令和7年

② 既存の路線バス運転手の有効活用に向けた取組について【令和7年第1回定例会】

会議日:令和7年3月7日【建設・企業常任委員会】

既存の路線バス運転手の有効活用に向けた取組について

佐藤けいすけ

地域の移動手段の柱となる路線バスは、運転手不足等により、路線の廃止、減便が全国的に発生しております。県内においても今年度に入り減便が続いていますが、こうした中、県は、利用者の少ないバス路線について、小型車への転換費用を市町村に補助し、バス運転手の有効活用を図るための費用を、令和7年度当初予算案に計上したと承知しています。

そこで、何点か伺います。
まず、県内における路線バスの減便は、どのような状況なのか伺います。

交通政策課長

県内の路線バスは、利用者の減少による採算の悪化に加え、2024年問題による運転手不足などにより減便が続いています。県が神奈川県バス協会を通じて県内に営業所を有する17のバス事業者を対象に実施した調査では、県内の路線バスは令和元年度末時点で約80,000便ありましたが、令和6年4月には約68,000便と4年間で約15%、12,000便が減便されています。

佐藤けいすけ

これまで県は、地域の移動を支える路線バスの維持確保に、どのように取り組んできたのか伺います。

参考 神奈川県交通関係資料集(令和6年度版)
   県内乗合バス車両数、総走行キロ、輸送人員の推移
交通政策課長

県はこれまで広域自治体の役割として、路線バスのうち複数市町をまたぐ路線や、主要駅に接続する幹線的な路線など。広域的な公共交通網の形成に必要なバス路線に対して、路線維持のための補助を行うなど、バス事業者を支援してきました。また、バス事業者から路線の廃止や大幅な減便等の申し出があった際には、国・県・関係市町村・バス事業者からなる神奈川県生活交通確保対策地域協議会を設置し、生活交通の確保などにかかる協議や調整を行っています。

佐藤けいすけ

次に、県が令和7年度予算案に計上した、路線バスから小型車への転換にかかる市町村への補助について、対象とする路線を1便あたりの利用者5人未満とした理由を伺います。

交通政策課長

この補助は、利用者の少ないバス路線について、大型2種免許でなくても運転可能な小型車両に転換し、既存の大型バス運転手の有効活用を図るものです。道路運送法では、普通2種免許で運転可能な車両は乗車定員10人以下とされており、バス路線の1名当たりの利用者は区間によって増減があることを踏まえ、運転手を除いた乗車定員の中央値として5人未満としました。

佐藤けいすけ

補助対象となる路線は、現時点で県内に何路線想定されるのか伺います。

交通政策課長

補助対象と想定される1便当たりの利用者が5人未満の路線は、令和4年度のデータになりますが、県央部や県西部などで約60路線ございます。

佐藤けいすけ

地域的には県央部と県西部の方が多いのかなというイメージはあります。

次に、運転手を有効活用するため、利用者の少ない大型バスについて小型車に転換するということですが、県内で小型車を活用し、市町村が運営するオンデマンドバスの導入状況はどのようになっているのか伺います。

交通政策課長

県内におけるオンデマンドバスの令和5年度の実績となりますが、茅ヶ崎市や松田町など9市町で導入されています。

佐藤けいすけ

市町村がこの事業を使っていくのかどうかは何とも言えないところですが、市町村の担当もバス路線がなくなる中では、交通空白地を埋めるために行政が動かないといけない。ただ、企画を立てる課も労力をかけれないというようなジレンマのようなものがあるのかなと思っているところです。

令和7年度予算では10,000千円を計上していますが、いくつの市町村に、どのような経費の補助を想定しているのか伺います。

交通政策課長

活用を想定する市町村数ですが、2市町村程度を想定しています。また、補助対象経費としては、普通2種免許等で運転できる小型車両の購入費やリース代、AIオンデマンド交通等を運行するためのシステム構築費、実証実験の実施や効果分析の費用などを想定しています。

佐藤けいすけ

2市町村というと少ない印象があります。もう少し想定してもいいのかなというところですが、最後に、県は、既存の路線バス運転手の有効活用にどのように取り組んでいくのか伺います。

交通政策課長

県は、県内の全市町村等で構成する地域交通研究会などさまざまな機会を捉えて、市町村に対して新たな補助制度を紹介し、活用を促していきます。また、市町村がAIオンデマンドバス等の小型車交通サービスへの転換を行う際は、各市町村の地域公共交通会議において技術的助言を行うなど、積極的に支援することで、既存の路線バス運転手の有効活用に取り組んでいきます。

佐藤けいすけ

運転手不足への対応について、利用者の少ないバス路線の運転手をほかの路線に配置して、既存の大型バスの運転手を有効活用するということ自体は良い視点であると考えます。これが実際にどのような効果が出てくるか、ということだと思います。先ほど2市町村が想定されるということで、例えば一路線あたり朝と夕で2人、4人分ぐらい確保できるという見込みだとも聞いておりますが、そういう意味では、実験的な予算でもあると思うので、来年検証が必ず必要になると思います。先ほどもっと想定できるのではないかと申し上げましたが、もし運転手の確保に繋がるようでしたら、事業をさらに進めていただきたいと思います。県としては今回小型車の転換を行う市町村をしっかり支援し、路線バス運転手の確保に向け取組んでいただきたいと思います。

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