会議日:令和7年6月24日【令和7年第2回定例会】
2.かながわの未来に向けた取組みについて
外国籍生徒等の県立高校の受入れ体制の充実について
外国人の受入れ体制や地域の中での共生は全県的な課題となっています。地域の労働力不足で、高度外国人材が求められている中でも、地域の外国人の児童・生徒を学び、育てる環境が必要です。そうした中、県立学校を始めとする学校での受け入れ体制は重要な課題と認識しています。
神奈川県では、外国籍の中学生等を対象に「在県外国人等特別募集」を制度化し、先進的に取り組んでいますが、外国に繋がりのある児童・生徒も増加している中、制度の運用においては柔軟性や実効性の面で課題が残されています。
令和7年度の入学選抜では、県立高校15校に設けられた在県外国人等特別募集の定員合計179名に対し、出願者の合計は224人。各校の志願倍率は0.70倍から1.70倍と幅があり、定員を超えた複数の学校では、外国籍の中学生が不合格となる結果となりました。
一方で、共通選抜では全日制課程において38校が定員割れとなっています。

2次募集に進んでいる志願者はいるものの、こうした制度運用のギャップによって、神奈川県内で学びの場を求める外国籍生徒等の受け入れが十分に行われていない現状があるのではないでしょうか。
私の地元である愛川町も外国人人口が増加しており、地元に立地する愛川高校は在県外国人等特別募集の対象校ですが、令和7年度の出願者は10名の募集定員に対し、7名でした。
一方、共通選抜では定員割れとなり、倍率は0.52倍。受け入れ枠の周知不足や支援体制の弱さが制度活用を妨げている可能性があります。在県外国人等特別募集の定員を上回る学校とのバランスも課題です。
制度は整備されつつありますが、その利用に結びつくためには、外国人保護者への情報発信や、中学校段階での進路支援・相談体制の一層の充実が不可欠です。県内では川崎や横浜北東地域において、プレスクールや土曜教室、キャリア教育を見据えた取り組みも始まっており、今後は県央地域を含めた全県的な展開を求めます。
そこで、外国籍生徒等の県立高校への受入れ体制の充実に向けて、県教育委員会としてどのように取り組んでいくのか、教育長の所見を伺いました。
教育長答弁

県教育委員会では、NPOの協力を得て、10の言語に対応した「公立高校入学のためのガイドブック」を毎年作成し、中学校などを通じて、外国籍生徒等に配付しています。
また、日本語を母語としない生徒等を対象に、高校進学ガイダンスを県内6地域で開催し、生徒や保護者の実情に応じた丁寧な個別相談を行っています。
さらに、外国籍生徒等が多い県立高校には、多文化教育や日本語教育の専門知識を持つコーディネーターを配置しています。

https://www.pref.kanagawa.jp/docs/dc4/nyusen/nyusen/nihongobogo.html
こうした中、外国籍生徒等の増加は続いており、県立高校における受入体制の更なる充実が必要です。
そこで県教育委員会では、今年15校で実施した在県外国人等特別募集について、来年の入学者選抜から、新たに県立磯子工業高校を加えた16校に広げます。
※専門高校では初めてとのこと
また、県立川崎高校で近隣の外国籍生徒等を対象に行っていた、週末における日本語学習支援について、今年度から、新たに、あーすぷらざでも開始するとともに、その対象を全県の外国籍生徒等に拡大しました。
県教育委員会では、こうしたことにより、今後も、外国籍生徒等の支援や、受入体制の充実にしっかりと取り組んでまいります。
再質問

外国籍生徒等の受入体制を充実させるには、入学後の進路相談や卒業後の進路先調査も重要であると考えますが、県教育委員会として外国籍生徒等の進路支援にどのように取り組んでいくのか、教育長に改めて伺いました。
教育長答弁

県教育委員会では、外国籍生徒等が多い高校に、進路指導を支援するサポーターを配置しています。
また、NPOやかながわ国際交流財団と連携して、外国籍生徒等の進路状況を調査し、とりまとめています。
こうしたことを通じて、今後も、引き続き、外国籍生徒等の進路支援に取り組んでまいります。
意見
外国籍生徒が高校で学ぶ意義は地域にとっても今後も大きくなっていくと考えます。そのために入学前から入学後の一貫した取り組みは重要です。共生型の学校としてのモデルがあっても良いと思いますし、外国籍県民の増加による長期的傾向と地域の状況をしっかりと捉え、進めていただくよう求めました。
神奈川県議会議員:佐藤けいすけ