会議日:令和6年9月13日【代表質問】
子どもの居場所づくりについて
子供の置かれた状況に目を向けると、国が令和4年度に実施した、こどもの居場所づくりに関する調査研究報告書では、様々な理由により、家庭や学校以外の居場所を求める子供の割合は、各世代で7割近くを占めています。
昨年、こども家庭庁から出された、こどもの居場所づくりに関する指針によると、居場所がないことは、孤独・孤立の問題と深く関係しており、背景には、地域のつながりが希薄化するなどの地域コミュニティーの変化や、不登校や自殺など、子供を取り巻く環境の複雑化、複合化などがあるとされ、子供が生きていく上で居場所があることは不可欠であるとされています。
また、報告書によると、居場所がないと感じる子供の割合は9歳までが28.6%、9歳 から12歳で36%、13歳から15歳で35.5%、16歳から18歳で38.5%、19歳以上で41.2%と、年齢が上がるにつれて増加傾向となっています
こども家庭庁設立準備室(現こども家庭庁)「こどもの居場所づくりに関する調査研究報告書」抜粋
ほかにも、自分だけで情報を得て居場所に来られる子供が少ない、中学校卒業後から青年期に至るまで、居場所となり得る社会資源が不足していることなどが、子供の居場所を取り巻く課題とされています。
質問に先立ち、子供の居場所づくりを推進する埼玉県の取組を伺いましたが、子ども食堂や学習支援、プレーパークなど、子供の居場所の数を、子供が歩いて通える小学校区と同程度の800か所を目標に定め、民間の自主的な取組や市町村を支援する取組をしているとのことで、令和4年は27か所、令和5年は34か所と広がっており、また、大野知事自ら、子供の居場所づくりの重要性を発信しています。
質問に先立ち、埼玉県庁にてヒアリング
本県では、神奈川県子どもの居場所ポータルサイト、かながわスマイルテーブルなどで、地域における子供の居場所づくりに関する情報提供の取組を行っていると承知していますが、
本県の子ども・子育て支援推進条例を見ると、こうした子供の居場所の重要性に関しては位置づけられておらず、困難な状況に追い詰められる子供の居場所づくりに対する考え方を今回の改正に当たっては取り入れ、実効性のある施策に取り組む必要があると考えます。
そこで、今後の本県における子供の居場所づくりについて、国が示したこども大綱を踏まえ、子ども・子育て支援推進条例や都道府県こども計画にどのように位置づけ、具体的な取組を行っていくのか、知事に所見を伺いました。
知事答弁
子供の居場所は、家庭や学校以外に子供が安心して過ごせるサードプレースとして、また、様々な大人とも交流できる地域の拠点として重要であり、県ではこれまで、そうした役割を担う子ども食堂などの取組を支援してきました。
現在、県では、令和5年4月のこども基本法の施行等を受け、子供や子育て当事者からの意見を聞きながら、神奈川県子ども・子育て支援推進条例の改正や、県こども計画の策定を進めています。
子供や子育て当事者からは、子供だけでも行けて安心して過ごせる場所が欲しいといった居場所への意見が多く寄せられました。また、家庭内不和や不登校などにより、困難を抱える子供は、家庭にも学校にも居場所がなくなるおそれがあります。
そこで、全ての子供・若者が安全で安心して過ごせて、学習やスポーツなどの体験ができる多様な居場所づくりに向け、現在改正作業を進めている条例や県こども計画に、新たに子供の居場所づくりの推進を位置づけます。
また、今年度、プロスポーツチーム等の民間事業者と連携して、スポーツを通じた子供の居場所づくりのモデル事業を行っており、今後、事業効果の検証を行った上で、こうした新たな主体による子供の居場所づくりを積極的に進めてまいります。
私からの答弁は以上です。
再質問
条例や計画での位置づけについては、しっかり位置づけていくことで理解いたしましたが、具体的な取組として、プロスポーツチームと連携したモデル事業を主に小学生を対象に実施しているとのことでした。
しかし、質問でも触れたとおり、居場所がないと感じる子供の割合は、年齢が上がるにつれて増加傾向にあります。中高生を対象とした居場所づくりも重要であると考えますが、今後どのように取り組んでいくのか、伺いました。
知事再質問 答弁
中高生を対象とした居場所づくりに関する取組についてのお尋ねでありました。
家庭や学校に居場所がないと感じている中高生が、将来、円滑な社会生活を送るためには、早い段階で相談や安心できる居場所につなげていくことが重要であると考えています。
県では、家庭等に居場所がないと感じている青少年の悩みに寄り添う電話やLINE相談を実施しているほか、安心して過ごせる場を提供し、併せて相談支援を行うNPO等に人件費などの活動費を補助しています。
県としては、今後も、市町村、NPO等や子供・若者から意見を聞きながら、中高生の効果的な居場所づくりについて検討してまいります。
意見
中高生の居場所づくりについて検討していくとの前向きな御答弁を頂きました。
本県の子供の居場所づくりについては、年代ごとの取組や支援に関わる民間団体への支援など、取り組む必要があると考えます。特に、中高生は部活動があることで、居場所の重要性が見過ごされるとの指摘もあります。
それぞれのニーズ、年代のニーズに合った取組を調査し、条例や計画を作成する中で、県としてしっかり具体的な取組を形にするよう求めました。