令和5年

② 睡眠を通じた健康づくりの推進について【令和5年第3回定例会】

会議日:令和5年9月19日【一般質問】

睡眠を通じた健康づくりの推進について

2021年のOECDの調査によると、日本人の平均睡眠時間は、OECD加盟国の中でも最下位の7時間22分であり、また、5年ごとに実施している総務省統計局の令和3年社会生活基本調査によると、10歳以上の平均睡眠時間において、本県は47都道府県中47位、最下位となっています。

ランキングかながわ[統計指標でみる神奈川]より

また、2021年版子供の睡眠実態調査によると、大人同様、日本人の子供の睡眠時間は世界で最も短く、ほとんどの年齢で推奨される睡眠時間に足りていないことが分かりました。さらに、本調査で、子供の睡眠時間は親の影響が強く関係することが分かりました。

厚生労働省は、来年度から2035年度までの健康日本21計画で、睡眠で休養が取れている人の割合を18年の78.3%から80%へ、睡眠時間が6時間から9時間、60歳以上については6時間から8時間の人の割合を19年の54.5%から60%にする目標を設定し、計画に基づき、自治体、保健関係者や国民の取組を促すとしています。

都道府県レベルの自治体でも、富山県や熊本県では民間企業と連携し、睡眠課題の分析や睡眠意識調査などを実施し、睡眠改善の施策実証を行うなど、一歩踏み込んだ施策を展開しています。

本県でも、未病産業研究会で睡眠分科会を立ち上げ、企業や大学等と連携しながら、新しい市場や商品・サービスの創出に向けた活動を推進しています。

睡眠不足が続くと、ホルモンの分泌や自律神経の働きに影響を及ぼし、生活習慣病へのリスクが高まるほか、心の健康にも大きな影響を与えると言われており、睡眠を通じた健康づくりを一層進めるべきと考えます。

県は今年度、県民の健康づくりの計画である、かながわ健康プラン21の改定を予定していると承知していますが、国の動向や県民の睡眠時間の現状を踏まえ、県の計画にも睡眠時間に関する指標を位置づけるとともに、睡眠の重要性について、さらなる普及啓発を図るべきと考えます。

そこで、県民の健康増進を図るため、睡眠を通じた健康づくりの推進にどのように取り組んでいくのか、知事に所見を伺いました。

知事答弁

睡眠は疲労の回復やストレスの解消のほか、生活習慣病を防ぐ働きもあり、未病改善に向けて大変重要です。

これまで県では、かながわ健康プラン21において、睡眠の質に関する目標を掲げ、取組を進めてきました。具体的には、地域の健康づくりのリーダーを対象とした講習会の中で睡眠を主要なテーマとして取り上げるなど、睡眠の大切さについて幅広く普及啓発を図ってきたところです。

こうした取組により、今年度を最終年とする現行のプランの評価において、目覚めたときに疲労感が残る者の割合の減少、いわゆる睡眠の質の確保について成果を上げることができました。 

一方で、睡眠の時間についても、様々な研究により、短い睡眠が健康リスクを高めることが改めて分かってきていることから、適切な睡眠時間を確保する必要があります。

そこで、県では今年度、かながわ健康プラン21の改定を行っていく中で、新たに睡眠時間の確保の視点を加え、具体的な指標を盛り込んでいくことを検討します。

また、本県の女性は全国平均に比べて睡眠時間が短いことから、女性の未病改善の総合サイト「かながわ未病女子navi」の中で、睡眠に関する情報を充実させていきます。

さらに、1,000社以上が参加する本県の未病産業研究会において、睡眠分科会や休養分科会の活動を行うとともに、健康経営のセミナーでも睡眠を取り入れるなど、企業との連携にも取り組んでいきます。

こうしたことにより、睡眠を通じた健康づくりにしっかりと取り組み、県民の未病改善を推進してまいります。

意見

睡眠の課題は、個人の管理という面だけでなく、社会全体で取り組む時代へと変化してきていると感じます。国の過労死の防止対策の案では、睡眠時間と鬱病の関係についても調査され、理想と実際の睡眠時間の差が広がるほど、鬱病や不安傾向の疑いが増加しているという傾向があると示されたということも聞いています。ほかにも認知症など様々な疾病を引き起こすリスクがあります。

それ以外にも、職場の組織の問題におきましても、ハラスメントなど、こういったものも睡眠不足が原因であると指摘する研究もあると聞いています。

こうした企業の生産性を下げるということで、睡眠不足の経済的損失というのがGDP比で約3%に相当して、国全体で年間約15兆円とも指摘する方がいると、そういう話もあります。

健康寿命日本一や未病改善を掲げる本県にとっても、こうした本県が置かれた状況というのはしっかりと見ていただきたいと思いますし、私たちの会派でも働き方改革、そして勤務間インターバルの導入の提案などを行ってきたのですが、やはりここはしっかりと睡眠の重要性を今回の計画にも位置づけて、実効性のある取組をお願いしたいと思います。

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