令和6年

⑥ 水源環境保全・再生施策における森林施策について【令和6年 第3回 定例会】

会議日:令和6年9月13日【代表質問】

水源環境保全・再生施策における森林施策について

水源環境保全・再生施策における森林施策について伺います。本県の森林づくりは、零細な森林所有者が多いことや木材価格の低迷などもあり、人工林が手入れ不足となり、森林の荒廃が進んだことから、県では、平成9年度から森林の公的管理、公的支援の取組として、水源の森林づくり事業を進めてきました。

さらに、平成19年度からは、個人県民税の超過課税、いわゆる水源環境保全税を財源に、かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画の特別対策事業に位置づけて、加速度的に取組を強化してきたと承知しています。

こうして森林整備を進めてきた結果、木と木の間が空き、森林全体が明るくなり、その結果、森林の植生や下草が回復し豊かになるなど、以前と比べて神奈川の水源環境の状態が改善されてきていると私も感じています。

提供・環境農政局

そうした中、水源の森林づくり事業で20年間の水源林整備協定を締結した森林が、順次、県から森林所有者へ返還されており、返還面積も今後増えていきますが、森林所有者からは、返還された森林を今後管理し続けていけるかどうかという声や、手放したいという不安な声が私に寄せられています。

提供:環境農政局

また、現場で森林整備を担う森林組合などからは、返還後の森林について、森林から得られる収入が想定できない中で、所有者による適切な維持管理ができるのか懸念があるとも聞いています。

本年3月に水源環境保全・再生かながわ県民会議から県に提出された施策大綱期間終了後の取組に関する意見では、契約満了に伴い、所有者に返還された森林の公益的機能を維持するため、森林所有者の状況を踏まえ、森林を社会的共通資本として捉え、持続可能な森林管理の仕組みの検討が必要であると提言されています。

「水源環境保全・再生かながわ県民会議」から県に対して意見書が提出https://www.pref.kanagawa.jp/docs/pb5/cnt/f7006/ikensyo240329.html

県による公的管理が終了し、所有者に返還された森林について、引き続き、水源涵養機能など公益的機能が発揮され続けるよう、適切に維持管理していく必要があります。

そこで、今後、森林所有者に返還する森林を水源林として適切に維持管理していくために、県としてどのように取り組んでいこうと考えているのか、知事の所見を伺いました。

知事答弁

県では、水源涵養機能など森林の公益的機能の向上を図るため、平成9年度から水源の森林づくり事業に取り組み、平成19年度から水源施策大綱により、その取組を加速化させてきました。

その中で、県は、森林所有者と20年間の借地契約を締結し、森林所有者に代わって繰り返し間伐を行い、森林整備に取り組んできました。その結果、手入れがされた人工林は、施策開始前の約4割から直近では約8割にまで増加したことで、

県民会議からは、人工林の状況が改善し、水源環境機能などが向上したと評価されています。

このように、県が森林所有者から借り受けた森林の整備は順調に推移しており、契約期間終了時には、間伐などの整備が当面必要ない状態にして所有者に返還しています。

その後は、所有者の手により、定期的な巡視等の維持管理をしていくことになりますが、所有者の高齢化や相続による所有権の細分化等により、返還後の管理が難しくなってきています。

その結果、台風等による土砂流出や倒木などが発生した場合に、その状態が放置され、再び荒廃が進むことも懸念されます。そこで、県では、森林所有者を取り巻く状況の変化も踏まえつつ、大綱期間終了後の水源施策の中で、所有者に返還した森林の公益的機能を維持する方策についても、しっかりと検討してまいります。

意見

水源林の今後の課題として、相続や細分化の課題について御答弁頂きました。

所有者の都合などで契約できなかった私有林への対応や、返還された森林を将来相続した方への理解を深めるなど、課題と感じています。森林所有者とこれまで、そして今後もどのようなコミュニケーションを図ってきたのかが、今後、水源林として役目を果たしていくかの鍵を握っています。山づくりは人との対話でもあります。施策終了後も計画を策定する際は考慮して取り組むよう求めました。

質問にあたって、8月に開催された水源環境保全・再生かながわ県民フォーラムに参加

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