会議日:令和6年10月1日【建設・企業常任委員会】
盛土規制法の施行に伴う取組について
【盛土規制法の概要】
令和3年7月に発生した静岡県熱海市での土石流災害を受け、国は、危険な盛土等を全国一律の基準で包括的に規制するため、「宅地造成等規制法」を抜本的に改正し、「宅地造成及び特定盛土等規制法」(通称:盛土規制法)を令和5年5月に施行。
○法改正のポイント
① スキマのない規制
都道府県等が盛土等の崩落で人家等に被害を及ぼしうる区域を規制区域として指定
規制区域内で行われる盛土等は、都道府県知事等の許可等が必要
出典:国土交通省「盛土規制法パンフレット」
https://www.mlit.go.jp/toshi/web/content/001603831.pdf
②盛土等の安全性の確保
盛土等を行うエリアの地形・地質等に応じて、災害防止のために必要な許可基準を設定特定盛土等規制区域の規制対象規模等は、条例で規制強化が可能
施行状況の定期報告、中間検査、完了検査を実施
出典:国土交通省「盛土規制法の概要」
https://www.mlit.go.jp/toshi/web/content/001490955.pdf
③責任の所在の明確化
土地所有者等は、規制区域内の盛土等が行われた土地を安全な状態に維持する責務を負うことを明確化
④実効性のある罰則
罰則が抑止力として十分機能するよう、命令違反等に対する懲役刑や罰金刑を高い水準に強化
条例制定の中身
宅地造成及び特定盛土等規制法施行条例法は、知事等の許可等が必要となる盛土等の規制対象規模を全国一律で定めているが、特定盛土等規制区域については、条例による規制強化を可能としている。県では、特定盛土等規制区域について、道路網が発達し、宅地造成等工事規制区域より規制が緩いと土砂の搬入が集中するおそれがあることなどから、特定盛土等規制区域の規制対象規模を宅地造成等工事規制区域と同じくする。また、許可申請手数料等について必要な規定を定める。 なお、これに伴い不要となる、神奈川県宅地造成等規制法関係手数料条例は廃止する。
関連して、今定例会では、本県の政令市や中核市、隣接県の規制区域の公表状況を伺いました。
盛土規制法が昨年施行され、今回の定例会には、宅地造成及び特定盛土等規制法施行条例の議案が提出されました。こうした条例に基づき、盛土規制法により規制を進めていく取組について、いくつか伺います。
まず、県は、今年4月、政令指定都市及び中核市を除く29市町村の県所管全域について、盛土規制法に基づく規制区域の候補区域を公表していると承知していますが、政令指定都市である横浜市、川崎市、相模原市、中核市である横須賀市の状況について現状どうなのか伺います。
盛土規制法では、政令市、中核市が施行主体となるため、各市で県と同様に規制区域を指定します。
こうした中、横浜市は本県と同じく4月に、川崎市は8月に、相模原市は9月にそれぞれ規制区域の候補区域を公表しています。
また、横須賀市は本日、10月1日に公表予定と聞いております。
神奈川県 https://www.pref.kanagawa.jp/docs/jy2/morido/morido.html
来年までに全て公表していくということで、随時発表され、これで県内全ての候補区域が公表されたと思います。
【厚木市・愛川町・清川村の候補区域はこちらです】
厚木市
愛川町
清川村
次に、以前も確認しましたが、今のお話ですと相模原市は9月に規制区域の候補区域を公表したということですが、私の地元愛川町は、相模原市に隣接しており、規制の区域が跨る部分があります。
そのため、県と市で規制に強弱等が生じていないか、候補区域の状況を改めて確認します。
相模原市が9月に公表した規制区域の候補区域では、市全域が規制区域の候補区域とされており、 愛川町と接する区域は宅地造成等工事規制区域の候補区域としています。
また、本県が4月に公表した規制区域の候補区域では、 愛川町域全域を宅地造成等工事規制区域の候補区域としています。
そのため、相模原市と愛川町が接する 区域については、いずれの候補区域とも「宅地造成等工事規制区域」として規制の内容は同じとなっており、規制の強弱等は生じない見込みです。
愛川町と相模原市同じような状況で指定されたということではあると思います。地元では盛り土を懸念する声がかなりありましたので、度々、愛川町の状況と合わせて市の状況を聞かれることもありました。今回の県の指定も評価ができますが、指定後の連携についてもしっかりとしていただきたいと思います。
続いて、規制区域の指定にあたっては、県内市町村だけではなく、隣接県とも調整を図っていく必要があると考えますが、隣接県の状況についてはどのようになっているか伺います。
本県の所管する29市町と接する静岡県、 山梨県とは、県境の規制区域指定の考え方などについて会議を開催し、継続的に意見交換等を行っています。
静岡県は、9月に規制区域の候補区域や 施行条例の案を公表しており、本県と同様に、特定盛土等規制区域の規制規模を宅地造成等工事規制区域と同じくするなど、 規制内容が強化されています。
また、山梨県は現時点で未公表となっていますが、規制内容等に不具合が生じないよう調整を図っていきます。
元々、この盛り土規制は、熱海市の土石流災害の起点とされる盛り土が県をまたいで乱用されるというとこがきっかけだと思いますので、やはり県同士の連携が非常に大事だと思います。しっかりと今後も連携していただきたいと思います。
最後に、盛土規制法による規制を適切に行っていくためには、行政間の連携が重要ですが、県はどのように取り組んでいくのか伺います。
盛り土等は、行政間を超えて行われることもあるため、行政間の連携は大変重要であると認識しています。
そこで県は、市町村等とで構成する盛土対策連絡会議を活用し、県内の各施工主体や市町村と情報共有や意見交換を重ねていきます。
また、本県に隣接する静岡県、 山梨県と情報を共有する会議を継続的に開催しており、盛土規制法に基づく規制を適切に行っていくため、引き続き緊密に連携して盛り土対策に取り組んでいきます。
盛土規制法による規制により、規制の強弱等が 生じないように、引き続き関係機関と連携して、県民の安心、安全の確保に向けて取り組んでいただきたいと思います。
※神奈川県の盛土規制法に基づく規制について
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/jy2/morido/moridounyou.html
出典:リーフレット「神奈川の緊急輸送道路(令和5年3月)」https://www.pref.kanagawa.jp/documents/28831/chirashi.pdf
ここで盛土に関連した道路について伺います。今回、能登半島地震 を受けて、国が緊急輸送道路の盛土の法面の点検に着手すると報道がありましたが、本県でも緊急輸送道路の盛土の法面の点検を行っているのか状況を確認します。
道路の法面の点検ですが、まず、既存の取組みとして、県では、 緊急輸送道路のみならず、県が管理するすべての道路沿いの法面について、危険箇所を把握するため、 おおむね10年ごとに総点検を実施しています。土砂崩落などが懸念される法面については、防災カルテを作成して、毎年崩落などの兆候がないか確認し、 兆候が確認された際には直ちに崩落などを未然に防ぐ対策を施しています。
こうした中で、 今年1月に発生した能登半島地震では、緊急輸送道路である能越自動車道において、水が集まりやすい谷地形を高く盛土した箇所で 法面の崩落が多く発生したことから、国では緊急輸送道路で同様の条件でつくられた盛土箇所の法面の点検を行い、法面からの湧き水の有無など、崩落の危険が確認された際には対策を実施していくこととしています。
本県においても、国の取組みに準じ県管理道路約1,000㎞について過去の地形図などで能登半島地震で被害が多くあった条件と 同じ盛土があるか確認しているところです。同じ条件の盛土があった際には、法面からの湧き水がないかなど、崩落の危険性について調査を行います。
確認ですが、今はまだ調査中で、まだしばらくかかりそうということでしょうか。
そのとおりです。
谷地形で水が集まりやすい地形の部分を点検されていると思います。能登半島地震の後の豪雨もありましたが、緊急輸送道路の復旧の遅れが復興の遅れに繋がるということもありますので、至急確認を進めていただきたいと思います。
また、行政が担う公共事業などが災害に繋がってしまうという懸念もあると思いますので、しっかり進めていただきたいと思います。