令和6年

⑨ 災害対応におけるSNSの活用とデマ対策の強化について【令和6年 第3回 定例会】

会議日:令和6年9月13日【代表質問】

災害対応におけるSNSの活用とデマ対策の強化について

本年は年明け早々、能登半島地震が発生し、今後も大規模地震の発生が想定される中、災害発生時に適切な避難行動を県民に促すデジタル等を活用した迅速な情報発信が重要と考えます。

身近な通信手段であるスマートフォンが普及してきており、本県でもLINEによる、かながわ防災パーソナルサポートにて緊急情報が確認できる取組が始まっており、県民の災害時の情報収集の有効な手段であると言えます。

また、災害の情報収集におけるSNS利用率は、総務省の調査によると、東日本大震災の際の0.9%から、熊本地震では47.6%と格段に増えており、30代以下の世代はSNSによる情報収集を最も重要視するとする調査もあります。

総務省「熊本地震におけるICT利活用状況に関する調査」(平成28年)抜粋、一部加工

SNSは画像等も添付し、気軽に投稿できるため、何が今起きているのか、例えば、実際に大雨により孤立し、電話回線が不調になった方がSNSを発信したことにより救われたなど、迅速かつきめ細やかな災害対策にSNSの活用は大変重要と考えます。

一方で、悪質なデマの問題があります。

能登半島地震では、被災者を装ってSNS上で救助を求める虚偽の投稿があり、捜索活動に支障が出たケースがあり、総務省も注意の呼びかけを行いました。

また、今回の台風10号の影響による豪雨でも、東京都と本県を流れる多摩川での氾濫が実際に確認されていないにもかかわらず、偽の河川の氾濫画像がSNSで話題になるなど、災害時のデマは判断を誤ることにつながりかねません。

こうしたデマに対し、警察庁では、都道府県警に虚偽投稿の特徴を周知し、迅速に注意喚起していくことや、総務省でも相談体制の確保や、偽情報が詐欺などの犯罪につながることを抑制する法規制が検討されていること、さらに、大分県防災局は、災害発生時に民間企業と連携し、人工知能-AIを活用して、SNSに投稿された情報等を解析してデマを判別するなど、国や都道府県での取組も進んでいます。

今後も、日本のソーシャルメディア利用者数は2022年の1億200万人から、2027年には1億1,300万人に増加すると予測され、今後も災害時にも活用されるSNSについては、災害時の状況把握や救助などに積極的に活用する手段である一方で、災害時に出回るデマに対して県民への注意や、危機管理部門側の情報の判別・精査にも取り組むことが必要です。

そこで、災害対応におけるSNSの活用とデマ対策の強化について、どのように取り組むのか、知事に所見を伺いました。

知事答弁

スマートフォンが県民の皆様の主要な情報収集手段となる中、県は、かながわ防災パーソナルサポート等SNSを積極的に活用し、災害への備えや危険が迫った際の緊急情報の発信などを行っています。

6月に運用開始した、かながわ防災パーソナルサポートについては、住所地など、利用者が登録した情報に基づき、きめ細かな避難情報を個別に発信できるよう機能を拡充させるなど、今後、SNSによる災害情報の発信をさらに強化したいと考えています。

次に、デマ等偽情報をできるだけ拡散させないためには、県民の皆様に繰り返し正しい情報を発信し、適切に行動していただくことが重要です。

今回の台風対応では、防災パーソナルサポートやX-旧ツイッターなどによる県からの情報発信は100回を超えています。

先月、県西部で震度5弱の地震が発生した際には、温泉地学研究所の観測データから、大きな地殻変動等がないことや、デマに惑わされず、正確な情報の把握に努めるよう、私からメッセージを発出しました。

また、県は、SNSの投稿情報から、AI技術で信憑性の高い防災情報を確認できるシステムを導入しています。今後はこの運用体制の強化に努め、デマの拡散などを確認した際には、警察や市町村と連携し、デマを打ち消すための正しい情報を発信していきます。

県としては今後も、災害情報の発信にSNSを積極的に活用するとともに、デマによる混乱を避けるための対策強化に努めてまいります。

意見

最近はSNSの発信数を伸ばすための故意の発信もあり、改めて、自治体が一次情報をしっかり出すことが重要です。

また、SNSを利用した災害に付け込む詐欺的な犯罪もある中、注意喚起や相談体制なども必要になると考えられますので、県としてもしっかり対策を、国の動きも合わせて進めていただくよう求めました。

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