会議日:令和2年12月11日【子ども・子育て・高齢社会対策特別委員会】
地域包括ケアシステムにおける市町村支援について
★「地域包括ケアシステム」とは
「地域の実情に応じて、高齢者が、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、介護予防、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制をいう。」とされています。
地域包括ケアシステムが目指す方向性の1つとして、社会福祉法の改正により、令和3年4月から、市町村が、地域住民に高齢・障害・子育て・生活困窮など、分野を問わず対応し、包括的に支援を行う重層的支援体制整備事業を実施できるようになることから、同事業を実施する市町村を支援する必要があります。(資料p.6)
そこで、次のとおり質疑しました。
重層的支援体制整備事業について、何がどう変わるのか?
これまで個別に措置されていた法律を社会福祉法に一旦集め、一括した執行を図る
取り組む市町村は少ないことが見込まれるがなぜか?
各分野でセクションが分かれ、まだガイドラインも示されていないため様子見か
市町村にとってこの事業は、高齢・障害・子育て・生活困窮など各分野の事業を一括して行うことができ、柔軟な対応ができるというメリットがある一方で、現状は各分野ごとに担当セクションが分かれていることが多く、これを包括的な対応に変えていくのか検討する期間が必要であるほか、国のガイドラインが示されていないことなどから、市町村の動きは慎重になっています。
町村などの規模が小さい自治体にとっては実施しやすいと考えるがどうか
一概には言えない。地域の実情にあた方法を一緒に検討したい。
小さい自治体であれば、例えば、福祉課というセクションの中で高齢も障害も子育てもすべて対応しているというような状況があり、そういった意味では、包括的な支援体制をつくりやすいという部分はあります。
一方で、規模の小さい自治体の場合、「そもそもマンパワーが不足している」、「あらゆ
る分野に精通した知識を持っている人材が少ない」といったこともあり、新たな取組みに対応する余力がない実情もあるため、一概に規模の大きい小さいということだけで、こうした新しい重層的支援に対しての整備をしやすいしにくいということは言えません。
それぞれの地域の実情に合ったやりやすい方法を、これから県も一緒に検討していくとのことです。
本事業を実施することでどのような効果が見込まれるのか
モデル事業を実施したところ、連携がスムーズになったとの意見があった
本事業は、これまで全国でモデル事業が実施されてきました。
国の資料によると
《メリット》
・いろんな分野にまたがるそれぞれの専門部署の間で連携がスムーズにいくようになった
・これまで対応できなかったようなケースに対応できるようになった
・職員自身の意識が改革されて意識が高まったと
《デメリット》
・解決するまでに時間がかかるケースを抱えることが多くなり、職員の負担がこれまで以上に増したといった現象も生じているということです。
市町村の現状からして県としてのバックアップする必要性を感じるが今後の取組みは
人材育成や先行事例の共有などを通じ市町村を後押ししていきたい
複雑化・複合化した社会問題がたくさん顕在化してきています。
こうした課題に対して、県としては住民に身近な場所にある市町村の職員が対応することが、一番効果的であると捉えています。
一方で、こうした市町村に対しまして、国や県はしっかりとバックアップをしていくということも、今回の社会福祉法改正の中に盛り込まれています。
県では今後、本事業に取り組む市町村に対し、人材の育成あるいは先行する取組事例の共有などを通じて、後押ししていくとのことです。
県としてのまだ実績はまだ出ていない中ではありますが、ぜひ積極的に市町村に寄り添い、事情を伺いながら進めることを求めました。
また、サポートできるところとして、研修などにより市町村の全体的な底上げに取り組むことを求めました。
神奈川県議会議員:佐藤 けいすけ