令和元年

⑦ グリーンインフラの取組みについて【令和6年 第3回 定例会】

会議日:令和6年9月13日【代表質問】

グリーンインフラの取組みについて

グリーンインフラの取組みについて伺います。

グリーンインフラは、自然環境が有する多様な機能を用いることで、ヒートアイランド現象などの社会における様々な課題解決に活用するもので、従来のインフラ整備と併せて、水、緑、土、生物といった自然環境が持つ自律的回復力を積極的に生かして、環境と共生した社会資本整備や土地利用などを進める取組です。

私は、令和3年第3回定例会の代表質問において、県における取組を確認し、これまで進めてきた都市基盤の整備について、グリーンインフラの観点で点検するとの答弁を頂きました。

それから3年がたち、その間、国は、グリーンインフラが認知から実装の局面に達したとし、グリーンインフラ推進戦略2023を策定しています。

国土交通省「グリーンインフラ推進戦略2023の概要」抜粋

策定の意義としては、前戦略の策定以降、4年が経過し、ネイチャーポジティブやカーボンニュートラル、ネットゼロなど、グリーンインフラに関連する社会情勢にも大きな変化が生じていることを受け、今後、環境に関する様々な社会課題の解決に寄与するグリーンインフラを一層普及させることとしています。

都道府県では、町なかの緑を増やすことを目的に、長野県が令和3年に県としての計画をつくり、中長期的な取組をモデル事業として、県内自治体4市と進めています。

長野県「信州まちなかグリーンインフラ推進計画」抜粋

グリーンインフラを導入したことを示す看板

グリーンインフラを意識づけするためにもこうした看板が街中にあることは重要です。

先日、話を伺ってまいりましたが、県が市町村へのグリーンインフラの理解と実装を進めるもので、緑地整備や保全を対象とした様々な支援制度を実際に活用したいという声も聞かれているとのことでした。

また、2027年に本県で行われる国際園芸博覧会では、旧上瀬谷通信施設のまちづくりをグリーンインフラ実装モデルとして発信し、他地域への展開を目指していくとしていることからも、本県にはグリーンインフラの理解と実装をさらに進めていく好機もあります。

現在、県の都市づくりの資料を見ても、グリーンインフラの視点が確認でき、グリーンインフラへの理解は進んできていると見受けられますが、市町村では依然としてグリーンインフラが浸透していないと思われることから、市町村にもその考え方を広めていく必要があると考えます。そこで、本県の都市づくりにおけるグリーンインフラの取組について、今後どのように取り組んでいくのか、知事に所見を伺いました。

知事答弁

国は、近年、持続可能な社会を形成するため、樹木や土、水といった自然環境が持つ様々な機能を基盤整備や土地利用に活用するグリーンインフラの考え方を提唱し、その普及に取り組んできました。

こうした動きを受け、まず、県は従来の基盤整備をグリーンインフラの考え方に照らして点検したところ、この考え方を取り込んでいた事例が多くありました。

例えば、海岸砂防林の整備は、飛砂や塩害から生活を守るとともに、海岸線の美しい風景をつくり出し、地震時には津波の威力を弱め、地球温暖化対策といった社会的な題にも対応する取組で、樹木が持つ様々な機能を活用しています。

こうした中、国はグリーンインフラの考え方が広がってきたことから、実装段階に移行させるため、昨年、新たな推進戦略を策定し、今後はグリーンインフラの考え方を積極的に取り入れ、都市づくりの様々な場面での実施を目指すこととしました。

そこで、県は令和7年に県や市町村の都市づくりの指針となる都市計画区域の整備、開発及び保全の方針を見直すに当たり、新たにグリーンインフラの考え方を踏まえて基盤整備や土地利用に取り組むことを位置づけ、実施につなげていきます。

さらに、市町村に国の支援制度や先進事例等の情報を提供するなどして、グリーンインフラの取組の一層の展開を図り、県は、自然と共生した持続可能な社会の形成を目指してまいります。

意見

市町村の計画でも、グリーンインフラの文言を見かけるようになりましたが、まちづくりに生かされている実感はまだ十分にありません。

第8回線引き見直しの中の新しい方針の中で、グリーンインフラの位置づけをしていただくとのことですが、県がもっと積極的に補助制度などをつくるなどして、グリーンインフラの仕組みの理解と実装を進めることが必要です。

県としても、これまで行ってきたグリーンインフラの取組をしっかり位置づけ、全国においても率先して取組を求めます。

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