令和6年

大規模災害からの復興について【令和6年第3回定例会】

会議日:令和6年9月13日【代表質問】

近年、地球温暖化や気候変動の影響により、自然災害のリスクが世界的に増加しています。特に、日本では、これまで以上に頻繁に台風や地震といった大規模な災害が発生し、地域社会に深刻な影響を及ぼしています。

神奈川県も例外ではなく、今年8月に発生した台風10号では、県内各地で大きな被害が報告されました。例えば、平塚市では駐車場が浸水し、二宮町では短時間で道路が冠水するなどの被害が見られ、また、伊勢原市では国道246号付近で土砂崩れが発生し、小田原市、藤沢市、相模原市、大磯町でも、住宅損壊や床下浸水が相次ぎました。このような状況を受け、改めて災害対策の重要性が再認識されています。

※提供:二宮町

さらに、8月には、南海トラフ巨大地震に関する臨時情報が初めて発表され、その直後に神奈川県西部地域で大きな地震が発生しました。これにより、県内全域での災害リスクが一段と高まっていると考えます。

図1. 2024年8月9日0時から8月16日9時までの震源分布(赤丸)と過去3か月間の震源分布(灰色丸)
神奈川県温泉地学研究所より

こうした状況の中、県として広域的な災害に対する対策が急務となっています。特に、災害発生時の初動対応から復興計画、そして被災住民への支援体制において、市町村との緊密な連携が求められます。

災害発生後の初動が迅速かつ効果的であることは、被害の拡大を防ぐために極めて重要です。特に復興に向けた計画は、被災地の早期復興を進めるための基盤となるため、その内容と実行力が問われます。

また、被災者支援に関しては、避難所の確保や生活物資の供給、さらに、心のケアを含む幅広い支援が必要です。今年初めに発生した震度7を観測した能登半島地震から約9か月が経過した現在でも、被災地では広域避難が続き、復興が進んでいない状況にあります。こうした状況を踏まえ、県ではどのような取組が進められているのか、また、今後さらに強化すべき点について再点検が求められます。

そこで、神奈川県において大規模災害の発生が懸念される中、県として被災者支援や復興対策にどのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺いました。

知事答弁

県では、災害対策本部の統制部に市町村応援班を設置し、市町村と連携して被災者支援を行う体制を整備しています。

先日の台風10号への対応では、県は台風接近前から災害対策本部を設置し、被害拡大のおそれがある市町村にいち早く災害救助法を適用するなど、迅速に避難所の設置や物資の提供などを行う体制を確立しました。

また、きめ細かな被災者支援を継続的に実施するためには、避難所内外で避難生活を送る被災者の所在と支援ニーズを把握し、必要となる資機材の提供や医療・福祉支援などにつなげる体制が必要です。

そのため、県は、マイナンバーカードに防災アプリで避難者の把握と管理を行うシステムの実用化に国と連携して取り組むほか、災害発生後の被災者支援情報を状況に応じ提供できるよう、かながわ防災パーソナルサポートの機能強化にも取り組みます。

次に、大規模災害からの復興に関しては、地震災害対策推進条例に考え方を規定するとともに、地域防災計画に復興の基本的な事項を位置づけています。加えて、神奈川県震災復興対策マニュアルで、復興を推進する庁内の体制や財源確保、被災者の生活再建や復興計画の作成手順などを具体的に定めています。

今後は、能登半島地震での復旧・復興における現状や課題なども踏まえ、マニュアルの内容を検証し、きめ細やかな被災者の生活再建支援など、復興対策の一層の充実に努めていきます。

意見

平成31年の震災復興マニュアルを改定していく旨の答弁がありましたが、今後の改定には、能登半島地震を踏まえた対応をしっかり位置づけ、本県での災害復興に対応できるものにするよう求めました。
また、この災害復興マニュアルが風水害にも対応しているにもかかわらず、震災という表現が地震と誤解されやすいため、次回改定では大規模災害復興マニュアルと県民に分かりやすく、名称の改定の検討も求めました。

神奈川県議会議員:佐藤けいすけ

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