令和6年

①立地適正化計画について【令和6年第2回定例会】

会議日:令和6年6月28日【建設・企業常任委員会】

立地適正化計画について

佐藤けいすけ

まず、立地適正計画についてです。本常任委員会へ「第8回線引き見直し」について報告があり、重点的な取組みとして「集約型都市構造の実現に向けた都市づくり」が掲げられています。地元の厚木市では、以前から、「立地適正化計画」を策定し、集約型都市構造化に向け力を入れているんですけれども、今回の「第8回線引き見直し」に関連して、何点か伺います。

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【線引き見直しとは】
おおむね10年後の将来人口予測のもと、都市計画区域について無秩序な市街化を防止するため、都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に区分するもの。県では、これまで昭和45年以降、平成28年までに7回の見直しを行っています。

出典:県HP「第8回線引き見直しにおける基本的基準の概要」https://www.pref.kanagawa.jp/documents/10723/gaiyou.pdf

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佐藤けいすけ

まず、集約型都市構造化を推進する、そもそもの意義を確認の意味で伺います。

都市計画課長

集約型都市構造とは、市街地の無秩序な拡大を抑制し、公共交通にアクセスしやすい場所に 居住機能や医療、福祉等の生活サービス機能を集約させる都市構造と定義されています。 この推進により、高齢者をはじめとする住民が過度に自家用車に頼ることなく生活できる都市を目指すものです。
集約型都市構造化の推進により、例えば公共交通、公共交通の利用が促進されることによる環境負荷の軽減や、道路や上下水道、電力といったインフラの整備と維持管理の効率化、 商業施設やサービスの集積による経済の活性化、さらには必要な生活サービスが集積することによる生活の質の向上などが図られ、まちづくりにおけるさまざまな課題解決に寄与するものと考えられます。

佐藤けいすけ

「立地適正化計画」とは、具体的にどのような計画なのか伺います。

都市計画課長

立地適正化計画は、少子高齢化の進行や人口減少社会の到来などを背景として、 持続可能でコンパクトなまちづくりを目指していくため、住宅や生活を支える医療、福祉及び商業などの施設を集約し、その立地を緩やかに誘導していくことを目的として、平成26年に制度化された計画です。この計画は市町が主体となって作成するもので、 生活サービスやコミュニティを持続的に確保しながら、居住を誘導する「居住誘導区域」でありますとか、 医療、福祉及び商業施設等を誘導する「都市機能誘導区域」などを設定します。

出典:国土交通省HP「立地適正化計画の手引き【基本編】」https://www.mlit.go.jp/toshi/city_plan/content/001741220.pdf

佐藤けいすけ

県内でも多くの市町で「立地適正化計画」の策定に取り組んでいると思いますが、現在、どれくらいの市町で策定されているのか、状況を教えていただきたい。

都市計画課長

令和5年度末現在で、県内の13の市町において立地適正化計画が策定されています。
また、現在、作成に向けた検討を進めている市町が3つほどございまして、そのうち1つは今年度中に策定される見込みと聞いています。

県内で立地適正化計画を公表した市町
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/a7k/cnt/f292/ritteki.html

佐藤けいすけ

立地適正化計画には、住居や都市機能などを集約する拠点を設定するということですが、これを設定すると市町にどの様なメリットがあるのか伺います。

都市計画課長

立地適正化計画を策定し、居住誘導区域や都市機能誘導区域を設定した場合、 区域内に誘導する施設の整備等に対しまして国からの助成や金融支援などが受けられることとなります。
また、居住誘導区域以外に一定規模以上の住宅の建築等を行うものは 原則市町へ届け出が必要となり、市町は必要に応じて勧告することができるとされています。 これにより、居住誘導区域へ住宅が緩やかに運用されることとなります。

佐藤けいすけ

第8回線引き見直しとの関係の中ではどのようになっているのか伺います。

都市計画課長

第8回線引き見直しにおいては、整開保の更新地図の方に集約拠点を明示することとしており、 立地適正化計画を策定している市町の場合、 その計画に位置付けられている居住誘導区域や都市機能誘導区域を反映しています。県としても、整開保の市町が作成した立地適正化計画の考え方を反映させることで、例えば駅前に 都市機能を誘導するといった市街地再開発事業などを市町が円滑に都市計画に定められるようになるなど、 集約型都市構造化の取り組みを1歩進めていくこととしています。

出典:国土交通省「立地適正化のパンフレット」
https://www.mlit.go.jp/common/001195049.pdf

佐藤けいすけ

人口減少が本格化する中、集約型都市構造化を進めることは理解できますが、一方で郊外の既存集落の活力維持が難しくなることも想定されると思います。今回の線引き見直しにおいて、こうした地域についてどの様に整理しているのか伺います。

都市計画課長

委員ご指摘のとおり、人口減少が本格化する中においても、 地方創生の観点から、地域の活力を維持形成していくことが求められており、 第8回線引き見直しの重点的な取り組みの1つとして、地域の個性や魅力を生かして活力ある都市づくりを進めることとしています。
具体には、都市計画というところの地区計画制度の活用が考えられます。市街化調整区域であっても、地区計画を定めることで、市街化調整区域内の生活の範囲内において 地域活力回復のための住宅等の建築が可能となります。
このような制度を活用しながら、活用ある都市づくりに取り組んでいきたいと考えています。

出典:市街化調整区域における地区計画の市町との協議に関する指針https://www.pref.kanagawa.jp/documents/10722/871125.pdf

佐藤けいすけ

地元でも元気がなくなってきている集落、地域はあり、小学校がなくなるなどの話もあり、地域の活力の維持・回復が求められていると思います。
地域の活力を維持・回復するため、地区計画制度を活用するということですが、県内市町において実績はあるのか伺います。

都市計画課長

「地域活力回復型」というタイプの 地区計画制度を活用した事例はありませんが、例えば大磯町の「万台こゆるぎの森地区地区計画」というものがあり、こちらの地区計画は 現在星槎湘南大磯キャンパスが立地しています。 こうした制度は、これまでに13市町16地区において活用されています。

佐藤けいすけ

立地適正化計画の策定は集約型都市構造化の推進にも重要なものになると思いますが、県として計画未策定の市町に対しどのように取組んでいくのか伺います。

都市計画課長

県としても、人口減少が本格化する中、 集落型都市構造化の推進に寄与する立地適正化計画の策定を支援することは大変重要な取り組みだと考えています。 これまで県では、市町に対し、先進的な取り組みを実施している自治体の事例を紹介するなど、市町が計画策定に取り組みやすくなるような支援を行ってきました。引き続きこうした取り組みを継続するとともに、生活圏が重複するような場合には、 近隣市町との連携が円滑に進むよう、広域自治体として市町の計画策定をしっかりと支援していきたいと考えています。

佐藤けいすけ

ぜひ、よろしくお願いします。
私の地元は愛川町ですけれども、交通ネットワークを考える上で、厚木市と密接に関係しており、計画策定にあたっては広域的な連携が非常に重要だと考えます。 また、未策定の市町が新たに計画を策定する際には、 今課長からもありましたが、近隣市町との連携など広域的な課題解決に向けて県が広域自治体としてできることもあると思いますので、市町をしっかりと支援していただきたいと思います。

意見

線引きの重点項目や県内の立地適正化計画の内容について確認をしましたが、人口減少が本格化する中、集約型都市構造化を進めることは、公共交通などの維持などの面からも有効な手段である一方、未策定の市町もあります。
また郊外の既存集落の活力維持が難しくなることも想定される地域を抱える市町において、市街化調整区域内の生活の範囲内で住宅建築などが地区計画制度を活用することで可能ですが、市町の実績がないとのことです。
今後も市町単独では解決が難しい課題が増えると考えられ、さらなる近隣市町との連携や地域への支援が必要になることから、広域自治体の県が、計画の策定や制度の利用を市町に十分に周知、支援することをしっかりと取り組むよう求めました。

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