会議日:令和6年10月3日【建設・企業常任委員会】
企業庁の水源かん養林の保育事業について
県内の複数のダムを管理する企業庁で、水源かん養機能や土砂流出防止のために相模原市の緑区において水源かん養林の保育事業を行っていると承知をしていますが、この取組みの状況を伺います。
まずはじめに、企業庁が相模原市の緑区で実施する水原かん養林の保育事業を始めた経緯とその概要について伺います。
昭和22年、水力発電や水源開発を目的としました相模ダムが、そして昭和30年に、戦後後期の電力増強や さらなる水道用水の確保を目的とした道志ダムが完成しました。しかし、昭和30年当初、道志ダム上流域は、戦争中や戦後の一時期の乱伐により森林が荒廃している状態でした。電力や水道用水の供給を担う企業庁としては、 良質な水源を将来にわたって確保していくために、水源かん養林の持つ貯水機能や土砂流出防止機能に着目し、地元住民の協力をいただきながら、水源かん養林保育事業として昭和35年から植林事業を開始しました。
この事業の対象は、相模原市緑区牧野地区と青野原地区を合わせて 426.83haで、令和6年度の事業費は約7,200万円となっています。
次に水源かん養林の保育事業ではどのような管理をしているのか伺います。
企業庁では、森林の持つ貯水機能や土砂流出の抑制を 図ることを目的に、昭和35年から10年間は植林を行い、昭和45年以降は下草刈りや 除伐、枝打ちなどの保護育成作業を行ってきました。森林の育成にあたっては人工林を適切な密度で管理する巨木林化、多種多様な樹脂が混生する混交林への誘導といった目的ごとにエリアを分け、おおむね樹齢100から120年を目標に保育事業を行っており、これらのエリアを概ね15年周期で整備しています。
令和元年の東日本台風や先日の台風10号などの豪雨で、 全国的に土砂災害が頻発していますが、この水源かん養林ではどのような被害があったのか伺います。
令和元年の台風では、水源かん養林にアクセスする林道の被害により、保育事業については、令和元年10月から 令和4年度までの間中断をせざるを得ない状況でした。中断期間中の令和2年度から3年度にかけて水源かん養林の被害状況の調査を実施しましたが、森林には特に大きな被害はなく、令和5年度から林道の復旧に合わせて順次保育事業を再開しました。
なお、今年度の台風第10号での被害は特にありませんでした。
続いて、これまで60年にわたって水源かん養林の保育事業を行っているということですが、その効果についてどのように評価しているのか伺います。
これまでの取組みにより、昭和30年代には荒廃した状態であった山林を 現在の森林となるまで保育できたことで、水源かん養機能をはじめ、土砂災害の防止、生物多様性や地球環境の保全など、高い公益的機能を有する森林へと成長しており、当事業の目的を果たしていると考えています。
また、CO2の削減効果についても、京都議定書の目標達成計画における 森林吸収量を参考に試算しますと、当該水源かん養林では年間約2,100トンのCO2削減の効果があったと推定されています。
企業庁がもつ水源林自体あまり知られていないと思いますが、これまでどのような広報を行ってきたのでしょうか。また、今後、水源かん養林の保育事業に対してどのように取り組んでいくのか。最後に伺います。
当事業の広報については、 リーフレット「企業庁の水源かん養林」を作成し、出先機関の窓口での配下やホームページに掲載するなどとして情報を発信しています。
これまでの保育事業により、水源かん養林は巨木林化、混交林化と目的ごとにエリア分けをした健全な人工林として成長しています。引き続き、各エリアの植生や成長度合いに応じた きめ細やかなメンテナンスを計画的に行い、おおむね樹齢100から120年までに目標とする水源かん養林となるよう、 継続的に保育事業に取り組んでいきたいと考えています。
水源かん養林の保育事業は非常に大事な事業だと思いますので引き続きやっていただきたいと思いますが、 せっかくならいろんな方に知っていただきたいという気持ちもあります。
確認したところ、リーフレットも結構古めなので本当は新しくしていただきたいですし、LINEなどの仕組みも企業庁では実施していると思うので、さまざまなところで企業庁の取組みも、うまく繋げながらやっていただきたいという思いがあります。 先ほど流域治水の質問をした関係もあるのでよろしくお願いします。