会議日:令和4年6月20日
令和3年12月に国立成育医療研究センターが実施した「2021年度新型コロナウイルス感染症流行による親子の生活と健康への影響に関する実態調査」によると、小学5~6年生の9%、中学生の13%に、中等度以上の抑うつ症状が見られました。
また、抑うつ症状の事例を客観的に見て、助けが必要かどうかを尋ねる質問に対し、小学5年生から中学3年生の約95%が「助けが必要な状態である」と回答したものの、「もしあなたが同じような状態になったら誰かに相談しますか」という質問に対しては、小学5~6年生の25%、中学生の35%は「誰にも相談しないでもう少し自分で様子をみる」と回答しています。
特に、自らの抑うつ症状が重い子どもほど「すぐに誰かに相談する」割合が少なくなり、「誰にも相談しないでもう少し自分で様子をみる」割合が高くなっていました。
この調査結果から、コロナ禍の先の見えない状況の中で、心の不調や悩みを抱え込んでしまう子どもたちが一定数いることが見受けられ、子どもたちへの対応が必要と感じています。
例えば、先日開催された「黒岩知事と県民との対話の広場」~子どもと語るコロナ~においても、県として子どもの心のケアに取り組んでほしい、心理カウンセラーはいつもいるわけではない、心のケアをする人材を常駐させてほしい、心のケアに関する授業をしてほしいなど、子どもたち自身からも心のケアを望む様々な声が寄せられました。
このような子どもの心の健康課題に対応するため、県教育委員会では令和4年度、県立学校におけるスクールカウンセラーの配置や、市町村立学校でのスクールソーシャルワーカーの配置を増やすなど、子どもの心をケアする支援体制の充実に取り組んでいます。
しかし、コロナ禍の子どもが抱える心の問題は我々が考える以上に深刻であり、将来を担う子どもたちのメンタルヘルスを守るには、相談体制を一層充実させていく一方で、子ども自身が心の不調に気付き、早期に適切な対処ができるよう、精神疾患についての知識や対処法などを学び、身に付けていくことが大切と考えます。
そこで、学校において、児童・生徒が自らの心の不調や精神疾患について学び、自ら気付き、早期に対処することができるよう、県教育委員会としてどのように取り組んでいくのか、教育長の見解を伺いました。
教育長答弁
現在、学習指導要領に基づき、保健体育等の授業で子どもたちの心身の不調への対処について、発達段階に応じた指導を行っています。
例えば、小学校では、不安や悩みへの対処は、気分を変えるなど様々な方法があること、中学校では、適切な生活習慣を身に付け、ストレスの原因に応じた対処の仕方を選ぶこと、などを学習しています。
また、高校では、誰でも精神疾患にかかる可能性があることや、治療や支援を早期に開始することで、回復の可能性が高まること、などを学習しています
しかし、コロナ禍の長期化によって、閉塞感や不安、ストレス等、子どもたちの心の不調は、これまで以上に深刻化しています。こうした課題に対応するためには、子どもたちが自らの心の不調に気付き、できるだけ早く、周りの大人に訴えられるようにすることが重要です。
そこで、県教育委員会では、教職員が児童・生徒の心の変化に、これまで以上に適切に対応できるよう、教職員向け指導資料「こころサポートハンドブック」を、本年3月に全面改訂しました。
この中では、子どもの相談への適切な対応方法や、子ども自身が周りに相談する力を身に付ける指導事例などを、新たに盛り込んでいます。
県教育委員会では、引き続き、学校教育において心の不調に関する学びを進めるとともに、子ども自身の気付きを、心理の専門家であるスクールカウンセラー等につなげ、深刻化する児童・生徒の心の不調に、適切に対応してまいります。
要望
今年2月の一般質問で子どもの未病対策について伺い、その際もコロナ禍で子どもの心の面の懸念にも触れました。アメリカでは心の緊急事態宣言をだすというレベルにまでなっているそうです。心の不調はなかなか医療機関にかからないために系統的に治療計画を立てられないなどの問題点もあるそうです。
「精神疾患などの心の不調は特別な病気ではない」ということが保健体育に限らず、学校での学びの場でも繋がり、自分や回りへの気づきにつながるようなものになってほしいと思います。高校の指導要領には明記されたという答弁でしたが、精神疾患が増えてくる時期は、思春期とも言われており、高校では遅いと言う指摘もあります。
高校の指導要領を踏まえ、小中学校においても、その理解が進むよう、引き続き努めていただくよう求めました。
代表質問の様子は、県HPから録画映像をご覧いただけます。
https://kanagawa-pref.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=2789