会議日:令和4年9月19日
コロナ禍をきっかけとして、都会を離れて、自然環境の豊かな環境の中で過ごすというライフスタイルが普及してきています。
我が愛川町においても、中津川でキャンプをしながら、テレワークをするなど、これまでになかった新しい過ごし方や働き方が行われており、町としても、このように緩やかに町に関わり何度も足を運んでくれる人々に対して、川の保全など、何らかの町の活動にうまくかかわってもらいたいと考えています。
このように何度も現地に足を運びながら、地元との関わりを深めていくいわゆる関係人口は、国においても、その創出・拡大に向けた取組を進めており、本県においても、第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に位置づけ、取組を進めているところです。
多くの観光地を抱え、大都市に隣接し、働く場所としても、魅力的な本県においては、関係人口は、今後、さらに増加していくものと考えられます。
この関係人口の増加の流れを、農畜産物の供給地であるものの、人口減少に伴い担い手不足に悩む農村部にある市町村としては、人口減少を食い止め、地域を維持するために、うまく移住に結び付けたいと考えており、就農支援・農業体験や地域の魅力のウェブ上でのPRなどを行っていますが、小規模な市町村レベルでは対応に限界があります。
県では、「ちょこっと田舎・かながわライフ支援センター」における移住相談を中心に、地域の魅力を生かしたライフスタイルの発信や、地域との交流機会の創出、県内のくらしと仕事の情報提供を行っています。
一方で、他県では、県が市町村をとりまとめ、移住の相談、仕事、空き家バンクなどの住宅情報などを幅広く、ワンストップで情報提供している事例もあり、本県においても、ウェブサイトで市町村の移住施策について発信していますが、市町村の取組へのより積極的な関わりを期待するところです。
そこで、移住の促進に取り組む市町村を、県はさらに後押しをしていくべきと考えますが、広域自治体として、どのように支援していくのか知事の見解を伺いました。
知事答弁
都心から人を呼び込むためには、地域の魅力を知ってもらい、希望する地域に何度も足を運んでもらうことで、関係人口を創出し、移住につなげることが重要です。
そこで、県では、地域での暮らしに関心をもっていただくため、各地域での生活のイメージを「かながわライフ」として紹介するPR動画を作成し、都心の働く世代に向けて発信してきました。
加えて、趣味や仕事に合わせ、何度も足を運んでもらえるよう、各地域で催されている農業体験や伝統行事などのイベントと併せて、テレワーク拠点などの紹介を行ってきました。
その上で、移住に関心を持たれた方には、都内に設置している「ちょこっと田舎・かながわライフ支援センター」で、市町村と連携した移住相談やリモートによる移住セミナーなどを実施してきました。
こうした移住相談などに関し、市町村からは、移住希望者の目線に立った応対の方法等を学びたい、という要望があり、県は、センターの移住相談員を希望する市町村に派遣し、アドバイスを行っています。
また、市町村からは、関係人口の創出や移住促進の取組をさらに進めるため、「地域に関わってみたい」、「住みたい」という気持ちになるPR動画はどのように作成すればよいのか、お試し居住など、空き家の利活用はどのようにすればよいのか、との相談が寄せられるようになりました。
そこで、県では、本年度から、専門的な知識や経験を有する民間の人材を派遣することで、市町村の課題の解決に向け、支援を行うこととしました。
派遣にあたっては、PR動画作成や空き家の利活用などのテーマに応じ、最適な民間人材を市町村に派遣することで、具体的に課題を解決し、そこから得られたノウハウについては、他の市町村に横展開を図っていきます。
こうした取組により、市町村の抱える課題の解決に向け、しっかりと後押しすることで、関係人口の創出や移住促進を図ってまいります。
要望
今年度から民間人材を市町村に派遣する事業は、移住につなげるという点で評価できると思います。
また、移住という観点では、県では現在主に東京圏からの移住に焦点を絞っていますが、今、全国的にもいろいろな状況で、地方から東京都心への移住を考えている方はいらっしゃると思います。
都市部から少し離れた自然のあるところを選ぶという中で神奈川県を選ぶという視点もあると思いますし、東京にこだわらない視点というのはこれからも必要になってくるのではないかと思います。
さらに、関係人口の創出という点では、「移住促進」という目標達成だけではなく、県内において、例えば、同じ県内で移住地から繰り返し訪れていただくようなことを重視すること、要は幅広く関係人口を定義することも、県としてできる必要があるのではないかと思います。
最終的に移住の促進に繋がれば、それに越したことはないと思いますが、今後の関係人口の創出に向けた取組みとして、県としても考えることを求めました。