令和6年

②道路施設の老朽化の状況や市町村への支援について【令和6年第2回定例会】

会議日:令和6年6月28日【建設・企業常任委員会】

道路施設の老朽化の状況や市町村への支援について

補正予算が計上され、耐震補強が前倒しで実施されることになった宮ケ瀬の大棚沢橋

佐藤けいすけ

緊急輸送道路の災害対応力の強化について、2月に会派の代表質問でも伺いました。今回補正予算が早速組まれ、地元の橋脚なども含まれており、対応へ向けて進めていただいていることに感謝します。
耐震化への対応については先行会派の質疑で確認し、今後の取り組みもぜひお願いしたいですが、私は、老朽化の対策について一般質問でも伺っていますので、いくつか確認します。

佐藤けいすけ

まず、道路施設の長寿命化ということで、5年に1回の頻度で目視による点検を行っていると承知しています。老朽化の対策と耐震化の工事はどのような違いがあるのか伺います。

道路管理課長

老朽化対策の工事は、コンクリートのひび割れだとか鋼材の錆など損傷を補修する工事ということで、具体には、 コンクリートのひび割れに樹脂材を注入する工事や、錆が多く発生している橋の塗装の塗り替え工事などがあります。
一方で、 耐震化工事は、大規模な地震でも施設が軽微の損傷にとどまるように補強を行うもので、具体には、橋脚に鉄筋コンクリートを巻き立てる工事や、橋桁と橋台を鎖やケーブルで連結して落橋を防止する工事もあります。

橋の塗装の塗り替えの様子
出典:「神奈川県道路施設長寿命化計画」https://www.pref.kanagawa.jp/documents/74676/chojumyoka_keikaku.pdf

佐藤けいすけ

一般質問で、1巡目までで点検や修繕を終え、2巡目はドローンを導入、3巡目で今後はAIを活用するとのことでした。これまで目視だけであった所から、ドローンやAIなど今の技術を取り入れていくということですが、どのように効率化されていくものなのか伺います。

道路管理課長

まず、点検の方法になりますが、平成24年に発生した笹子トンネルの事故の主な原因はボルトの緩みにより天井板が落下したもので、こうした事故を防ぐには、打音というボルトを直接ハンマーで叩く方法がありますが、 こうした打音でボルトの緩みを確認するとともに、ひび割れなどを詳細に記録するなどの近接目視と呼ばれる点検の仕方が基本となっています。しかしながら、規模の大きい柱とか、大掛かりな足場が必要になったり、点検専用の特殊な車両を用意することが必要となります。
そこで、2巡目の点検からはドローン等を使用し、ひび割れなどについてドローンによる撮影画像から記録を作業員が作成するなどの効率化を図っています。
また、最近では点検に係るデジタル技術が日々進歩していますので、具体には、ドローンが撮影した画像や特殊な車両でレーザーを当てて、AIがひび割れなどの損傷を抽出して自動的に記録の作成までしてしまう技術が実用化されています。
そこで、今年度から行う3巡目の点検では、こうした日々進歩するデジタル技術を活用して、さらなる効率化を図っていきたいと考えています。

トンネルの点検の様子
出典:「神奈川県道路施設長寿命化計画」
https://www.pref.kanagawa.jp/documents/74676/chojumyoka_keikaku.pdf

佐藤けいすけ

一応確認ですが、ドローンとAIを活用して、さらにもう一度目視による確認をするんでしょうか。

道路管理課長

点検をする際に、ボルトの緩みなどは打音という方法でやらないといけないですが、 こうしたものはドローンなどではできませんので、例えば照明灯がついている部分などは部分的に人が近づいてチェックしないといけないことがあります。 そういった作業の中でも一部になりますが、ドローンやAIを活用できるものは積極的に使っていきます。

佐藤けいすけ

今全国的にインフラ維持の観点から橋の通行止めや撤去が話題になっているのをテレビの報道番組で見ますが、本県の道路施設などで老朽化で廃止を決めた橋りょうやトンネルインフラなどはあるのか。市町村についても把握していれば教えてほしい。
また、予算の観点から廃止について今後どのように考えているのか現状を伺います。

道路管理課長

老朽化により廃止を決めた橋梁やトンネルがあるかについてですが、 県が管理する道路及び市町村が管理する道路ともに現在までありません。
また、予算の観点から橋梁やトンネルの廃止について考えていることですが、本県が管理している橋梁やトンネルなどの道路施設については、長寿命化計画に基づき、5年ごとに 点検・診断と細めな修繕を繰り返すことで健全性を確保しながら維持管理費用の縮減と平準化を図っていまして、 予算の観点から廃止を検討しなければならないという状況には至っていないと考えています。

佐藤けいすけ

次に、技術者が不足していると市町村などで話をよく聞きますが、サポートしている都市整備技術センターに今回報告の中でも県が8000万円ほど出資しているということです。今後人口減少による財源確保などが難しくなっていく中で、市町村が管理しているインフラの維持管理や更新整備の予算を計上することは厳しいとも聞きますが、市町村の橋梁などの道路施設のインフラ点検や修繕などを今後どのように支援していくのか伺います。

・公益社団法人神奈川県都市整備技術センター
https://www.toshiseibi.or.jp

道路管理課長

橋梁などの道路施設の点検や修繕における市町村への支援についてですが、 まず、点検については、都市整備技術センターと連携して、 県内の道路管理者などで構成する神奈川県道路メンテナンス管理の場を通じ支援の希望を把握しています。その上で、希望した市町村の点検業務を都市整備技術センターが一括して発注することにより、市町村の点検にかかるコストの縮減、 事務負担の軽減につながる支援を行っています。

また、修繕については、国と連携して、技術講習会の開催や気軽に相談できる窓口の設置、 経験の少ない担当者でも修繕の設計に直ちに着手できるマニュアルを作成して提供するなどの技術支援を行っています。
引き続きこれまでの支援を着実に行うとともに、市町村からの相談があった場合には丁寧に応じながら市町村における老朽化対策に積極的に支援していきたいと考えています。

佐藤けいすけ

今後50年以上経過した社会資本の割合が加速度的に増加していくと聞いており、予算の取得など心配しているところですが、 市町村のAIやドローンとかの技術などは、やはり国、県、政令市と比べると十分に進んでいないということも聞きますので、県はしっかりと後押しをしていただきたいと思います。

意見

補正予算に関して、緊急輸送道路の災害対応力の強化について、2月の会派の代表質問を受け、予算化することを評価します。速やかな予算執行に取り組むことを求めます。
一方、道路施設の老朽化対策やインフラを管理する市町村を支援することも必要な課題です。今後、建設後50年以上の社会資本の割合が加速度的に増えるとされていますが、技術者や予算不足もあり、市町村は新しい技術については国県政令市と比べて十分に進んでいないと聞きます。新たな技術を積極的に活用し、効率的に点検ができるよう県もしっかり後押しをすることを求めました。
また、今後インフラ維持管理について議論する中で、若い世代ほど「分からない」と回答する傾向は多いとする調査もあり、県が管理する道路施設などのインフラ維持に対する広報も重要です。地元の土木事務所で、HPの充実を図っていただきましたが、ドローンの航空写真などは、見やすく具体の地元の道路施設等の維持管理や更新に目を引き、理解促進につながると考えます。こういった広報も積極的に発信することを求めました。

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