会議日:令和2年12月4日
1 県民の安全・安心を守る取組について
(2)県が管理する登山道の復旧と今後の整備について
昨年の台風19号の影響により、丹沢でも登山道の崩落等により多くの封鎖箇所があります。
県では、自然環境保全センターが中心になり、自然公園指導員や山岳団体、山小屋と連携し、登山道の状況把握と復旧にあたっていますが、長期に渡って登山道の通行止めが複数あることは、ある山域から一方向で抜けてくる時に、登山道の封鎖を知らずに引き返したり、方向転換を迫られ山岳遭難に繋がるケースもあり、安全の管理上からも望ましくないほか、山小屋の荷揚げ活動に影響がでているとの話も聞いており、早期の復旧が望まれています。
こうした中、山小屋の関係者や登山者から木道の設置が多すぎるという意見も頂いています。

木道はステップが短く、足を置きにくいものや、滑るため木道を避けて歩くといった状況が見受けられます。
登山道のオーバーユースを防ぐため、木道の増加は踏圧による植生の衰退、土壌流出を防ぐために一定の理解はしますが、木道といっても人工物であり、劣化による撤去負担が生じたり、将来の財政負担等を考慮して一律木の階段にするのではなく、一定の基準を設けて設置することが望まれます。
丹沢では三ノ塔などで、石の荷揚げを登山者に手伝ってもらうなどの歩荷と呼ばれる文化があり、例えばこの石を適切に使用した自然工法をもっと多く用いるなど、撤去負担が生じない工夫やできるだけ人工物を用いずに、関係者が少しずつ補修できるような仕組みをつくっていくことも考えられます。
そこで、県が管理する登山道について、損壊箇所の復旧にどのように取り組んでいくのか。また、今後、登山道全体の整備にどのように取り組んでいくのか、環境農政局長に見解を伺いました。
環境農政局長答弁
①登山道の復旧について
2019年の台風第19号の記録的な豪雨により、丹沢大山の自然公園の登山道では、46路線中6路線の11箇所で損壊被害が発生しました。
このうち、東丹沢にある二ノ塔・三ノ塔区間の登山道など4箇所については、既に復旧が完了し、現在2箇所の復旧工事を進めています。
一方、残りの丹沢山・本谷川区間の登山道など5箇所については、登山道に至るまでの林道などの復旧工事が完了していないため、遅い所では来年度末まで、登山道の復旧に着手できない状況です。


そこで今後は、林道工事中であっても、重機による作業で通行できない区間の工事が終了し、登山道まで通行可能になれば、直ちに登山道工事に着手できるよう、林道事業者と調整して早期復旧に努めるとのことです。
②登山道全体の整備について

県では、多くの登山者により植物が踏み荒らされたり土壌が侵食されたりするのを防ぐため、木の階段や木道を設置していますが、主要な登山道は、初心者から熟練者まで様々な登山者が利用しており、一部の方からは「階段の歩幅が合わず歩きにくい」「木道が滑りやすい」などの声が寄せられています。
また、木材ではなく、山にある石を階段に使うなど自然環境に配慮すべきといった意見も伺っています。
県では、木道などの設置は、自然環境保全のための必要最小限としていますが、今後の登山道の整備にあたっては、現地に詳しいボランティア等とも連携して、自然石の利用や、できるだけ人工物を使わない工法の導入など、工夫改善していくとのことです。
できるだけ早期の復旧に努めるとともに、自然環境の保全と、登山者が安全で快適に利用できる登山道を整備するため、ボランティア等とも相談しながら自然石などを活用するほか、”この場所に本当に木道が必要なのか”といった観点から取り組むことも必要と考えます。
