会議日:令和4年6月20日

コロナ禍で落ち込んだ県内経済の回復に向けて、地域活性化の重要な役割を担う観光産業の再生は必要不可欠です。
県では令和4年度、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」放映等の機会を捉え、県外からの誘客や県内周遊を促進するとともに、外国人観光客の段階的回復も視野に入れて、観光資源の質の向上や観光客の受入環境整備に取組み、魅力ある神奈川づくりを推進することとしています。

※観光かながわNOW『鎌倉殿×13人の御家人たち「ゆかりの地」めぐり』特設ページより
また、令和2年3月に策定された「第2期神奈川県まち・ひと・しごと創生総合戦略」においても、国内外から神奈川への新しいひとの流れをつくることを基本目標に掲げ、地域入込観光客数のKPIについてこれまでの最高値を上回る水準を目指し、2022年度以降374万人を維持していくことを目標としています。

一方、近年災害等の発生件数が増加し、地震や水害等で観光地が被災するケースもあります。観光地が被災すると、その地域へ旅行することのリスクが高いと認識され、旅行者が減少し経済的損失が発生します。
観光客を継続して呼び込むためには、安全・安心のマネジメントが不可欠です。

先日視察した福岡県の東峰村では、九州北部豪雨の際は、道路が寸断され、観光客が住民の生活圏で実際に公民館などへの避難し、住民がお世話したことなどが非常に多かったことや対応への課題があったことなどを伺いました。
観光客や旅行者は土地勘がなく、周囲に知り合いがいないことも多い上に、事前の避難訓練もできないなど地域住民とは異なる支援ニーズがあります。
県内の観光産業と観光客を守るため、観光客の安全対策は重要です。

観光庁が「アフターコロナ時代における地域活性化と観光産業に関する検討会」の議論から、最終とりまとめを公表しました。
感染症や自然災害といった非常時における旅行者等の安全・安心の確保のための事前の備えがこれまで以上に重要となることから、自然災害や感染症が発生した際の被災者等の受入先を確保するため、平時における事前準備として、宿泊業界団体とも連携しつつ、各地の宿泊業団体と自治体との協定締結など、災害発生時等における具体的な対応に関する調整等を促進すべきであることが示されました。

災害・事故発生時に地域全体として観光客の安全を守るため、迅速な対応をとる際に、災害・事故発生時に、だれが、どこの宿泊施設に泊まっていたかなど、民間の観光関連事業者の持つ情報が観光客の安否確認のためには不可欠であり、観光産業の危機管理では、民間業者と行政の連携は重要です。
今後も多くの観光客を迎え入れ、神奈川での旅行を楽しんでいただくため、観光客の安全・安心の確保は不可欠と考えます。
そこで、観光客の安全対策について知事に見解を伺いました。
知事答弁

本県には、国内外から多くの観光客が訪れており、地域住民の防災対策だけでなく、観光客の安全安心の確保に取り組む必要があります。
そこで県では
① 国内外の観光客に対して、観光情報ウェブサイト等を通じて、最新の災害情報にアクセスできるように工夫
② 災害により交通機関が一斉に運休した場合には、観光客も通勤・通学者と同様に帰宅困難者となるため、県と市町村で確保している帰宅困難者一時滞在施設で受け入れる
③ 災害時に観光事業者が円滑に対応できるよう、「観光事業者のための災害対応マニュアル」を作成し、周知のための説明会を実施

しかし、その後、新型コロナの感染拡大により、災害対応マニュアルの周知や観光事業者等との意見交換を十分に行うことが難しい状況が続きました。そこで、今年度は、観光事業者にはたらきかけて、災害対応マニュアルの内容を周知徹底します。
また、観光産業関連団体で構成する「神奈川県観光魅力創造協議会」や、県や市町村の観光部局で構成する会議等で、改めて観光客の安全安心の在り方について意見交換を行います。
こうして把握した意見等を、今年度行う「神奈川県観光振興計画」の改定に生かしていきます。
神奈川県観光振興計画の素案はこちら(令和4年11月現在)
今後も、本県を訪れた方が安心して旅行することができるよう、市町村や観光事業者等と連携し、観光客の安全対策に取り組んでまいります。
要望
県民割と国の新しい観光支援施策が始まり、観光が全国的にも徐々に動き出すタイミングです。
そうした中で、風水害、地震などが起こる可能性を忘れてはなりません。
事業者、自治体においても、これから観光再開に向けて加熱する今だからこそ、これまでの観光客の安全対策として、改めて県としてしっかりと取り組んでいただくよう求めました。