令和4年

④ 丹沢大山における登山者等による県民協働の取組【令和4年第3回定例会】

会議日:令和4年9月19日

丹沢大山山域における登山者数実測調査結果(調査期間:令和3年3月~令和4年2月)

先月8月11日の山の日に「丹沢大山登山者数初公表」との新聞報道があり、記事によると、「大山」が最多の年間約13万人、次いで「塔ノ岳」が約8万8千人、続く「三ノ塔」が約5万4千人と、登山者数が初めて発表されました。

この登山者数の計測は、登山ブームを背景に深刻化している丹沢のオーバーユースの実態を把握するためのものとのことですが、こうしたデータを分析活用することで、登山道のオーバーユース対策に役立てていただきたいと思っています。

私は2019年9月の第3回定例会において、丹沢大山自然再生における県民との協働について質問し、自然再生の取組を今後も推進していくために必要な担い手をどのように確保していくのか所見を伺いました。

県からは、県内の学生を対象に丹沢大山自然再生の活動報告会や登山道管理の体験企画を実施して、新たな担い手の確保・育成に取り組むとの答弁をいただきました。

これらの取組は、残念ながらコロナ禍の影響で一部の実施にとどまっていると聞いていますが、非常に前向きな取組であると評価しています。

そうした中、私は今年、福岡県の株式会社ヤマップという、登山用GPSアプリを開発・提供する会社を訪問しました。この会社は、自治体等と連携したプロジェクトを立ち上げ、様々なプログラムを展開しており、その中でプログラムの参加者が福岡県の「英彦山」という、山頂が荒廃した山の森を、再生させるための植樹を行っているとのことでした。

こうした事例を聞き、自然再生の取組には、世代や官民の立場を超えた幅広い人たちとの協働が重要であると改めて感じたところです。

第3期丹沢大山自然再生計画パンフレット
※県のHPはこちら

県は、現在、第4期丹沢大山自然再生計画の策定を進めていますが、特に登山利用に伴うオーバーユースの課題を抱える丹沢大山では、例えば登山道を利用する登山者が、自ら登山道の維持管理や補修を行うなどの県民協働の取組を一層進めていく必要があると考えます。

そこで、県は丹沢大山における登山者等による県民協働の取組をどのように進めていくのか、環境農政局長に見解を伺いました。

環境農政局長答弁

県が本年5月に公表した登山者数調査に見られるように、丹沢大山には、多くの登山者が訪れていますが、利用の多い登山道沿いでは踏み付けによる植物や道の損傷などが懸念されています。

こうしたオーバーユースによる登山道の荒廃を防ぐため、県は、登山者をはじめとする県民との協働により、登山道を守る取組みを行ってきました。

具体的には、県が管理する登山道において、自然公園指導員として委嘱されている多くの登山者が、ボランティアで巡視や危険箇所の情報収集などを行い、適切な維持管理につなげています。

※県HPより「巡視をする自然公園指導員」

さらに、自然公園指導員の有志が、登山道の巡視などを行う県の専門職員と一緒に、軽易な補修や倒木の処理を行うとともに、県と協定を結んだ山岳会などの団体が、継続的な補修等の活動を実施しています。

しかし近年、高齢化により活動の継続が難しくなったり、参加団体の裾野が拡がらないなどの状況が見られ、県民協働による登山道の管理を継続していくためには、若い人材や新たな活動団体の参入を促していくことが必要となっています。

※県HPより「補修材を作業箇所まで運搬」

そこで、現在は規模の大きな団体が行っている補修等の活動に、規模の小さい団体でも参加できる仕組みを検討し、活動の裾野を拡げていきたいと考えています。

また、コロナ禍で実施できていない、県内の高校山岳部を対象にした登山道補修等の体験活動について、感染状況を見極めながら実施に向けた検討、調整を進めます。

こうした取組により、登山者を中心とした持続的な県民協働による登山道の管理を推進し、丹沢大山の自然再生につなげてまいります。

要望

今回明らかになった丹沢大山の登山者数について調査結果が出たことは、県民の関心を引くチャンスであると思っています。
こうした結果を県民協働にも、しっかりとつなげていくことも重要です。

また、県民協働とは言いますが、神奈川県というのは東京の都心からの登山者も非常に多く、県民にかかわらず潜在的な整備に興味を持っていられる方もいらっしゃると思います。

現在の整備をする方の不足の解消に有効であるため、今後検討を行うことを求めました。

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