会議日:令和7年3月5日【建設・企業常任委員会】
県営水道の今後の広報の進め方と建物の歴史的価値を踏まえた活用検討について

水道記念館のあり方について、デジタル社会の進展に伴い広報機能を「場所にとらわれない広報」へシフトするという流れは理解できる一方、建物は歴史的建造物として後世に残していくべき価値があるものと考えます。そこで、今後の広報の進め方等について何点か伺います。
これからの時代の広報として、デジタル技術を活用して動画コンテンツの制作を進めていくとのことですが、現在制作を進めている「バーチャル浄水場」ではどのようなデジタル技術が活用されているのか伺います。

完成間近となっているバーチャル浄水場におけるデジタル技術の活用について、3点に分けて説明します。
まず1つ目は、ドローンの空撮技術により、相模川の取水施設等をこれまでにないダイナミックな映像として見ていただけるようにしています。
2つ目は、360度動画として撮影しているため、視聴される方がタブレットやパソコンを操作することで全方向を見渡すことができ、自分がその空間に存在しているかのように体験いただけるようにしています。
3つ目は、水中カメラにより沈殿池の池の中を撮影しており、普段見ることができない池の中がどうなっているかを実感いただけるようにしています。


令和7年度は水源から家庭に水が届くまでの動画を作るとのことですが、現在、水道記念館に展示されている水道の歴史についてもきちんと普及啓発していくことが大事だと思います。そこで、今後の広報ではどのように取り組んでいくのか伺います。

先人たちのたゆまぬ努力の積み重ねにより、現在の高い技術を誇る水道があることをきちんと伝えていくことが重要と認識しています。企業庁では、令和5年8月に発行した「相模の水」において、県営水道90年の意味を特集するなど、歴史に関する広報を行っていますが、今後のデジタル技術を活用した広報を進める中で水源開発や県営水道の創設から現在に至るまでの水道の歴史をテーマとした動画についても作成していくことを考えています。

県営水道の特徴とか良さを引き出すような広報に取り組んでいただきたいと思います。
次にこの建物の歴史的価値について確認したいと思います。私も一昨年この水道記念館を見させていただいたんですが、外観が目を引きました。水道記念館の建物がどのように評価されているのか伺います。


昭和11年に寒川第一浄水場の送水ポンプ所として建設された建物は、県庁本庁舎の外壁と同様にスクラッチタイル張りで、昭和初期の官庁建築の特徴が保たれており、昭和60年に当時の厚生省が企画した「近代水道百選」に選ばれています。また、神奈川県営水道施設群の1つとして土木学会推奨土木遺産に認定されています。
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土木学会選奨土木遺産とは
土木遺産の顕彰を通じて歴史的土木構造物の保存に資することを目的として、平成12年に認定制度を設立され、推薦および一般公募により、年間20件程度が選出されています。
https://www.jsce.or.jp/contents/isan
神奈川県営水道は、昭和8年に日本で最初の広域水道として創設され、昭和60年に県営水道創設期に建設された水道記念館(旧送水ポンプ所)のほか、配水池の県営水道施設群が「土木学会選奨土木遺産」に認定されました。
神奈川県HP「水道記念館の歴史」
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/r4a/suidoukinenkan/kinenkan_rekisi.html
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他の水道施設の歴史的建造物で、昔の建物を残して活用されている事例はあるのか確認します。

水道記念館と同様に昭和初期に建設された旧鎌倉加圧ポンプ所は、すでに敷地を含めて売却し、民間事業者の所有となっていますが。スクラッチタイル貼りの外観や、ポンプ所でであった頃の内部の構造を生かして、現在レストランとして活用されています。また、横浜市水道局では、再整備を進めている西谷浄水場において、浄水場が創設された当時から、場内に残る歴史的建造物6棟を、再整備に影響がない場所に移設を行うことで後世に引き継いでいくと聞いております。

水道記念館の建物についても残した上で、県営水道の広報以外での様々な活用に繋がれば良いと考えますが、企業庁の見解を伺います。

今後実施を予定しているサウンディング型市場調査では、建物の外観を保持した中での活用についても提案をいただきたいと考えています。この調査の中では、民間事業者の視点から、水道記念館の建物がどのように評価されるか、また立地する周辺エリアの価値向上への寄与に関する考え方などについて、きちんと聞いて考えていきます。