令和4年

③ 女性デジタル人材育成【令和4年第2回定例会】

会議日:令和4年6月20日

新型コロナウイルス感染症拡大は、県民の就業面に大きな影響を与え続け、特に非正規雇用労働者や女性への影響が顕著となっています。

実際、厚生労働省の『令和3年版労働経済の分析―新型コロナウイルス感染症が雇用・労働に及ぼした影響― 』においても、「2019 年まで正規雇用労働者、非正規雇用労働者ともに増加傾向にあったが、2020 年には正規雇用労働者が増加を続ける中で非正規雇用労働者が女性を中心に大きく減少」と分析されており、本県も例外ではありません。

令和3年3月に世界経済フォーラムが公表した「ジェンダー・ギャップ指数」で日本は156か国中120位となっており、我が国の男女共同参画の現状は諸外国に比べて立ち遅れているのが現状です。長引くコロナ禍の影響は、男女共同参画の遅れを改めて顕在化させたと言えます。

※令和4年7月13日発表では、日本の順位:116位/146か国(内閣府男女共同参画局HP

国が決定した女性活躍・男女共同参画の重点方針2022の中で、第5次男女共同参画基本計画を着実に実行するため、令和4年度及び5年度に重点的に取組むべき事項として女性の経済的自立を掲げ、その具体策のひとつとして「女性デジタル人材の育成」が示されました。

女性活躍・男女共同参画の重点方針2022

就業者には厳しい社会情勢にもかかわらず、デジタル分野は人材が常に不足しています。

実際、令和4年2月4日の若宮健嗣デジタル田園都市国家構想担当大臣の説明資料『デジタル人材の育成・確保に向けて 』によると、

「デジタル人材が質・量ともに充実しているとは言いがたく、人材全体の底上げや裾野の広がり、専門人材の 育成・確保、都市圏への偏在解消等を同時に進めることが求められる」

政府をあげてデジタル人材の育成・確保を推進する

① デジタル人材育成プラットフォーム
② 職業訓練
③ 大学等における教育(リカレントを含む)等によりデジタル人材を育成する
④ デジタル人材の地域への還流を促進する

ことを目指しています。

このような中、令和4年4月26日、男女共同参画会議において『女性デジタル人材育成プラン 』が決定されました。

このプランに基づき、就労に直結するデジタルスキルの習得支援及びデジタル分野への就労支援を今後3年間、集中的に推進するものです。

同プランは、コロナ禍における女性の就労支援、女性の経済的自立及びデジタル分野におけるジェンダーギャップの解消を念頭に、「就労に直結するデジタルスキルを身につけた女性デジタル人材育成の加速化」という目標を掲げ、特に女性を対象とした取組を積極的に実施することとしています。

このプランの注目すべき点は、就労におけるジェンダーギャップ、デジタル分野における人材不足に着目し、女性×デジタル分野の視点で、女性の経済的自立を目指している点です。

プランに付随する『女性デジタル人材育成プラン事例集 』では、このような女性×デジタル分野における自治体や企業等の取組が紹介されており、女性就業者のデジタル分野へのリスキリングを通じて、所得向上に至った事例もあります。

また、今年度より愛媛県では民間企業・団体と連携協定を締結し、女性×デジタル分野によって、女性の所得向上による自分らしい生き方を促進するために、3年で500名の女性デジタル人材を育成し、10億円の総報酬額をめざす取組が始まりました。

愛媛県では、本年2月に中村時広知事が、「あたらしい愛媛の未来を切り拓くDX実行プラン」において、一人当たり県民所得を265万円から300万円へ引き上げる大胆な方針を示しており、女性デジタル人材育成はその一つとして大きな注目を集めています。

そこで、デジタル分野をはじめ様々な分野におけるジェンダーギャップの解消が重要であると考えますが、県としてどのように受け止めているのか、また、女性デジタル人材育成プランも踏まえて、本県においてはこれまでどのような取組みを行い、今後、どのような考え方で取り組むのか、知事の所見を伺いました。

知事答弁

県としても、デジタル分野を含めた、女性の参画が進んでいない分野におけるジェンダーギャップの解消は、女性の経済的自立や、ひいては社会全体に活力をもたらすことにつながり、大変重要と考えています。

そこで県では、デジタル分野を含めた理系分野への志望を促進・支援するため、「かながわ女性の活躍応援団」団員企業の女性技術者等を講師として、中学校や高等学校における出前講座を行うほか、様々な分野で活躍する女性のロールモデルを冊子で紹介してきました。

かながわ女性の活躍応援団HPより2021年度冊子

また、デジタル分野への就労を促進するため、女性からの受講ニーズが高い、ホームページの作成やパソコンの利活用などの職業訓練を実施しており、子育て中の女性でも受講しやすいよう託児支援サービスなども利用できるようにしています。

女性デジタル人材の育成は、人材確保やジェンダーギャップの解消とともに、テレワークなど柔軟な働き方を推進する観点からも大変重要です。

第4次かながわ男女共同参画推進プラン
※かながわ男女共同参画推進プラン 改定素案はこちら

今年度、計画の最終年度を迎える「第4次かながわ男女共同参画推進プラン」の改定にあたっては、こうした人材の育成の考え方を盛り込むとともに、国の「女性デジタル人材育成プラン」も踏まえながら、目標や施策の検討を行います。

今後も、デジタル分野を含めた女性活躍を進め、誰もが生き生きと活躍できる社会の実現を目指して取り組んでまいります。

要望

県のジェンダーギャップ解消に向けた取組については、理工系の学生を中心とした話でしたが、今後は女性の活躍の幅を広げるという点からもデジタル分野における取組により強く進めていただきたいと思います。

このコロナ禍で様々な考え方、取組みの変化が求められています。デジタル分野においては、再教育、学びなおすといった意味のリスキリングという考え方が大事になってくると思います。

女性のデジタル人材育成に限らず、特に期待するところとして、経済的自立や多様な働き方を図るといった意味で、今後、リスキリングの機運や支援に対して県として取り組むことを求めました。

本県に設置されたデジタル戦略本部室においても、企業との情報収集という点で、ICT推進指針にも明記しています。各局が連携して、女性デジタル育成プランへの対応に取り組んでいただきたいと思います。

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