令和6年

② 砂防事業について【令和6年第3回定例会】

会議日:令和6年12月10日【建設・企業常任委員会】

砂防事業について

佐藤けいすけ

8月に建設・企業常任委員会の県外調査で国土交通省の立山砂防事務所及び国直轄砂防事業の現場などを視察しました。

そして飛越地震によって鳶山崩れというのがあり、土砂が4.1億㎥流出して、常願寺川水系に流れて、その後、富山市内までの氾濫などの対策が取られたということで、この歴史の長い事業は、 関東大震災によって甚大な被害を受けた神奈川県内の復旧対策を国直轄事業として実施したことをきっかけに抜本的な対策が始まったというお話を伺いました。そこで、本県の砂防事業の重要性を感じたところです。

佐藤けいすけ

地元の清川村、愛川町は、中津川水系の原流部・上流であり、渓流を多く抱えています。 土石流を防止する砂防事業の推進と、地元の砂防事業をいくつか伺います。

まず、土石流の災害を防ぐために砂防事業によって整備が行われる砂防施設とはどのような施設なのか、確認の意味で伺います。

砂防課長

土石流災害は、大雨により山腹や渓流の土が削られ、 土砂や石が水とともに一気に下流に押し寄せる土石流により発生する土砂災害です。砂防施設はこうした土石流災害の防止、軽減するための施設でありまして、砂防堰堤と呼ばれる土砂や土石をせき止めるダムや、渓流の岸が削られることを防ぐ渓流保全工と呼ばれる護岸などがあります。

砂防事業のパンフレット

https://www.pref.kanagawa.jp/documents/94385/sabou.pdf

佐藤けいすけ

砂防事業を行うには、対象となる区域を砂防指定地に指定した上で、砂防堰堤などの施設を整備する必要があると承知をしていますが、 本県におけるこの砂防指定地の指定状況とこれまでの作防堰堤の整備状況について伺います。

砂防課長

砂防指定地の指定状況ですが、県全体ではこれまでに391渓流で 合計717ヶ所が指定されています。また、砂防堰堤の整備状況については、令和5年度末までに 250渓流で合計880基の堰堤を整備しました。

佐藤けいすけ

非常に多くの堰堤があるということで、これまでの砂防堰堤の整備状況は理解しました。 そもそも県ではいつからこの砂防事業を行っているんでしょうか。そして、県が行ってきた歴史的な砂防事業はどのようなものがあるのか伺います。

砂防課長

まず、本県の砂防事業ですが、 大正13年に酒匂川水系、相模川水系などで砂防指定地が指定されました。大正14年から 国直轄砂防事業が開始されました。これが始まりとなり県ではその2年後の昭和2年に須雲川砂防事務所、そして昭和3年には相模川砂防事務所及び酒匂川砂防事務所を設置し、 県による本格的な砂防事業が開始されました。

また、県がこれまで行った歴史的な砂防事業は、昭和28年7月、今から70年以上前に箱根早雲山の須沢で発生した大規模な地すべりに対する復旧事業があげられます。 この地すべりは、東京ドームの2/3杯分に相当する約80万㎥もの流出土石により、 死傷者20名以上に及ぶ惨事を引き起こしました。このため、県は直ちに災害復旧に着手し、高さ8mから20mの砂防堰堤を11基、堤防694mなど 大規模な復旧工事を行い、昭和33年3月に復旧を完成しています。

完成した嵩上げ砂防えん堤
須沢・早雲山の砂防工事と地すべり対策工事
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/b4w/cnt/f52/p1217985-2.html

佐藤けいすけ

整備した砂防堰堤が災害防止に効果を上げているのか伺います。

砂防課長

本県で砂防事業が開始されて以降、 人命が失われるような甚大な土石流災害は、先ほどお答弁いたしました昭和28年の 須沢で発生した災害と、そして9名に上る死者行方不明者を出した昭和47年のいわゆる山北災害というものが挙げられます。

砂防課長

その後、本県におきましては人命が失われた土石流災害は発生しておらず、 これまでの堰堤等の砂防施設の整備が効果を上げていると考えています。

一例を申しますと、愛川町半原の中津川上流砂防指定地真名倉沢には平成26年度に整備した砂防堰堤がありますが、令和元年の東日本台風の際に、 流木や土石流を防ぎ、下流への被害を防止しています。

佐藤けいすけ

砂防堰堤の効果について理解をしましたけども、現在のこの砂防事業の取組みはどのようになっているのか伺います。

砂防課長

現在の砂防事業の取組みですが、県では、砂防堰堤等の施設整備に 着実に取り組むとともに、築造から年数が経過した施設につきましては、 長寿命化計画を策定し、これに基づきまして改築等の老朽化対策を実施しています。

令和6年度は、63渓流75ヶ所で施設整備のための測量調査や設計、砂防堰堤等の整備及び老朽化対策のための施設の改築に取り組んでいます。

神奈川県砂防関係施設長寿命化計画(平成31年3月)https://www.pref.kanagawa.jp/documents/78947/sabo_shisetsu_tyouzyumyouka.pdf

佐藤けいすけ

63渓流75ヶ所ということで、1年間で多くの 老朽化に対応していただいていると思いますが。今後もメンテナンスなど、長く持たせていただくようお願いします。
また、やはり森林で土壌をしっかり抑えるということ重要であると思いますので、環境農政局の森林課と連携をして取り組んでいただきたいと思います。

佐藤けいすけ

続いて、県全体の現在の取組みについては理解をしましたけれども、私の地元の清川村、愛川町についてはどのようなところで事業を行っているのか伺います。

砂防課長

清川村におきましては、相模川水系小鮎川上流にあたります煤ヶ谷地区の中丸沢や 明神沢の2渓流で土石流対策のための砂防事業に取り組んでおりまして、また、愛川町では、中津川の上流にあたるは半原先の南沢で老朽化対策のための砂防事業に取り組んでいます。

佐藤けいすけ

清川村と愛川町で進めている砂防事業のそれぞれの今後のスケジュールというのはどのようになっているのか伺います。

砂防課長

清川村の中丸沢につきましては、砂防堰堤2基を整備する計画でございまして、令和6年度は施設整備に向けた用地測量などを行っており、令和10年度の完成を目指して整備に取り組んでいきます。同じく清川村の明神沢につきましては、 砂防堰堤2基を整備する計画で、令和6年度は整備に必要となる用地の土地評価業務を行っており、 令和11年度の完成を目指して整備に取り組んでまいります。

また、愛川町の南沢では、砂防堰堤1基の改築を計画しており、令和6年度は工事の一部に着手して、 令和8年度の完成を目指し引き続き工事を行ってまいります。

佐藤けいすけ

清川村では病院のすぐ隣で行っていただいている事業もあると思いますので、早期対応に向けて取組んでいただきたいと思います。砂防は歴史のある分野だと思いますけれども、この間本県でも流域の森林が回復したり、一方で豪雨の頻発、そこに先ほど申し上げた流域治水、生物多様性の対応などもあるとは思いますけれども、そういうものを見据えながら、砂防施設の整備に取り組んでいただきたいと思います。

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