会議日:令和6年3月5日【建設・企業常任委員会】
令和6年能登半島地震では、処理場や管渠などの下水道施設に甚大な被害が発生し、被災地での早期復旧に向けた取組みは進められていますが、本格的な復旧には非常に時間がかかると聞いています。
そこで、本県にも大規模な地震が発生した場合ということを鑑みて、流域下水道の施設の耐震化について伺います。
まず、本県で管理している流域下水道施設の概要について確認します。
本県の流域下水道は、昭和44年から相模川流域、昭和48年からは酒匂川流域において整備を進め、県民の水資源である相模川と酒匂川の水質保全と、流域市町の生活環境の改善を図ってきました。
主な施設としては処理場と管渠があり、処理場については相模川流域で2か所、酒匂川流域で2か所の合計4か所を管理しています。
また、管渠については、各市町が家庭や工場などから集めた下水を処理場まで送る「幹線管渠」を管理しており、現在の管理延長は約172㎞となっています。
次に、処理場や今言われた幹線管渠の耐震化はどのように進めているのか伺います。
下水道施設の耐震化については、令和2年度に策定した流域下水道事業経営ビジョンに基づき進めています。処理場は、大規模地震時などによる被災時において下水処理の機能を継続させる必要があります。
そのため、下水をくみ上げるポンプ施設や下水の汚れを沈殿させる施設、最終段階で大腸菌などを消毒する施設など、処理に最低限必要となる約100の施設を優先的に耐震化することとしています。
一方、流域下水道の幹線管渠については、基本的に管径が大きく地下深くに埋設されていることなどから、これまでの大規模地震においても被害がほとんど生じていないことも踏まえ、処理場の耐震化を優先して進めているところです。
流域下水道では処理場の耐震化ということを優先して進めているということですが、耐震化の進捗状況について伺います。
耐震診断などの調査結果をもとに順次耐震工事を進めてきており、令和4年度末現在で、最低限必要となる施設の耐震化率は約76%となっています。
出典:神奈川県流域下水道事業経営ビジョン(令和3年度~令和12年度)
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/h2v/cnt/f215/keieivision.html
なお、令和6年度は、扇町水再生センターのポンプ施設や柳島水再生センターの地下通路の耐震工事、四之宮水再生センターの消毒施設に係る詳細設計などに取り組む予定です。
令和6年度当初予算で予定している耐震化の取組みというのはどのようになっているのか伺います。
令和6年度は、四之宮水再生センターにおいて、処理した水を放流する水路の耐震工事のほか、沈殿施設や消毒施設の耐震工事に向けた詳細設計などに取り組んでいきたいと考えています。
また、平塚市内における大磯平塚幹線の渋田川を横断する箇所では、管渠を地下深くに埋設するのではなく、地上部に下水道管を設置する専用の橋である水管橋を設置し汚水を送水していますが、大規模地震に対し十分な耐震性を有していないことから、橋の本体の剛性を高めることや管渠の落下を防ぐ部材の改造といった耐震補強工事を実施する予定です。
出典:令和6年第1回神奈川県議会定例会建設・企業常任委員会附属資料(予算)(令和6年2月27日付託分)
https://www.pref.kanagawa.jp/documents/107835/02_0301_fuzokusiryou_yosan_kendo.pdf
いろいろお話ありましたが、地上部に露出している水管橋の部分は気になるところですので、しっかりと耐震化の取組をお願いをしたいと思います。
耐震化の図られていない施設は今後どのように取り組んでいくのか伺います。
下水道処理に最低限必要な施設については、令和12年度の完了を目指し、今後も計画的に耐震工事を進めていきます。また、処理場のその他の施設や幹線管渠につきましても、令和12年度以降、それぞれの施設の重要度などに応じて順次耐震工事を実施します。
大規模地震というのはいつあるかわからないものですので、しっかりと進めていただきたいと思います。