令和5年

④ 森林整備の担い手対策について【令和5年第3回定例会】

会議日:令和5年9月19日【一般質問】

森林整備の担い手対策について

神奈川県では、戦後、木材生産を主眼とした森林の整備が進められてきましたが、木材価格の低迷等に伴う林業不振により、適切な森林の保全・管理は困難となっていました。

特に林業を生業とする山林所有者が極めて少ない本県にあっては、林業だけでは、森林の公益的機能を維持していくことは困難であるとの認識から、水源の森林づくり事業に着手し、様々な手法で森林整備に取り組んでいることと承知しています。

このように、多様な手法による森林整備を支えているのが県内の林業会社や森林組合などの林業事業体です。この林業事業体なくしては、県内の森林を良好な状態に保ち、木材を利用して森林資源の循環を図りながら、森林の公益的機能を発揮させるために必要な森林整備を進めていくことはできません。

このような状況の中、全国的には林業の担い手確保や若返りの促進に苦慮していると聞いており、林業事業体が計画的に新規就労者を確保しつつ、より一層若返りを図っていく必要があると考えますが、これは本県でも同様であると考えられます。

加えて、近年増加している自然災害への対応や花粉症対策など、新たな課題にも対応する必要があり、森林整備を推進していくためには、それに携わる林業労働者の方々への支援など担い手対策の重要性が増しています。

本県においては、森林整備を支える林業労働者の確保について、平成21年度から、かながわ森林塾を開講し、新規就労希望者への技術の習得等の支援により、高齢化した林業労働者の若返りを図っていることは、私も承知しているところです。

今後は、これまでの取組に加えて、労働環境の改善や林業労働者の負担軽減など、より働きやすい環境を整備し、魅力ある林業の現場づくりに取り組むとともに、将来の担い手である若い世代に向けて、森林・林業の魅力をアピールしていくことが必要と考えます。

そこで、林業労働者の負担軽減や将来の担い手である若い世代へのアピールなど、森林整備の担い手対策について、今後どのように進めていくのか、環境農政局長に見解を伺いました。

環境農政局長答弁

県は、林業労働力の確保を促進するため、就労者数などの目標を定めた基本計画を平成8年度に策定し、担い手の確保に取り組んできました。また、平成21年度からは、かながわ森林塾を開講し、新規就労者を着実に増やしてきた結果、若返りが一定程度進んでいます。

しかしながら、林業は肉体的にきつい急斜面での作業が多く、ほかの産業に比べて労働災害の発生率が高いことから、今後も持続的に担い手を確保していくためには、一層の労働環境の改善を図り、林業の魅力を若者にアピールしていく必要があります。

そこで、今年度から、林業における安全性や木材の生産効率を高めるため、林業事業体に向けた高性能林業機械の導入に対する補助を始めました。あわせて、測量などの作業の効率化を図るため、ICT機器を活用する、いわゆるスマート林業への支援もスタートしています。

まずは、こうした支援を林業事業体にしっかり届けて労働環境を改善し、林業労働者の負担軽減につなげていきたいと考えております。

また、昨年度、県内で唯一、演習林実習を行う県立吉田島高等学校に対して、生徒に林業の魅力を伝えるため、ICT機器を使用したスマート林業の実習を支援しました。この学校の取組は、人材育成の優良事例として高く評価され、林野庁長官賞を受賞しています。

今後は、県の所有する、さらに高性能な最先端の測量機器を活用し、継続的に実習が実施できるよう同校を支援することで、林業の魅力をアピールし、将来、林業の担い手として働きたいと思ってもらえるよう取り組んでいきます。

県はこうした取組を通じて、森林整備の担い手対策をしっかりと進めてまいります。

意見

各業界が今、様々なところで人手不足が進んでいますけれども、この森林や林業、そして木材産業も例外ではないというふうに感じています。ほかにも、私のところには、地元の生産森林組合や造林組合の方からも、なかなか後継者がいない、若い人が山に関わってくれる仕組みをつくってほしいといった声も寄せられています。

一方で、近年は自然を相手に何かをしたい、そういった理由もありまして、森林整備に関わりたいと希望する若い世代が決して少なくないように感じています。

例えば、副業や週末に自伐型林業を実践したい方ですとか、森林の空間を利用して、材を売ることだけでなくて空間を利用した事業を行いたいということで、水源林の返還後を考えている山主さんなど、私も話を聞いております。

こうした幅広く森林整備に関わる方を後押しできる制度設計というのが、私は県としても必要ではないかと思います。ぜひ県の取組を求めたいと思います。

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