令和3年

② 国内外の観光客を引きつける「高付加価値コンテンツ」

国際文化観光・スポーツ常任委員会

海外からの入国制限が解除されるときに備え、コロナ禍の今だからこそ魅力的なコンテンツを作ることが重要です。

そこで来年度の神奈川県観光魅力創造協議会運営事業について伺いました。

県では、MICEや富裕層など、テーマ別にターゲットを定め、周遊・宿泊に繋がるような地域の魅力的なコンテンツの磨き上げに取り組んできました。

現在は、コロナ禍にあって海外旅行に行けない国内の富裕層や今年開催予定の東京2020を契機に比較的旅行需要の早期回復が見込まれると言われている外国人富裕層など、国内外の観光客をひきつける、特別感のあるコンテンツの充実に取り組むこととしています。

神奈川県観光魅力創造協議会とは?

ラグビーワールドカップ2019™及び東京2020オリパラを契機に、国内外の観光客の県内誘致を推進し、地域経済の活性化を図るため、県内の多彩な観光資源の発掘・磨き上げや魅力的な周遊ルートの開発を行うことを目的に設置されました。

協議会では、県内の観光資源の発掘や周遊モデルルート等を作成しています。

これらを旅行会社等に提示して、ツアー商品化などを要請し、多言語観光情報Webサイト「Tokyo Day Trip -Kanagawa Travel Info-」において情報発信しています。

MICEとは?

MICEとは、企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字のことであり、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称のこと。

※外国語観光情報ウェブサイト「Tokyo Day Trip – Kanagawa Travel Info –」より

佐藤
けいすけ

特別感のある動画コンテンツについて、なぜ協議会運営費の中で取り組むのか

課長

高付加価値コンテンツを仕立てるためには地元の皆様と連携協力が不可欠。協議会の枠組みを活用し、関係者からの意見や協力をいただく

協議会は、市町村関係団体や、観光協会ほか、交通事業者、宿泊関係団体など54団体で構成されています。その地域ならではの本物の体験、通常観光客が入ることができない施設の体験など特別感のある高付加価値コンテンツを開発するためには、地域の実情に詳しい地元の観光協会や観光事業者の皆様との連携、協力が不可欠です。

これまで協議会では、2,700を超える観光資源を発掘し、その中で富裕層向けの高付加価値コンテンツは12箇所となっています。

●鎌倉長谷の能舞台での能楽鑑賞や、能の体験

●鎌倉円覚寺での座禅、本物の日本刀での居合切り体験 など

今年度は10件の開発に取り組んでいます。

●鎌倉円覚寺の国宝、舎利殿

※一般公開はしていませんが、特別見学やプライベートな空間での僧侶との読経、座禅

●日本を代表する芸術家の北王子廬山人がひらいた鎌倉の登り窯「其中窯」での作陶体験

 そこでのミシュラン掲載店料理人による地場の旬な食材を活用した食のおもてなし

●箱根の岡田美術館における閉館後の貸し切りで学芸員が案内する特別なプラン など

来年度は5件程度の開発を予定しています。

開発にあたっては、1件1件県の職員、旅行会社の方が、具体的にどういうことができて、どういうことができないのか、課題を整理しながら訪問とお願いをしており、その中でさまざまな課題が出てくるため、簡単にたくさん作ることはできないとのことです。

 一方で受け入れる側は、「積極的にやっていきたい」、もしくは「こういう特別な旅行をやりたい」と一緒に企画して考えていただけるところも多いため、まず数よりもお客様に刺さるような質の高いものを開発していきたいとのことです。

佐藤
けいすけ

コンテンツも大事だが、いかに誘客につないでいくのか

課長

海外の旅行会社向けにオンラインセミナーやツアーを実施して広く発信する

今年度開発したコンテンツは2月に主に富裕層向けの旅行商品を扱っているヨーロッパの旅行会社を対象としたオンライン商品セミナーを開催し、製品化に向けてPRしたほか、米国やオーストラリア等の旅行会社を対象に県内観光地を紹介するオンラインツアーを実施しました。

セミナーには81名が参加され、アンケートを実施したところ7割以上の旅行会社から紹介されたコンテンツにぜひお客様を送客したいと回答をいただいたとのことです。

特別感のある高付加価値コンテンツの開発は、海外からの富裕層旅行者の来訪を促すために有効な取組みであり、今後期待が持てる一方で、特別感のあるコンテンツに仕立てるためには施設側の協力が不可欠だが、施設側におけるマンパワーの問題や、通常入ることができない場所の時間帯をどこまで開放できるかなど、さまざまな制約があり、なかなか1度に短期間での開発が難しいことが課題です。

佐藤
けいすけ

コロナへの対応も踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか

課長

高付加価値コンテンツの開発とガイドの人材の育成、両方をセットで取り組むことで外国人旅行者の県内刺激での満足度を高めリピーターの確保を図りたい

来年度も高付加価値コンテンツの開発は継続される予定ですが、協議会の構成員の皆様からの協力をいただくなど関係者を巻き込みながら進めていくことが、地域の特色を活かしたコンテンツ開発を進めていく中で重要です。

あわせて、こうしたコンテンツの魅力を国内外の観光客に伝え、体感していただくため、コンテンツに関する歴史・文化等の背景やコンテンツのテーマ、ストーリー等に精通する専門性の高いガイドの育成等ソフト面の充実にも取り組んでいくとのことです。

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