1森林資源の管理・利用について
② 森林路網の整備・管理について
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【森林路網】木材の搬出や森林の管理をするための道の総称
・林 道 木材を運搬するトラックが走る道
・作業道 伐採した木材を林道まで運搬するための、簡易な造りの道
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平成19年度から進めている「かながわ水源環境保全・再生の取組み」では、木材利用が可能な人工林について、間伐材の搬出支援を行っています。
間伐材の搬出量は年々増加し、それに伴い木材を搬出するための作業道の整備が進み、令和元年度末には、林道と作業道併せて約900km(899km)の森林路網が整備されています。
近年は、自然環境が有する多様な機能を活用し、持続可能な地域づくりに役立てていく「グリーンインフラ」という考えもあり、こうした視点からも、路網の整備が進み、水源地域の森林の状況を多くの方にみていただきたいと考えます。
※国土交通省資料より
一方で、最近は豪雨災害などが相次ぎ、一昨年の台風19号では、県営林道だけでも50路線、390箇所が被災し、作業道でも多数の被害が発生しています。
実際に山に入ると、森林整備のため設置された作業道がその後数年使われず、管理されていないケースもあり、そうした作業道は大雨の際に「みずみち」となり、山を壊す原因となる場合があります。
路網を適切にメンテナンスすることは、森林整備や木材の搬出だけでなく、治山や災害防止の観点からも重要です。
昨年度、国では今後の路網整備の在り方の検討と技術基準等の改正を行っており、県でも、頻発する豪雨災害等を踏まえ、路網の基準などの見直しやメンテナンスを考える時期が来ていると考えます。
そこで、森林資源の有効活用や森林の適正管理、災害防止等様々な観点から、今後ますます重要となる森林路網の整備と管理について今後どのように取り組んでいくのか見解を伺いました。
環境農政局長答弁
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【県内の林道】
県営及び市町村営合わせて215路線、総延長601㎞。
整備の進捗度の目安である森林面積1ヘクタールあたりの延長は、全国平均の約1.4倍
【県内の作業道】
総延長297㎞。直近5年間で約3倍と大幅な伸び。
森林面積1ヘクタールあたりの延長は、全国平均の約3割にとどまる
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(1)森林路網の整備
木材の有効活用や、定期的な巡視などをさらに強化するため、今後は、整備の遅れている作業道を中心に森林路網の充実を図るほか、新たに整備する際には、可能な限り道の勾配を緩くすることや、排水のための溝をこまめに設置し、路面を流れる雨水を分散させることなど、災害防止対策を徹底するとのことです。
(2)森林路網の管理
既存の森林路網は、老朽化した舗装の打ち換えや排水施設の付け替えなどを行い、路網の長寿命化を図るとともに、日頃のメンテナンスについても、崩れた土砂の除去や路面の浸食防止など、災害を未然に防ぐ対策を充実させます。
これらの対策については、作業道の整備や管理の考え方を定めた県の「森林作業道作設指針」を見直し、森林路網を整備・管理する市町村や森林組合等に周知するとともに、自ら災害に強い道づくりができるよう、技術的な指導をしていくとのことです。
再質問
作業道の作設指針は、いつ頃見直し、運用を開始する予定なのか
年内に見直しを行い市町村等に周知を図り、来年度当初から運用を開始したい
森林路網の管理に関して前向きな答弁で新たな方針も示されました。
森林路網がなければ切り出した木材・残置材も搬出できません。
沢や河川に流れ出す木が下流域に影響を与え、災害の一因になることを非常に懸念しています。国の「流域治水」という考え方を踏まえたうえでも重要です。
佐藤自身も、以前林道の水の流れが山を崩している状況を県に通報したことがあります。
路網の復旧には、予算と時間が相当かかることから、日頃から路網の状況を確認できる仕組みづくりに取り組むことを求めました。