令和6年

① 県営水道における災害対応力の強化【令和6年第1回定例会】

会議日:令和6年3月7日【建設・企業常任委員会】

県営水道における災害対応力の強化

佐藤
けいすけ

元日に発生しました令和6年能登半島地震において、水道施設が大きな被害を受け、改めて水道施設の耐震化の重要性というのが感じられたと思います。

今回の地震で、断水が長期化していることを鑑みますと、耐震化だけではなくて、バックアップ施設の確保ですとか、それらの施設を災害時に速やかに運用できるハード、ソフトの対策などの災害対応力の強化が必要だと考えます。

県営水道の災害対応力に関する取組みについて、我が会派からも本会議において質問をし、弾力的な水の運用を可能とする管路ネットワークを強化していくなど、お答えをいただいたところです

何点か関連して伺います。

佐藤
けいすけ

今回の能登半島地震では、石川県内で最大11万戸の断水被害が発生したということですけれども、過去の地震による本県の県営水道の断水被害について伺います。

計画課長

県営水道の給水区域内における地震に伴う断水被害は、最大震度5強を観測しました東日本大震災時に、水道管の漏水に伴う断水が50戸、停電に伴う断水が2,250戸発生しています。

いずれの断水についても、翌日には復旧しています。

このとき以外に、地震に伴う大きな断水被害は発生していません

出典:令和6年第1回神奈川県議会定例会「建設・企業常任委員会資料(令和6年2月27日付託分)企業庁」https://www.pref.kanagawa.jp/documents/107835/04_0301_iinkaisiryou_kigyou.pdf

佐藤
けいすけ

東日本大震災で5強を記録したときの被害が一番大きかったということだと思います。これまで、思ったよりは、大きな断水被害はないように感じましたけれども、今後県内で大きい地震の発生が想定されています。戦略的な管路整備の取組みの中で、「復旧に時間がかかる管路を優先的に更新する」と書いてありますが、これはどういったところの管路更新を示すのか伺います。

計画課長

復旧に時間がかかる管路としては、道幅が狭く、近接している民家等の被害が発生した場合に瓦礫などの撤去作業が困難になり、道路が通行不可能になることから作業の着手までに時間を要する狭隘道路や、例えば線路の下など漏水した場合に直接掘ることができない道路復旧の工事の難易度が高い箇所こういった管路を指しており、優先して更新を行っていこうとしています

佐藤
けいすけ

続いて、数年前に、和歌山県内の紀の川に架かる水管橋が落ちてしまうというような事故があったと思います。これが非常に大きな断水だったと記憶していますけれども、あのような大きな川に架かる水管橋も、復旧に時間を要する場所だと考えます。県営水道では、水管橋の耐震化対策はどうなっているのか伺います。

計画課長

現在、耐震化を進めている災害用指定配水池や、一次配水池に水を送る基幹管路上にある35か所の水管橋についても、優先的に耐震化を図る体制としています。

これらについては、耐震診断が令和4年度まで完了しており、今年度より水道管の橋の土台から落下するのを防止する対策や、地震による地盤のずれに対応した伸縮装置の改良などの耐震補強工事に取り組んでおり、次期経営計画期間中に10か所実施する予定です。

佐藤
けいすけ

厚木市では「横須賀水道」が海老名にかかっており、相模川にかかっている管が関東大震災のときに落ちてしまったと昔聞いたことがありまして、気になっている点がありましたので確認をさせていただきました。

佐藤
けいすけ

続いて、水道施設の耐震化対策に加え、本会議で質問した隣接する市町との緊急連絡管による連携についても、災害時の断水回避、飲料水の確保などに有効な取組みと思われますが、現在接続している緊急連絡管の整備はどういった経緯で始まったのか伺います。

計画課長

神奈川県内の水道事業者は、昭和54年に災害相互応援に関する覚書を締結し、災害発生時の応急給水や応急復旧作業について必要な事項を定めて応援体制を構築してきました。

県営水道と隣接する市町の緊急連絡管については、この覚書に基づき、市町から緊急連絡管の接続をすることで、相互の安定給水、安定供給を図りたい旨の協議依頼が平成2年にあり、順次設置してきました。

また、県営水道としても、災害時のバックアップ体制の強化のために必要と判断したものについて、隣接市町との協議の上、整備してきました。こういった整備により、現在8市町との間で14か所の緊急連絡管を接続しています。

出典:県HP「県営水道の災害対策」
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/yt7/saigaitaisaku/f100155.html

佐藤
けいすけ

本会議の中でも、今後開かれていくという趣旨のご答弁があったかなと思いますが、ぜひこういった対策も進めていただきたいと思います。

佐藤
けいすけ

続いて、隣接した市町との緊急連絡管と現在進めている5事業者のバックアップ体制、この整備の違いについて伺います。

計画課長

隣接市町との緊急連絡管によるバックアップは、それぞれの給水区域の境にある配水管同士を接続するものです。緊急連絡管は、通常時はバルブで仕切られており、災害が発生したときに、接続箇所の付近の地域で断水が発生した場合にバルブを開き、直接配水をするものですが、管の太さが細いものが多く、応援できる量が限られています

一方、現在進めている5事業者によるバックアップについては、神奈川県内広域水道企業団の浄水場を起点に、水融通につながる基幹的な管路等を整備することにより、災害事故発生時における浄水場間のバックアップ体制を強化するものです。

これにより、災害事故発生時だけではなく、計画的に行う浄水場の維持工事等に伴う停止期間においても、事業者の連携により恒常的な安定給水を目指すものです。

出典:神奈川県営水道長期構想、水道事業経営計画
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/r4a/sui-keikaku.html

佐藤
けいすけ

それぞれの取組み、非常に重要だと考えます。今後、災害事故発生に備えた災害対応力の強化ということで、それに向けてどのように取り組むのか伺います。

計画課長

隣接市町との緊急連絡管については、今回の能登半島地震を教訓に、災害発生時に迅速に使用できるよう、市町との合同訓練の実施に向けて調整を進めていきます

また、次期経営計画では、復旧困難な箇所の管路更新など、戦略的な管路整備に着実に取り組み、災害事故に強い水道を目指すとともに、全国的に事例のない5事業者による再構築事業を実現し、バックアップ体制の整備をすることで、事業者の枠を超えて浄水場間の水道水の融通を可能とするなど、ハード面、ソフト面、両面から災害対応力の強化を図っていきます。

佐藤
けいすけ

今回、能登半島地震を踏まえますと、水の大切さということを十分感じたところでありますけれども、耐震化、バックアップ体制の強化、さまざまな取組みをぜひ進めていただき、ライフラインの事業所としての責務を果たしていただきたいと思います。

また、料金改定の議論もあったわけですけれども、それも踏まえて耐震化の対策なども、しっかり意義を伝えながら対策を進めていただきたいと思います。

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