会議日:令和2年12月4日
2 地域資源を活かす取組について
(2)社会教育施設等を活用した感染症の歴史等の周知について
世界的に流行している新型コロナウイルスが、あらゆる分野に影響を与えています。
感染症の恐怖に対しては、新聞を始めとするメディア、保健所や病院、国・自治体からの情報が頼りで、混乱してしまうこともあると実感させられました。
100年前のスペイン風邪の流行時もその混乱ぶりは今の状況を思わせるものであったとされ、マスクの着用習慣はこの時から定着したとも言われています。

そのような状況下で、図書館、博物館などの社会教育施設が果たす役割があると考えます。
県内も含めコロナ禍で多くの社会教育施設等は感染症対策による臨時閉館をよぎなくされましたが、それから数か月がたち、各地の社会教育施設等では過去の感染症を紐解き、歴史を教訓として伝える試みもなされています。
■秋田県立図書館や香川県立図書館
新型コロナウイルスなどの感染症に関する本を展示し、県民に対し情報提供を行っている
■岩手県立博物館
コロナ禍において、歴史の中の「今」の情報・資料を提供してほしいと県民に呼びかけるなど、積極的に記録や資料収集を図っている
■千葉県文書館
残された古文書・公文書等から、江戸時代以降の疫病と向き合った人々の足跡の一端をたどっている
■滋賀県立公文書館
感染症との闘いの歴史を、公文書等から紹介
■寒川文書館
「記録に見る流行病」と題した特別展を感染症拡大防止のためWEB上で展示し、来館することなく感染症に関する情報を提供する取組を行っている
このような社会教育施設等でのこれまでの感染症に関する資料の収集は将来にまた起きうる感染症への対策の一助になると考えられます。
また、企画展などのタイムリーな情報の発信は感染症や今後のコロナ対策の教訓も含め、社会行動や個人の感染防止策に有効であることから、資料をデジタル化したうえで、感染状況により展示ができないような場合には、WEB上で公開することで県民に対する周知につながるのではないでしょうか。
そこで、社会教育施設等を活用して、これまでの感染症の歴史等を県民に知ってもらう機会を設ける考えについて、教育局長に見解を伺いました。

教育局長答弁
県立社会教育施設等では、県民の皆様の生涯学習を支援するため、収集・保存している資料等を活用して、社会の様々な出来事に関する展示等を行っており、例えば、平成25年には、県立図書館において、東日本大震災等の震災に関連する資料展示として、『記録に見る関東大震災・東日本大震災』を、県立公文書館と合同で開催しました。
今回のコロナ禍に際しても、これまでの感染症の歴史を振り返り、過去の状況をお知らせすることで、県民の皆様が感染症に、より適切に対応していくきっかけにしていただきたいと考えています。
そこで、川崎図書館の情報紙では、大正7年頃に流行した、インフルエンザの一つである、いわゆる「スペイン風邪」について記述した製薬会社や生命保険会社等の社史を紹介し、この6月からWEBで配信しています。


また、来年2月には、県立図書館と県立公文書館が合同で、感染症が流行したその時々の新聞記事等をデジタル化した資料や関連する図書を、WEB上で展示する予定で、現在その準備を進めています。
内容は、明治35年頃から県内で流行した「ペスト」や、大正時代の「スペイン風邪」に関する資料のほか、疫病(えきびょう)退散(たいさん)を願って奉納した『湯河原の鹿島踊』に関する資料の紹介等も計画しています。
県教育委員会では、こうした社会教育施設等を活用した取組により、県民の皆様に感染症の歴史に関する情報をしっかりと伝え、新型コロナウイルス感染症の拡大防止につなげていくとのことです。

本県はダイヤモンドプリンセス号の集団感染に真っ先に対応した県であり、この事実を始め、この2020年県民に大きな影響を与えているあらゆる事実は、今後歴史的な検証を多く受けると思います。
その際にあらゆる資料収集や研究の対象とされることは、数十年、数百年立った後世において、意義があることであり、100年前のスペイン風邪の混乱を見ても、感染症一般の心構えができていれば、あらゆる分野で社会混乱を抑えることに繋がるかもしれません。
その役割の一端は社会教育施設が担っていると考えます。
今回、2月に企画展の開催という前向きな答弁をいただきました。引続き取り組みを求めました。