会議日:令和2年12月11日【子ども・子育て・高齢社会対策特別委員会】
インクルーシブ教育の実践推進校の指定について
★「インクルーシブ教育」とは…
共生社会の実現に向けて、すべての子どもが同じ場で共に学び、共に育つことを通して、お互いを理解し、尊重し合う教育のこと
県は平成30年10月「県立高校改革実施計画( Ⅱ 期 )」において、パイロット校3校に加え、新たに11校をインクルーシブ教育実践推進校に指定しました。
3校に加え新たに11校指定した理由は
県内の全地域の知的障がいのある生徒が、実践推進校を受験できるようにするため
県教育委員会では、知的障がいある生徒が高校教育を受ける機会を拡大するため、平成28年4月にパイロット校3校を指定しました。
このパイロット校3校では、連携募集による入学者選抜を実施していましたので、志願できるのは各パイロット校と連携した中学校に在籍する知的障がいのある生徒に限定されており、地域も限定されていました。
そこで県内の全地域の中学校に在籍する知的障がいのある生徒が、実践推進校を受験できるように、県立高校改革実施計画の2期で、3校に加えまして新たに11校を指定し、併せて入学者選抜の高校も変更して、対象となる中学校が限定されない特別募集を実施したとのことです。
実践校の卒業生の進路状況は
進学が13.8%、職業訓練機関が27.6%、就職が41.4%、福祉関係の利用が17.2%
なぜこのような幅広い選択に結びついたのか
継続的なキャリア教育や進路相談を通し進路先のイメージを高めることができたため
実践推進校では、まず各高校の学びを基本としながら、加えてキャリア教育に関する学校設定教科・科目を設置し、3年間計画的に取り組んでいます。
その中で将来の社会生活に必要な知識、マナーやコミュニケーションといった力を向上させることを目指しています。
また、将来の職業的な自立に向けて、実践的な力を養うため、例えばパソコンに関する検定や資格取得に向けた取り組みを行っているほか、職場見学やインターンシップによる職場実習などにも取り組んでいます。
こうした継続的なキャリア教育の授業や体験活動や丁寧な進路相談を通して、生徒一人一人が自己理解や具体的な進路先のイメージを高めることができ、それぞれの進路希望に応じた幅広い進路選択が実現したとのことです。
キャリア教育について今後の課題は
今後生徒が増加するため、必要な実習先、見学先の確保に努める
幅広い進路選択に結びつけるためには、早い段階から生徒一人一人の進路希望と、その実現に向けた意欲を丁寧に教員が把握をし、進路支援の取り組みを始める必要があります。
そこで、新たに指定した11校も含め、生徒数がこれから増加することから、上級学校や産業現場における見学先や実習先を確保することが課題となります。
この課題に向け、これまでも県の教育委員会ではパイロット校がある地域の商工会や商工会議所、ハローワークなどを直接訪問し、本県のインクルーシブ教育の推進についてご理解とご協力をいただけるよう説明を重ねてきました。
また、進学をする生徒については、神奈川県専修学校各種学校協会と連携を図り、専門学校等に進学に向けた見学や体験等にご協力いただけるよう取組を進めていくことも必要です。
今後もこうした取組を継続し、必要な実習先、見学先の確保に努めるとのことです。
実践推進校でのキャリア教育における課題については、厳しい状況もあるということですが、生徒の将来の進路選択にもつながるため、引き続き支援・指導を行うことを求めました。
高校改革全体については、時代の変化もあり、私立高校や通信制の学校などさまざまな学校の選択肢があるなか、県立高校は選ばれないといけない状況です。
県立学校は地域に立脚しているという強みがあります。
引き続き県立学校の存在感を高めていくことを求めました。
神奈川県議会議員:佐藤 けいすけ
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