会議日:令和7年3月7日【建設・企業常任委員会】
発電所の保守管理の効率化に向けた取組について

電気事業では、保守管理の効率化を目的としてスマート保安システムの導入を進めており、本委員会でも過去に答弁があったと承知しています。令和7年度当初予算にもスマート保安システム関連の予算が計上されていますが、その内容について何点か伺います。
まずはじめに、スマート保安システムとはどのようなものか改めて確認したいと思います。

スマートフォンシステムとは、先進技術を活用し、効率的で安全性の高い保安体制を目指したシステムであり、具体的には、水力発電所であれば発電機の各設備に、振動、温度、流量を測定するセンサーを設置し、それをモニタリングするものです。県営電気事業では、このシステムを使い、保守管理の拠点である相模川河川管理事務所から離れた場所にある一部の水力発電所の状態監視を始めています。


次に、県営電気事業においてスマート保安システムを導入することになった経緯について伺います。

県営電気事業では、経営基盤強化への取組みの1つとして、発電設備等の保守管理の効率化を事業計画に位置づけており、令和元年度からスマート保安システムの導入を目指し、先行して導入している電力会社へ調査を行いました。調査の結果、保守管理の拠点から離れた場所にある発電所の状態をモニタリングし、蓄積したデータを活用できるなど、発電所の保守管理に有効であることが確認できました。この結果を踏まえ、令和3年度に主力発電所である相模発電所に導入し、検証を始めました。

令和3年度から相模発電所にスマート保安システムを導入したとのことですが、どのような結果が得られたのか伺います。

相模発電所に導入後、このシステムで収集したデータを分析することで、機器の異常を早期に発見できた事例がありました。また、データを分析することは、特に機械設備の劣化の状況の把握に有効ということがわかってきました。このことは、例えば、今まで職員が月に2回程度行っている発電所での巡視点検の際に記録していたデータ、いわゆる「点」で機器の状態を把握していたものが、システムが収集した連続したデータ、いわゆる「線」での記録により、細かな傾向を捉えられることが分かりました。

相模発電所以外の発電所についても、スマート保安システムは導入されているのでしょうか。

令和5年度から令和6年度にかけまして、道志第二発電所に導入しています。


スマート保安システムを順次導入するということですが、令和7年度当初予算に計上されているスマート保安システムの具体的な内容を伺います。

令和7年度予算において、道志第1発電所への導入に関する経費を記入しておりますが、具体的には、機器に関するデータは制御装置を経由してスマート保安システムに取り込みますので、この更新に合わせて導入することが最も合理的と考えられますので制御装置の更新を行う令和9年度に合わせて、令和7年度から3か年の債務負担行為で予算を計上しています。

3ヵ年の債務負担行為ということですが、設置に長期間かかる理由について伺います。

発電所ごとに規模や形式が異なりますので、保守管理に有効な項目に違いがあり、本システムの導入にあたっては、設置するセンサーの種類や数が変わります。道志第一発電所は、比較的大型の発電所ですので、センサーの数や収集するデータも多くなります。最近の半導体不足の影響にもあり、製作期間が長期化していることもあり、制作から設置まで3か年を要する状況となっています。

半導体も今足りないですとか、増産をするといういろいろな話は聞きますので、長期間かかる理由については理解します。
では、今まで設置してきたスマート保安システムについてはどのくらいの期間で設置できたのか伺います。

今まで相模発電所と道志第2発電所の2か所に設置してまいりました。相模発電所は大型の発電所であるため3か年、道志第2発電所は比較的小型の発電所でありますので、2か年で設置しています。

今後、県営電気事業としてスマート保安システムをどのように活用し、展開しようと考えているのか最後に伺います。

スマート保安システムにより、ベテラン職員の経験から得られる判断を、システムにより数値化して分析することで、故障の未然防止や、機器の劣化等の分析に活用できるものと、考えています。システムにより、機器の劣化等を分析するには、数年間分のデータを蓄積する必要がありますが、データを蓄積していくことで、有効に活用できるものと期待しています。このようにスマート保安システムは、発電所の保守管理の効率化につながりますので、神奈川電気ダム管理事業計画の重点取組目標である「発電停止時間をゼロに近づける」を達成するためにも、導入を進めながら発電所の安定運用に努めてまいります


脱炭素社会の実現に必要な再生可能エネルギーの安定供給に取り組むには、発電所の安定的な稼働が不可欠だと思います。スマート保安システムのようなデジタル技術を計画的に導入し、再生可能エネルギーの安定供給に努めてほしいということと、デジタル機器ということで何か起きたときのバックアップも非常に重要になります。そこはやはり人が対応しなければいけないと思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。