会議日:令和4年6月20日
※厚木保健福祉事務所(県HPより)
新型コロナウイルスの感染者が県内で初めて確認されてから2年以上が経過。
「保健所や医療現場への負荷」という観点で見ると、この2年以上にわたる感染拡大への対応の中で、想定を超える大きな負荷がかかったのではないかと感じています。
特に保健所は、コロナのような新興感染症に対応する地域の要として、感染者の管理や入院勧告、搬送など、重要な役割を担っていますが、保健師などの人員は平時を想定して配置されていた上に、例えば感染者や医療機関への連絡手段は電話やファクスが中心であるなど、ICTなどによる効率化も十分に進んでいなかったと伺っています。
そうした体制で度重なる感染拡大の波に直面し、職員には量的にも質的にも大きな負荷がかかりました。
「保健所の業務ひっ迫」「機能不全の危機」という言葉も度々耳にしました。
※2022.2.21新型コロナウイルス感染症対策に関する本部会議の資料より
県ではコロナ発生当初から全国に先駆けてさまざまな「神奈川モデル」を打ち出し、取り組んできました。
これは「保健所のコロナ対応」という面では、限られた人材等の資源を効果的に活用し、省力化してコロナに適切に対応していく取組みであり、その点では一定の評価をしています。
一方、保健所の人材、特に専門職の拡充や育成には一定の期間を要します。
今後もしばらくは人材等の資源が限られた状況が続くと想定されることから、引き続き保健所の負担感を少しでも軽減し、新たな感染拡大の波にも適切に対応していくことが重要です。
そのため、県の取組みが「有事における保健所機能の維持」という点からどうであったのか、検証する必要があると考えます。
そこで、新型コロナウイルスの感染拡大に対応して、県が打ち出したさまざまな取組みについて、ひっ迫する保健所の機能維持という観点から、成果や課題をどのように捉えているのか、知事に所見を伺いました。
知事答弁
感染症から県民のいのちと健康を守るため、保健所が地域で果たす役割は大変重要です。
保健所は、今回のような非常時を想定した人員体制とはなっていなかったため、急拡大する患者の健康観察等を行うことが難しい状況でした。
そこで県では
①応援職員や民間派遣の活用により保健所の体制を強化し、特に業務が逼迫した保健師は専門的な業務に専念する体制を整えた
②市町村からも保健師等を派遣により保健所業務を支援していただいた
③患者情報のシステム入力や搬送調整を本庁で行い保健所業務の軽減を図った
④患者のフォローアップを保健所でなく地域の医師会や訪問看護ステーションが行う「地域療養の神奈川モデル」の仕組みも立ち上げた
⑤LINEを活用した健康観察やAI電話による安否確認など、ICTを活用した業務の省力化を図った
⑥高齢者や、基礎疾患を持つ方を「重点観察対象者」と位置づけ、健康観察を重点化する仕組みを導入し、保健所の業務自体を合理化した
これらの取組みにより、先般の第6波のように感染が想定を大きく超えて拡大した際にも、何とか保健所の機能を維持できたと考えています。
一方、今後の新興感染症に対応するためには、全国共通の情報基盤を整備するなど、有事の際にも保健所が効率的に業務を行えるようにする必要があります。
そこで県では、平時から国が主導して取り組むべきポイントとして、保健所の情報基盤の整備などについても、国に提言を行いました。
今後とも、感染拡大時に、保健所がその機能を維持し、県民の皆様のいのちと健康を守ることができるよう、しっかりと取り組んでまいります。
要望
本県として、2019年12月から保健所の機能維持のための対策をとり、実施した上での課題や改善点を国に提言したことは評価できます。
提言は保健所機能維持に限りませんが、本県独自で取組み行ったことが、国や他の都道府県などでも対策に至ったものもあると思います。
第7波についても感染症対策の対応について引続き抜かりなく取組むことを求めました。
答弁では言及されませんでしたが、保健所の逼迫の裏側で業務にあたって頂いた職員に仕事が集中し、業務過多から、心身の健康に影響を及ぼすことも多いとも聞いています。
こうした点も、国の方でも課題としては上がっていました。
保健所の機能の維持の点から、効率化と、有事に切り替えられる体制を引続き県として行うことを求めました。