会議日:令和6年3月5日【建設・企業常任委員会】
出典:令和6年第1回神奈川県議会定例会建設・企業常任委員会付属資料(予算)(令和6年2月27日附託分) https://www.pref.kanagawa.jp/documents/107835/02_0301_fuzokusiryou_yosan_kendo.pdf
本県は、山、川、海が近い距離感にあり、県民が自然に触れることができる恵まれた県だと思います。報告資料にも、山・川・海の連続性をとらえた「川づくり・なぎさづくり」ということで、上流の山で生産されて、川に運ばれ、海に至る土砂の流れということに注目して、自然を守り生かす大変な重要な取組みであると思います。
何点か伺います。
初めに、山の取組みということで、河川の上流域では砂防堰堤の整備も進められておりますけれども、土砂の流れといった観点からはどのような取組みを行っているのか伺います。
砂防堰堤は、下流域の土砂災害を防ぐため、巨石を含んだ大量の土石が流木と一緒に一気に流れ出ることを防ぐ施設です。
砂防堰堤の種類には、中央部にスリットと呼ばれる開口部を設けた透過型のものがあり、土石流発生時には大量の土石を止めますが、通常時は土砂をスリットから下流に流すことができます。この透過型堰堤につきましては、渓流の川底を構成する土石が小さ過ぎると、スリットを擦り抜けてしまうことがあるため、設置には十分に現地を調査する必要がありますが、県では、土砂の流れの連続性を確保するといった観点からも、設置可能な場合には、必要に応じて透過型の砂防堰堤を設置しています。
砂防堰堤の中でも、スリットというものがあり、それが土砂の供給には役立っているということだと思いますが、ぜひ、場所によっても設置できるところ、できないところというのはあると思いますが、取組みをその場に応じてしていただきたいなと思います。
出典:神奈川県HP「土石流対策の取り組み|工務課」砂防堰堤工(透過型砂防堰堤)施工箇所:相模原市緑区青野原 https://www.pref.kanagawa.jp/docs/n7t/cnt/f6840/tsukuisabou2.html
続いて、川の取組みですが、私の地元の愛川町を流れる中津川は、宮ケ瀬ダムの建設により川の流れが緩やかになって、河川内に土砂が堆積する傾向があります。堆積した土砂の上に樹木が育ち、樹林化が進んでいますけれども、近年、この水防災戦略に基づく対策で、かなりいろいろ対応していただいていると承知しています。
そこで、中津川における堆積土砂対策や樹林化対策の取組みについて伺います。
中津川では、ダムの建設により大きな出水が少なくなり、河川内の土砂が流されにくくなったことから土砂の堆積や樹林化が進んで、治水上の支障や河川環境への影響が懸念されています。
堆積土砂対策につきましては、現在、河川内の堆積土砂を深堀りした箇所に敷きならす河床整備に取り組んでおり、令和6年度も引き続き、愛川町の田代運動公園付近で実施したいと考えています。
また、樹林化対策につきましては、治水上支障のある箇所を優先して対策を進めることとしており、令和6年度は、平山大橋上流や才戸橋上流の若宮グラウンド付近で実施したいと考えています。
出典:厚木土木事務所HP【事業紹介・河川】一級河川 相模川・中津川 樹林化対策事業https://www.pref.kanagawa.jp/documents/16540/20240322jurinnkataisakujigyoushoukai.pdf
ちょっと地元のことを伺いましたけれども、今その中で、樹林化対策についてですが、これはせっかくやっていただいても、年数がたつと再繁茂といってまた同じように戻ってきてしまうため、また対策が必要だと思いますが、これに関してはどのような対策をしているのか伺います。
中津川では、成長の早い外来種「ハリエンジュ」がよく繁茂しており、伐採しても数年でかなり繁茂してしまいます。そこで、伐採に当たっては、根が張っていた上の土の層とその下の土の層とを入れ替える天地返しと呼ばれる工法を取り入れて、再繁茂の抑制に努めています。
再繁茂対策には天地返しが有効だと思いますので、それを進めていただくこともぜひお願いしますが、以前本会議でも少し言ったとおり、再繁茂ということに関して地元の方にも知っていただく必要があると思いまして、例えば再繁茂対策をしていただいた後に、地元の方に踏みつけて何か対策していただくような仕組みなども考えられると思います。私の地元は、河川敷の火事も近年かなり多くなっており、鳥獣のすみかにもなっています。かなり広い面積を、せっかく予算をかけて毎年やってもらっているので、例えば、事前に自治体や地元団体と連携して、有効に樹林化対策を進められる方法なども考えていただきたいと思います。
続いて、海の取組みですが、砂浜の回復と保全について令和6年度に茅ケ崎海岸ほか12か所の海岸浸食対策を行うとしていますけれども、主な取組内容について伺います。
県では、相模湾沿岸海岸浸食対策計画に基づき、養浜を主体とした海岸浸食対策に取り組んでいます。令和6年度の主な取組としては、浸食された砂を回復させるために、茅ケ崎海岸菱沼海岸地区で約2万3,000立方メートル、小田原海岸前川地区で約1万5,000立方メートルの養浜を実施したいと考えています。
また、現在の砂浜を維持するため、茅ケ崎海岸中海岸地区で約1万5,000立方メートル、由比ガ浜地区で約2,000立方メートルの養浜を実施したいと考えています。
茅ヶ崎の養浜対策
海岸関係の国直轄事業負担金ということで、国が実施している西湘海岸の海岸浸食対策について、現在の状況と今後の取組について、わかる範囲で伺います。
国が実施する西湘海岸の海岸浸食対策事業では、平常時と高波浪時の波の状況によって砂の移動を制御できる、岩盤型施設といわれる新たなタイプの突堤を6基整備し、養浜により約30メートルの砂浜を回復することとしています。
現在、国は、1基目の突堤の整備を進めておりまして、令和5年度末に完成する予定と聞いています。今後も引き続き突堤の整備を進めるとともに、令和6年度から砂浜を回復させるため、養浜に着手する予定と聞いています。県としても、養浜に用いる土砂の確保など、引き続き協力していきます。
これに関して意見とさせていただきます。
気候変動で非常に大規模な水害が懸念される中で、流域のあらゆる関係者が行う治水対策の考え方を取り入れられていると思います。
こうした中、今後私たち住民も含めた全ての主体が、日頃から地域の自然と親しむことが非常に大事だです。そういった流域意識を高める上で「山、川、海の連続性」を感じることが、非常に重要な時代になっていると思います。
この山・川・海の連続性をとらえた「川づくり・なぎさづくり」にしっかりと取り組んでいただいたり、また、県民会議等の取組みを通じて、今後県民への周知もお願いします。