令和5年

⑥ 部活動の地域移行における人材の確保について【令和5年第3回定例会】

会議日:令和5年9月19日【一般質問】

部活動の地域移行における人材の確保について

部活動は、子供たちがスポーツに接するきっかけとなっているという点で、スポーツ振興には欠かせない取組です。一方で、現在、部活動を取り巻く現状は、児童・生徒の減少で部活動自体が活動を休止、学校単位で部活動を維持することが厳しいことを実感しています。

私の地元でも、水泳部に入ろうと思って中学に入学したところ、廃部となることが決まり、活動が続けられないといった声が寄せられています。

こうしたことから、中学生が自分のやりたいスポーツを選択したり、継続的に活動することが困難となっていることから、学校単位で部活動を行うだけでなく、地域クラブなどが担っていく部活動の地域移行の流れは意義があることだと思っています。

公立中学校における部活動の地域移行については、現在、県の方針の策定に向けて準備を進めていますが、生徒の活動場所の確保や活動費用の負担、教員に代わる指導者の確保など様々な課題があると認識しています。

特に、教員に代わる指導者の量的な確保については、現在、県内の中学校で活動している部活動の数が5,000を超えることを考えると、相当な人数を確保する必要があると思われます。

しかし、地域のスポーツ振興という点に視点を変えれば、数多くの民間のスポーツ指導者が求められるということは、アスリートにとって、セカンドキャリアやデュアルキャリアとしての新しい道が開かれたり、学校の卒業後も地域クラブで活動し、生涯スポーツとして指導を通じた関わりにもつながり、ひいてはその地域の活性化に結びつく可能性があります。

一方、地域で中学生を指導する指導者は、単に技術を指導するだけでなく、スポーツ指導者としてコンプライアンスの問題などをしっかりと理解しているなど、適切な資質も備えていなくてはなりません。

しかし、スポーツの指導者といっても能力や資質も千差万別であり、地域で活動する団体のニーズに応じた指導者を見つけることは簡単ではないというのが実情であり、質の確保は特に大きな課題だと思います。

そうした中、県では、部活動の地域移行を円滑に推進するため、今年度中に人材バンクを設立すると聞いています。この人材バンクには、部活動の地域移行を支えるとともに、地域のスポーツ環境を充実させる役割が期待されるので、ぜひともしっかりとした仕組みを構築するとともに、適切な資質を備えた指導者を確保し、多くの方に利用される人材バンクをつくり上げていただきたいと考えます。

そこで、部活動の地域移行における人材の確保に向けて、地域のスポーツ環境の充実に資する人材バンクをどのような仕組みで運用していこうと考えているのか、スポーツ局長に見解を伺いました。また、指導者の質をどのように確保していくのか、併せて伺いました。

スポーツ局長 答弁

部活動の地域移行に際し、教員に代わる指導者の確保は大きな課題であり、県は、地域の受皿となる総合型地域スポーツクラブ等の多様な実施主体が指導者を確保できるよう、広域的に人材を紹介するための人材バンクを今年度設置する予定です。

初めに、人材バンクの仕組みですが、まず、指導者になることを希望する方から申請を頂き、県があらかじめ定める要件を満たしていれば指導者として登録します。登録後、指導者が対応できる競技種目や活動できる地域などの情報をホームページ等で公開し、スポーツ団体等から求めがあれば、より詳しい情報を提供します。

その後は、スポーツ団体等と指導者との間で雇用条件などについて直接調整していただき、条件が整えば契約手続を経て指導者として活動していただくといった仕組みにより、運用していくことを考えております。

次に、指導者の質の確保についてですが、中学生の指導に当たっては、競技に関する知識や技術だけでなく、体罰等を行わない倫理観、中学生の体と心に関する正しい認識など、多岐にわたる知識が必要であると考えています。

そのため、こうした内容の講習受講が資格取得要件となっている日本スポーツ協会公認の指導者などを登録要件として考えています。

さらに、過去に暴力等の問題を起こしたことがないかなどについて、例えば誓約書の提出を求め、誓約に反する事実が判明した場合には、登録の取消しを行うことを事前に承諾いただくといった方法などにより、指導者の質を確保していくことを検討しています。

県では、部活動の地域移行を円滑に進めるため、人材バンクの仕組みを通じて広域的に適切な人材を紹介できるよう、市町村や関係団体等とも連携しながら、指導者となる人材の確保に努めてまいります。

かながわ地域クラブ活動指導者データベース

https://www.pref.kanagawa.jp/docs/tz5/kanagawa_database.html

意見

部活動の地域移行における人材の確保についてです。

部活動の地域移行は、教育や学校側の視点で話されますけれども、こういったスポーツ振興、そして子供がスポーツに触れる機会が増える面から、もっと制度を詰めていく必要があると考えています。

今回は人材の確保に視点を絞りましたけれども、ぜひ地域のスポーツ振興につなげる制度設計をお願いします。

市町村が人材バンクをつくるという動きもあると思うんですが、県が今回取り組む意義としては、やはり幅広いスポーツ関係者に声をかけられることだと思います。本県はプロスポーツもありますし、愛好家が少数のスポーツもあり、幅広いスポーツ関係者がいる地域でもありますので、ここはやはりスポーツの担当部局がしっかりと取り組む意義があると感じておりますので、取組を求めたいと思います。

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