会議日:令和6年3月14日【予算委員会】
部活動の地域移行について
部活動の地域移行を進めるためには、費用負担の面が大きな課題です。佐藤けいすけは、民間で自立して地域クラブが運営できるよう、県に対し協賛金や指導者派遣など企業との連携に繋がる取組みを行うよう求めました。
学校部活動と地域クラブ活動の違い(スポーツ庁 部活動の地域連携・地域移行ポスターより抜粋)
県ではかながわ地域クラブ活動指導者データベースを立ち上げ、広域的な人材確保の取組を開始しました。また、市町村の教育委員会の部活動指導員の配置補助事業などを拡充しています。部活動の地域移行の各地域の取組みや地域におけるスポーツ・文化芸術活動の機会の確保が進むための予算案、そして取組みとなっているのか、確認をしていきたいと思います。
はじめに来年度部活動指導員の配置を希望する市町村の要望、これは7,000万円ほど予算が計上されていますが、どの程度応えられているのか伺います。
県教育委員会で令和6年度の部活動指導員の配置について調査したところ13市町村から127名の要望があり、市町村の要望を全て満たす形で予算計上しました。
★令和6年度部活動指導員:13市町村127名(厚木市7名、愛川町6名)
指導員の方が配置されることで教員の負担が減るということは何となくわかるんですが、部活動指導員には地域移行を進めるという上ではどのようなことが期待できると考えているのか伺います。
部活動指導員は、顧問教員に代わって部活動指導や大会の引率、保護者対応などの業務を担っています。そのため、顧問教員の負担軽減に大きな効果があると考えています。
また、部活動が地域移行した際の地域人材として極めて有効であると考えています。
指導員の方、地域のスポーツ、文化を担う人材ということでも重要だと思いますけれども、地域クラブなどで活動していくこともあると思います。今後の橋渡しという点では、教育委員会としても配置された効果をしっかりと追っていただきたいと思います。
続いて、スポーツ局ではかながわ地域クラブ活動指導者データベースを設置して、登録者の募集を開始しました。約1か月以上たったと思いますが、現在の登録人数や指導できる種目や地域など、登録者の状況というのはどうなっているのか、またこのデータベースに関する新年度予算の積算を伺います。
●県HP「かながわ地域クラブ活動指導者データベース」
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/tz5/kanagawa_database.html
現在40名の方がデータベースに登録されています。登録者の状況は、指導できる種目としてはサッカーが最も多く、続いて野球、空手などです。また、指導を希望する地域でございますけれども、横浜市が一番多く県の西の地域は少ないという傾向にあります。また、年齢的には60歳代が一番多いものの20代から60代まで幅広い方の登録をいただいています。
また、予算上の積算は、今年度は38万円を計上しており、内訳はデータベースの広報に30万円、研修に8万円となっています。
まだ始まったばかりですので、これからだとは思いますが、データベースについてもっと声をかけていかなければいけないですし、各地域ですとか種目によってもまだまだ取組みは必要とも言われておりましたけれども、ほかにも県としての取組みが必要だということから考えますと、必要な額としては少ないと思いますので、指摘をしておきます。
特に来年度予算として人材バンクへ指導者を集める予算や仕組みだけでなく、受皿となる地域クラブへの予算や支援も必要であると思いますけれども、地域クラブの整備については県としてどのように考えているのか伺います。
多様な主体が地域クラブ活動の運営に携わる可能性があると思っていますが、県としては統合型地域スポーツクラブが部活動の地域移行における主要な運営団体になることを想定しています。県では、これまでクラブの創設等に係る相談や支援を行うクラブアドバイザーを配置するなど、県スポーツ協会と連携して総合型地域スポーツクラブの創設や充実に向けて取り組んでまいりました。現在県内には創設済みのクラブが102団体、創設準備中のクラブが6団体あり、県内の33市町村の全てにおいて少なくとも一つのクラブが活動中、または準備中という状況です。
今後も団体の抱える課題やニーズなどを丁寧にお聞きし、総合型地域スポーツクラブの新設や充実を支援することを通じて、部活動の地域移行における受皿づくりも推進していきます。
部活動は県内で5,000以上あると思います。今約108団体、33市町村で準備中も含めてあるというようなお話でしたけれども、受皿としてはまだまだ不足だと思いますし、ここは任意クラブも含めて、クラブ運営のノウハウなどを伝えていくことも非常に大事だと思います。取り組んでいただくよう求めます。
部活動の地域移行が本格的に進んだ場合、様々な主体にこの運営を担っていただかなければならないと考えます。
そこで、今後大学や企業、スポーツチームなどと連携を図り、神奈川のポテンシャルを最大限に活用していく必要があると考えますが、県としてどのように取り組んでいくのでしょうか。
まず、大学との連携ですが、先月桐蔭横浜大学が構築した地域部活動指導者資格認定プログラムについて県も協力をさせていただきました。今後はほかの大学もさまざまな形で部活動の地域移行に関わってくる可能性があると思いますので、機会を捉えてこうした情報を共有しながら連携の可能性を探っていきます。
このほか企業やスポーツチームをはじめさまざまな団体が部活の動地域移行に関わることも想定されます。県としては、昨年立ち上げた「かながわスポーツ・プラットフォーム」、こうした情報交換の場を通じて、部活動の地域移行に興味のある団体との連携を図り、それぞれの強みを生かして取組みを進めていきたいと考えています。
多くの接点を持っている県として役割は大きいと考えますので、お願いします。
また、大学にも機会があれば声をかけていくということですけれども、例えば、地域移行について協力の意向調査などをとって部活動の地域移行の課題ですとかその周知、協力を得ることなど、市町村や地域に先駆けて県が行うこともできると思いますので、ぜひ求めます。
続いて部活動の地域移行を進めるに当たって、特に企業との連携では、費用負担などのさまざまな課題の解決につながる可能性を秘めていると考えますけれども、県の考えを伺います。
現在部活動の地域移行に先行して取り組んでいる市町村の大半は、国の委託による実証事業を実施しているという状況です。そのため、生徒や保護者は今のところそれほど費用負担の心配をせずに活動が続けられていますが、今後国から十分な財政措置が受けられない場合には市町村や生徒、保護者にとっては新たな費用負担が生じる可能性もあり大きな課題であると考えています。
こうした中、例えば地域のクラブ活動に協賛をいただくなど、企業が持つ力を生かし協力をいただくことで、生徒や保護者の負担軽減につながる取組みが実現するということも考えられます。
そのほかにも指導者の確保や活動場所の提供など、それぞれの企業が持つポテンシャルを生かすことでさまざまな取組みが期待できますので、今後どのような連携が可能か、関係者とともにアイデアを出し合いながら検討を進めていきます。
少し前になりますが、教員の方が総合型地域スポーツクラブを立ち上げ、部活動をクラブに移行させていくというテレビ番組を見ました。教員自らが企業を回られて、スポンサーなどを獲得するような形で資金調達をされていたと思うんですけれども、地元回りをされる中で企業側が部活動の地域移行の考えになるという素地がなければ、これも一つの営業活動だと思いますので、なかなかうまくいかない面があると思います。このような資金面の懸念というのは、県がしっかり率先して関係部局、団体と連携して予算づけも含めた取組みを何か考えていただきたいと思います。
続いて地域クラブ活動コーディネーターを配置しているということですが、配置人数とどのような役割を果たしているのか伺います。
今年度配置した地域クラブ活動コーディネーターは1名で、役割は、部活動の地域移行について県が示した方針に基づき各市町村がどのように進めているのか、その進捗状況や課題などを把握することです。
これ以外の取組みとして部活動地域移行連絡会もあるということです。これはどのような方が対象でどのような内容で開催をされているのでしょうか。
部活動地域移行連絡会は県内市町村の教育委員会、スポーツ・文化芸術部局の担当者のほか、各競技団体や文化団体の関係者、学校の教員や保護者など、部活動の地域移行に関係する方々に参加いただいています。今年度は県内外の先行的な取組を進めている事例を共有した上で、グループに分かれそれぞれの立場から課題や取組状況などについて意見交換を行いました。
●県HP「公立中学校における部活動の地域クラブ活動への移行」
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/cy3/gkt/chiikiikou.html
有効に使っていただいて部活動の地域移行を進めていただきたいと思います。
そして、県内の市町村において国の補助事業を活用して実証事業を実施していますが、事業の終了後各自治体は自立に向けてどのような取組みを行うのでしょうか。
国の実証事業に取り組んでいる市町村は、国の財源を活用し、できるだけ生徒の費用負担を抑えて実施していますが、将来的には国がガイドラインで示す受益者負担により行うことも視野に入れているものと認識しています。一方、自主財源で取り組むことは難しいという市町村の意見もあることから、自立に向けて県としても国に対して強く要望してまいります。
少し前の話ですが民間でクラブを独自に支援していくという流れはほかの自治体でもあると聞いています。こうした例も先ほどの連絡会議なども使ってどんどん共有していただいて、実際に動けるような体制をつくっていただきたいと思います。
そして、部活動の地域移行の推進に向けて、県教育委員会として市町村に対しどのようにしていこうと考えているのか、最後教育参事監に伺います。
各市町村が地域の実情に応じてそれぞれの地域資源を活用し、地域移行の取組みを進めることができるよう、先行的な取組みを他の市町村へ波及させ全体を押し上げていくことが広域自治体としての県の役割であると考えています。そのため、県教育委員会として知事部局と緊密に連携しながら、各市町村において地域移行の取組が持続可能なものとなるよう国の事業の活用も含め必要な支援を行っていきます。
部活動の地域移行に係る人材の予算、そして今後懸念される受皿となる地域クラブや資金面の問題などについて教育局とスポーツ局に伺いましたが、両輪で進めていくべきだと思います。その割にスポーツ局は結構予算が少ないということもありますが、ぜひ人材確保の面とともに地域クラブの整備についても取組みをお願いします。
また、部活動の地域移行というのは始まったばかりですので、これからだと思いますけれども、さまざまな地域の力を活用できる仕組みも検討していただきたいと思います。
神奈川県議会議員:佐藤けいすけ