令和3年

10月1日厚生常任委員会 【① 今後の地域医療体制】

今後の地域医療体制

※県の地域医療構想の考え方をまとめたリーフレット「どうなる?将来の神奈川の医療

先日の代表質問において、「新型コロナウイルス感染症の急拡大を契機とした今後の地域療養体制」について伺いましたが、限られた医療資源の中で、感染症以外の医療も含めて、今後医療と地域が両立していく将来像を示すことが必要と考えます。

そこで、地域療養の今後の方向性について質疑をしました。

○地域療養の神奈川モデル

新型コロナの自宅療養者のうち悪化リスクのある方等に対し、地域の看護師が毎日電話による健康観察を行うほか、必要に応じて自宅訪問して対面により症状を確認し、24時間電話相談窓口の開設する事業で、地域医師会の医師は、看護師からの相談を受け、オンライン診療や検査を行い、入院が必要と判断した場合には入院調整を行うなど、「地域医療の視点」から効果的に療養サポートを行います。

10月1日現在、8地域14市町で実施され、10月から海老名市が加わるなど今後全県で展開していく予定ですが、実施にあたって看護師の確保や、医師が自宅に伺う環境をいかに作るかなど課題があります。

この3ヶ月ほどの間に、県は「早期薬剤処方の推進」や「中和抗体薬治療(カクテル療法)の取組み」、「抗原検査キットの活用」など、地域での医療体制を強化してきましたが、一方で、今後も未知のウイルスや変異株の脅威も想定される中、自然免疫をつけて感染しない身体づくりや後遺症への対処は地域で取り組む必要があると考えます。

地域療養の今後の取組みと方向性は

将来に活用できるものを視野に入れながら仕組みづくりを進める

アフターコロナの世界について明確な方針が固められる状況ではないものの、今後の超高齢社会で自宅療養の方が増える中で、地域療養の神奈川モデルで構築した医師が自宅に訪問する仕組みは非常に有用です。

また、今後新型コロナがインフルエンザと同じ5類感染症になったとしても、ワクチン接種は続くことが想定され、ワクチンの接種対象や体制づくりはどうしていくか、副反応はどうかなど、情報の蓄積がされていくと考えられます。

これまで医療上の情報の蓄積はそこまでありませんでしたが、自宅や宿泊での療養、入院された方の症状の変化をシステムで一元的に管理する仕組みが構築され、引き続き将来に向かった活用できるものは視野に入れながらきちんと仕組みづくりをしていくとのことです。

埼玉県の記者発表資料より

後遺症については埼玉県で取組みが始まり、東京都もリーフレットを作成しています。
現在も地域の診療所等では後遺症対応をしていただいていると思いますが、県のサポートも必要であると思い、地域療養の神奈川モデルとの組み合わせる考えについて質疑しました。

実際に回復後の療養をされている方がいらっしゃるとの報告もあります。
今後、地域療養の神奈川モデルにおいて後遺症や回復期に向けて事例の共有やかかりつけ医を通した支援体制についてまだまだできることがあると期待しています。

○ICTを活用した医療連携

県のHPより

地域医療を促進するためには、関係機関が情報を共有する体制が必要です。

県では、新型コロナの自宅・宿泊療養者の方にLINEで体調や症状を入力してもらい、医療機関から得た情報などもあわせて、多職種連携のためのクラウドシステムのTeamで患者情報を一元的に管理しており、ICT技術を活用して業務の効率化を図ってきた点は評価しています。

ICTを活用した取組みの効果や、医療機関との連携に対する課題は

情報をひとつに集約すること、取り扱う情報の範囲等が課題

パソコンをほとんど使わずFAX等で対応する診療機関もあるため、あらゆる医療機関にICTを活用していただき情報を集めることが一つの課題です。
また、個人情報の問題もあり、どの範囲まで情報を共有できるかももう一つの課題です。
例えば、中和抗体療法では一人あたり1回しか実施してはいけないこととされているため、実施するすべての医療機関に入力を依頼しています。
正確な情報を共有し、事故を起こさないことを引き続き検討していくとのことです。

神奈川県地域医療介護連携ネットワーク構築ガイドライン

コロナに限らずICTを活用した情報共有を今後どのように取り組むのか

これまで費用負担の合意形成やガイドラインを策定し、モデル事業を支援

県では令和元年8月に、病院、診療所、訪問看護ステーション、福祉施設、歯科診療所や薬局など地域の医療介護の関係者が患者さんの情報を共有するネットワークを構築運用するにあたって、あらかじめ費用負担などの合意形成を図ることや、システムの標準規格などを定めたガイドラインを策定しました。

その上で、このガイドラインを備えたモデル事業として令和2年度に横浜市鶴見区を中心に進められている「サルビアねっと」を支援しています。
こちらには現在113施設が参加していただいており、1万人以上の患者さんの情報共有が行われています。
今後、サルビアねっとにおける成果・課題を検証し、各地域でのネットワーク構築での支援のあり方を検討するということです。

情報共有の推進には個人情報等の課題があるものの、業務効率の改善を進めるものであり、医療と地域ケアが一体となり推進していくことに期待しています。
地域療養モデルを進めたことを契機に、第6波に備えることを求めました。

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