令和6年

③ 要保護児童を家庭的環境で養育するための支援体制の整備について【令和6年 第3回 定例会】

会議日:令和6年9月13日【代表質問】

要保護児童を家庭的環境で養育するための支援体制の整備について

平成28年の児童福祉法改正により、昭和22年の法律制定時から見直されてこなかった理念規定が改正され、子供が権利の主体であることが明確に位置づけられるとともに、子供が家庭で適切な養育を受けられない場合は、家庭と同様の養育環境で継続的に養育されることが原則である旨が明記されました。

これを受け、国では、法の理念などを具体化した新しい社会的養育ビジョンを取りまとめ、本県でもこのビジョンを踏まえ、社会的養育を必要とする全ての子供の権利を保障し、子供の最善の利益を実現していくため、既存の計画を見直し、令和2年度から令和11年度までの10年間を計画期間とした神奈川県社会的養育推進計画を策定しました。

この計画では、家庭と同様の養育環境とされる里親や、里親経験者が5人から6人の子供を育てるファミリーホームへの委託による養育を積極的に推進することとしています。

県ではこれまで、里親を増やすことや、里親養育を包括的に支援する体制の整備に取り組んできたと承知していますが、里親を一朝一夕で大きく増やすことは難しく、不断の努力が求められます。

「神奈川県社会的養育推進計画」抜粋

児童相談所などの努力もあり、里親への委託率は微増していますが、国が求める目標を鑑みると、まだまだ先は長いと感じざるを得ません。

現在、県では、社会的養育推進計画の改定を進めていると承知していますが、一人でも多くの子供たちが家庭と同様の養育環境で生活できるようにするためには、里親への委託を増やすための今までよりも一歩踏み込んだ施策が必要と考えます。

そこで、里親委託をより一層進めていくため、どのように取り組んでいくのか、知事に所見を伺いました。

知事答弁

県では、社会的養護が必要な子供たちができるだけ家庭に近い環境で育つことができるよう、里親委託の推進に努めています。

具体的には、里親制度をより多くの方に知ってもらうため、商業施設等での広報や、学生向けの出前講座などを実施するとともに、支援拠点である里親センターひこばえと児童相談所等が連携し、新規里親の開拓や里親家庭を支える取組を進めています。

こうした取組の結果、里親登録者は、令和元年度の241組から、令和5年度には312組と3割増加し、委託児童も118人から145人に増えています。このように、里親委託は進んできてはいますが、社会的養護が必要な子供のうち、里親家庭等で生活する子供の割合は約22%で、令和11年度の目標である40%にはまだ遠い状況です。

里親委託をより一層進めていくためには、養育経験のない里親や里親希望者の不安の解消と、子供と里親を結ぶマッチングの強化が必要です。

そこで、県では、養育経験のない里親の下で、施設入所中の子供が里親家庭の生活を体験する取組を積極的に進め、里親の不安の解消を図ります。また、新規里親の開拓や研修、マッチングの強化などを効果的に行う体制づくりについて、里親センターひこばえなど関係機関とともに検討していきます。

今後も、一人でも多くの子供が家庭と同様の養育環境で生活できるよう、里親委託をより一層進めてまいります。

再質問

答弁にもあった、里親経験者が5人から6人の子供を養育するファミリーホームは最近増加しており、令和4年3月末現在で全国では446か所と伺っています。

子供たちには個性があり、中には里親やファミリーホームが合わない子もいますが、まずは、養育環境の選択肢を増やすことが大切だと考えます。しかし、県内のファミリーホームはまだ1か所で、最近設立されたと聞いています。今後、ファミリーホームを増やすための県の取組について再度伺いました。

再質問 知事答弁

ファミリーホームは、様々な事情を抱える子供たちに家庭的な生活の場を提供する大変重要な社会資源の一つであり、順次増やしていきたいと考えています。

一方、多くの子供を一緒に養育するため、養育者の負担が大きく、また、里親として一定の養育経験が必要であることから、担い手の開拓はなかなか進んでいないのが現状です。

こうした中で、今年4月に県所管域初のファミリーホームが設置されましたので、県としては、円滑に運営されるよう、しっかりとサポートするとともに、新規設置を目指し、ファミリーホームの担い手となる里親等への制度の周知を進めてまいります。

意見

平成21年に制度が始まったにもかかわらず、これまで本県にはファミリーホームが1か所もありませんでしたが、今年ようやく1か所が開設されました。これを皮切りに、意欲のある里親や児童養護の経験者がファミリーホームを開設したいと思った際には、十分なサポートを提供できるよう、国の支援についても常に注視していただくよう求めます。

また、里親委託率向上に向けた措置の選択肢を増やすため、不断の努力を続けていただくよう重ねて求めました。

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