会議日:令和4年10月3日【文教常任委員会】
今回の報告資料では、県立高校改革実施計画や令和4年度(令和3年度施策・事業対象)教育委員会の点検・評価など、地域との関係について述べられていました。
私は地域と学校は大切な関係だと思っており、今回コミュニティスクールなど具体的な制度もふまえて、地域と学校の協働について質疑しました。
コミュニティスクール
児童生徒の教育は、学校だけが抱えるのではなく、学校・家庭・地域がそれぞれの役割を明確にして、協力して取り組むことが必要です。
そのために学校・家庭・地域が持続的に協働して教育にあたることができる学校運営協議会制度いわゆるコミュニティスクールの制度が有効です。
県教育委員会では子どもたちの成長を地域全体で支える社会の実現を目指し、地域と共にある学校づくりを進めていくため、市町村教育委員会がコミュニティスクールを導入することが重要と考えています。
小中学校の状況
市町村立小中学校のコミュニティスクールの現状と今後の見通しは
令和3年度末時点で小学校37.3%、中学校が30.5%。その後令和4年度当初には小学校で50.2%、中学校で44.6%と増加。令和4年度末時点では60%を超える設置率となる見込み
小中学校でのコミュニティスクールの導入が飛躍的に増加した理由は
関係法令の改正等により設置が各教育委員会の努力義務化となったことや、県によるさまざまな取組みをうけて、市町村教育委員会が積極的に導入を図った結果と考えています
県教育委員会ではすべての市町村教育委員会が参加するコミュニティスクールの推進に関する協議会を毎年度3回開催しています。今年度は6月に第1回を開催し、有識者による講話と、現在の活動状況について情報を共有しコミュニティスクールの効果的な導入の方策について協議を行いました。
またこの協議会にはコミュニティスクールについての知識や情報、実績を豊富に有する国から委嘱された「CSマイスター」を招き、先進的な情報を提供するなど、導入促進に向けた働きかけを行っています。
愛川町では熱心にコミュニティスクールに取り組んでいる学校がありますが、県がHPに掲載している2022年4月1日付けの市町村別のコミュニティスクールの設置校では愛川町は0校0%となっています。県に確認したところ、愛川町ではこれまで準備を重ね、6月に正式に学校運営協議会制度を開始したということです。
※県HP「コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)について」
市町村立小中学校でコミュニティスクールを導入するにあたっての課題としては、市町村によって規模や地域資源などの状況がそれぞれ異なり、コミュニティスクール推進に係る課題が異なることから、地域人材の確保であったり、小中学校一体の資金づくりなどそれぞれの市町村のニーズに合った個別の指導助言が必要であるということが1つあげられます。
県としては、コミュニティスクールの推進とともに、地域人材の確保、そして取りまとめの機能をもつ地域学校協働活動と一体的な推進を図っていくことが必要と考えています。
コミュニティスクール導入が今年度も飛躍的に増加すると思うが、教職員の負担についてはどう考えているのか
コミュニティスクールの導入前後は組織づくりや会議の運営に関する準備に加えて、保護者や地域住民等の理解を深めていく必要があるため、一定程度の負担があるが、コミュニティスクールは学校・家庭・地域が目標やビジョンを共有して何に取り組む必要があるのか等について協議する機関であるため、学校家庭地域が適切な役割分担をすれば教員の負担が軽減されると考えている。さらにコミュニティスクールと地域人材のとりまとめの機能をもつ地域学校協働活動を一体的に推進することで教師の負担が一層軽減されると期待している。
※文部科学省HP「学校と地域でつくる学びの未来」より
懸念としては、最初立ち上げる時というのはなんでもそうだと思いますが、非常に負担がかかり、それが先生への負担になってしまうと厳しいなという印象を持っていました。
それぞれの活動や地域学校協働活動が進んでいくと業務の軽減化を図れるのであれば、そういった視点からもメリットという点で学校にも共有を図っていただきたいと思いました。
県教育委員会として市町村立小中学校におけるコミュニティスクール導入促進今後どのように取組んでいくのか
県教育委員会では設置が進んでいない市町村を個別に訪問し、コミュニティスクール導入に向けて課題等を聞き取り、それぞれの市町村のニーズに応じた効果的な先行事例を提供するなど市町村教育委員会の取組みを支援していきます。
またコミュニティスクールと地域学校協働活動の一体的推進を図るために今後も引き続き市町村教育委員会のコミュニティスクール担当と地域学校協働活動担当を一同に集めた研究協議会を開催していきます。
県立高校の状況
県立高校では、県立高校改革実施計画1期の中ですべての県立高校をコミュニティスクールにすることとなり、平成28年度から令和元年度までの4年間で段階的に導入してきました。平成28年度には5校、29年度には26校、翌年には76校、そして令和元年度には全ての県立高校に導入されました。
各学校で自発的に個々に取り組み始めのではなく、県教育委員会として県立高校改革実施計画の取組みとして一律の導入したということになります。
教育委員会では、毎年各校から提出される学校運営協議会運営計画書及び報告書により、会議の開催状況や地域とともに活動を行った状況などを把握しています。
全校導入をして4年目だが、これまでの成果と課題は
また、課題に対してどのような対応をしているのか
成果 コミュニティスクールを導入したことにより、各学校からは学校運営協議会委員からの意見を学校運営に活かすことができたなどの報告があり、地域の理解と協力を得た学校運営の実現に向けて一定の効果が出ている
課題 令和2年度・3年度はコロナの影響もあり、例えば学校運営協議会を書面開催とするなど双方向のやりとりが難しく議論が深まらなかったこと、地域での活動がほとんどできなかったことなどが多くの学校からあげられている
課題への対応 県教育委員会では各学校の特色などに応じ委員を加えることができるように、令和4年4月1日付で規則を改正し、10名以内と定められている学校運営協議会委員の定数について必要な場合は10名以上の委嘱も可能とした
今後は学校の特色などに応じてさらに専門的な意見をいただける方などに委員に加わってもらうことで、学校運営協議会での議論をより深めてもらいたい
また、各校の参考としてもらうために令和3年度に5校のコミュニティスクールの好事例をまとめた学校別取組事例集を作成して周知した
コミュニティスクールの設置が進むのはいいことだが、形骸化しているという話もある
課題等が話し合われ、地域学校両方にとってのいい活動になっているのか小中、高校両方に確認をしたい
委員ご指摘のコミュニティスクールの形骸化については、地域全体で子どもを育てるという意識を深め、学校と地域の役割分担や協力体制を組織的・継続的に確立していくといった制度の意義や目的を共有しながら不断の見直しをはかる必要があると認識している
そのため、市町村教育委員会や学校に制度の目的や意義を踏まえ不断の見直しをはかるよう引き続き働きかけていく
県立高校に関しましても今の小中と同様に考えており、現在のところは学校運営協議会の委員からの意見を活かすことなどの一定の成果が出ていると認識している
意見
このコミュニティスクールは全国的な取組みです。神奈川は県立高校に関して全校導入を図ったということですが、他の都道府県も、山口県、広島県、和歌山県など、導入が図られています。
今回点検報告書では、コミュニティスクールの県立高校での導入促進を掲げていますが、今後コロナも明けてくると思いますので、しっかりと定着するよう期待したいと思います。