、機敏にしゅんせつを行える体制づくりが必要と考えます。

川の水とともに流れ込み、ダムに堆積する土砂は、ダムの機能を低下させる原因となり、これを取り除く貯水池のしゅんせつはダムがある限り継続していかなければならず、埋立て処分もいずれ限界がきてしまいます。

今後も企業庁と県土整備局が連携し、しゅんせつ土砂を養浜や置き砂等に有効活用して、土砂環境の改善に向け、しっかりと取り組むことが求められます。

昨年度の1億2,000万円の執行残は台風19号の影響で土砂が搬出できなかったとのことですが、今年度から令和11年度まで「相模貯水池堆砂対策事業」として新たに取り組むこととなっており、ぜひ効果的な事業となるよう求めました。

神奈川県議会議員:佐藤けいすけ

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