子ども・子育て・高齢社会特別委員会
中途退学を防ぐための支援
中途退学の理由として、家庭の事情が考えられます。
神奈川県問題行動不登校調査によると、中途退学者2,354人のうち、経済的理由によるものが2人、家庭の事情によるものが94人で、全体からすると少ない人数であるものの、例えば学業不振や進路変更による退学者の中にも、背景として経済的な問題や家庭の事情が含まれている場合もある可能性があると県では捉えています。
家庭の事情による退学率については、全日制は全体の中の3.9%、定時制は全体の中の6.1%で、全日制に比べて定時制の方が家庭の事情などによる退学率が高い傾向があり、この傾向は例年同様の状況です。
高校生ぐらいの年代になると、自分から家庭の事情を周囲や教員に相談することに抵抗を感じる生徒も多いため、学校では教員の日常的な観察により生徒の変化に気づき、家庭の事情などで学校生活が不安定になっている生徒に対し、社会福祉の専門家である「スクールソーシャルワーカー」につなぎます。
●スクールソーシャルワーカー
家庭など生徒が置かれた環境への働きかけなどを通じて生徒の学校生活の安定を支援する。課題を解決するために活用できる社会資源、公的扶助制度などの情報について、教職員や本人、保護者に情報提供する。
保護者や生徒本人の了解が得られれれば、スクールソーシャルワーカーが直接関係機関に情報を提供し、必要があれば現地にも同行する。
高校の場合は生徒を介して保護者とやりとりするというのが一般的になりますが、スクールソーシャルワーカーが直接保護者と面談したり家庭訪問を行って助言することもあるそうです。特に外国につながりのある生徒の対応などの場合には、保護者が関係機関に相談する際に同行するといったケースがあります。
スクールソーシャルワーカーは現在の人数で役割を果たせているのか
完全とまでは言えないが、一定程度の対応はできている
県立学校におけるスクールソーシャルワーカーの配置は、小中学校への配置より遅れて、平成27年度から開始しました。
開始した平成27年度は10名、28年度は20名、29年度は25名、30年度は30名と拡充し、現在は1人のスクールソーシャルワーカーが平均して5校程度を担当し、週2日の勤務状況となっています。
退学した生徒に対して引き続き支援することは可能か
退学をしても元の担任や部活動の顧問に相談にくる生徒はおり、相談にのっている
教員もスクールソーシャルワーカーも基本的には県立学校に在籍している生徒への対応を優先していますが、家庭の事情などで高校を中退する退学する生徒には周囲に相談できるおとながいないケースもあると考えています。そうした生徒のために学校は、まずは在学中にスクールソーシャルワーカーと連携し、ハローワークやかながわ若者就職支援センター、県内に6箇所ある地域若者サポートステーションなど進学後相談できる窓口につないで退学後の進路について支援しています。
退学した後でもフォロー体制があるということで少し安心しました。
社会から孤立しないために取組みを続けていただくことを求めました。
一方で、スクールソーシャルワーカーの方の話を聞かせていただいたところ、家庭が複雑化し地域課題もかなりある中、深くヒアリングしたり、関係をつくるのに勤務の範囲だとなかなか時間が足りないとのことでした。
課題の解決には非常に時間がかかることから、現場の声を認識していただくことを求めました。