会議日:令和2年10月14日(水)から11月2日(月)
3 水源環境保全・再生事業会計における市町村事業推進費について

県では、将来に渡って安心して水を利用していただくため、平成19年度から水源環境保全再生事業を実施しています。
この事業は、広域的な視点で県が中心となり推進していますが、その他地域水源林や生活排水施設の整備など市町村が主体となって推進してきた事業を特別対策事業に位置付け、水源環境保全税を財源として支援を行っています。
令和元年度はこの事業に4,850万円の不用額が生じており、内容について確認しました。
●地域水源林の整備
→整備内容の見直しや面積の減などにより不用額約2,880万円
●河川・水路整備
→工事範囲の縮小や出来高による精算などにより不用額1,230万円
●生活排水処理施設の整備
→事業の中止や設置見込み数に対し実績がすくなかったことなどにより不用額670万円

※生活排水処理施設の整備促進対象地域
高度経済成長期から「トイレの水洗化」を目的とした「単独処理浄化槽」が急速に普及しました。
単独処理浄化槽(みなし浄化槽)は「トイレの水」のみを処理し、生活雑排水を処理しないため、生活雑排水も併 せて処理する「合併処理浄化槽」に比べて、汚れの量が8倍になります。
「生活排水処理施設の整備」とは、生活雑排水を処理する下水道、合併処理浄化槽、農業集落排水施設などを整備することをいいます。

※生活排水処理施設の整備(改訂 神奈川県生活排水処理施設整備構想より)
市町村事業推進費の中でも、生活排水処理施設の整備促進事業費が7億円を超える一番大きな額となっています。
このうち4億7,000万円がダム集水域における下水道整備事業費であり、残りの2億4,000万円は合併処理浄化槽の整備費です。

※相模川水系・酒匂川水系取水堰の県内集水域(H19~H30)(県HPより)
県内の生活排水処理率については、98.1%となっていますが、個別にみると都市部は100%を超えている一方で、山間部等の地域では処理率が低い市町村も見られ、ダム集水域では70%程度にとどまっています。
ダム集水域の生活排水処理率は、水源環境保全再生施策の導入前は40%台であったため、大幅に向上していますが、計画の残り7年間で100%を目指すのは厳しい状況です。
県は今年度から個人負担となる住宅内の排管費用について国と協調して補助を拡大しましたが、この制度を活用するためには市町の制度改正が必要となるため、市町に対し制度の見直しを働きかけていくとのことです。
また、公共下水道の整備については、山間部や急峻な地形での工事の進捗が遅れていることから、市町へのヒアリングにより課題を共有し、対応策を検討していきます。

※公共下水道(汚水)整備状況図(神奈川県の下水道事業より)
生活排水処理施設の整備については、整備後の維持管理が負担になっているとの声を伺っています。
県としては、市町村事業推進費を下水道などの公共施設や浄化槽のメンテナンスなど恒久的に必要となる事業に充当する考えはないとのことでしたが、水源地域の水質保全の観点からも今後議論は必要となってくることから、検討を求めました。
神奈川県議会議員:佐藤けいすけ