会議日:令和7年7月1日【産業労働常任委員会】
ベンチャー支援の取組について【令和7年第2回定例会】

出典 神奈川県ウェブサイト
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/sr4/cnt/f537666/yak01.html

神奈川県では、YAKを通じて自治体とベンチャー企業(スタートアップ)を結びつける実証事業を推進していますが、どのような分野・地域で取組みを進めていくのか。県内市町村との連携状況や、報告資料に記載のある連携プロジェクト創出数の目標設定の考え方も併せて伺います。

今年度から新たに、ベンチャー企業と自治体との連携を支援するYAK(エール“ガバメント×ベンチャー”アライアンスかながわ)の取組みを開始したところです。この取組みでは、県庁のほか、横須賀市や平塚市など7自治体が解決したい行政課題などのテーマを掲載し、課題解決に向けたベンチャー企業からの連携テーマを募集しているところです。
具体的な事例ですが、バイオプラスチックの製品の活用による脱炭素の推進や、外国人観光客へのマナー啓発、担い手の高齢化が進む中での地域コミュニティの活性化といったテーマを掲載し、7月14日まで提案を募集しているところです。また、連携プロジェクトを確実に推進していくため、自治体との連携プロジェクトは5件、さらに、大企業との連携や脱炭素推進につながる連携プロジェクトなど、合計17件の連携プロジェクトを採択し、秋以降、プロジェクトの伴走支援を行っていく計画となっています。そのため、今年度のプロジェクトの採択数である17件を目標として設定したところです。


続いて、YAKでは県庁や市町村の課題を起点にベンチャー企業との連携プロジェクトの創出を目指していますが、こうした取組みが広がるには、自治体側のリテラシーや予算、人材の確保も課題だと思います。県として、県内全域への展開に向けた支援にどう取り組むのか伺います。

ベンチャー企業との連携にあたっては、自治体職員のベンチャー企業に対する知識や、その役割についての理解が重要であると考えています。この取組みに参加する自治体の担当者を集めて、ベンチャー企業との付き合い方、連携に向けた考え方を解説するセミナーを4月に実施したところです。
また、自治体において、新たな予算を措置する際には時間を要するという課題がありますが、有望な連携プロジェクトには対しては、開発や実証のための支援金を提供し、取組みを加速化していきます。
さらに、産業振興課職員と委託事業者が連携プロジェクトに伴走してサポートしてまいります。その上で、今回の実証事業の成果など、他の市町村にも発信することで、この取組みを広げていきたいと考えています。

YAKでの実証機会が、ベンチャー企業にとっては事業の社会実装や自治体販路の獲得につながると思いますが、県として、実証後のフォローや資金支援、他自治体展開への橋渡しなど、企業の県内定着・成長を促す支援策はどのように整備されているのか、ベンチャーの育成拠点としてのYAKの将来像も含めて伺います。

これまで大企業との連携を支援してきた取組みと同様に、SHINみなとみらいの拠点を活用して継続的に支援を行っていく予定です。具体には、伴走支援終了後も継続して事業展開についての相談会を行っていきます。また、成果が出た連携プロジェクトにつきましては、県の記者発表、ホームページ、SNS等のほか、民間が運営するベンチャー企業の情報をまとめたポータルサイト、成果発表を行うイベントなどで積極的に周知し、認知度を高めるとともに、他の自治体にも紹介するなど、有効な取組みが広がっていくよう支援していきたいと考えています。その他、資金ニーズが強い企業に対しましては、SHINみなとみらいのインキュベーションマネージャーによる資金調達支援ですとか、クラウドファンディングの活用支援を行っていきます。

ベンチャー企業の成長促進拠点「SHINみなとみらい」https://www.pref.kanagawa.jp/docs/sr4/shin/shinminatomirai.html

令和7年度の取組みとして、脱炭素推進など社会課題の解決を目指すベンチャー企業からプロジェクトを募集するとあります。
例えばネイチャーポジティブなどは、今後より重要性の増す取組みの1つであると認識しており、ベンチャー企業の持つアイデアや技術の活用が期待できると考えますが、脱炭素推進のように特別な枠を設けるなど、重点的に取り組んでいくことは考えられるのか伺います。

2050年脱炭素社会の実現に向け、全庁的に取組みを進めている中、産業面からの脱炭素の取組みを後押ししたいと考えているところです。そこで、大企業とベンチャー企業の連携支援の中で、令和5年度から県の気候変動対策基金を活用し、ベンチャー企業の技術やアイディアを活用した脱酸素推進につながるプロジェクトについて、その他のプロジェクトとは別に支援枠を設けて重点的に取り組んでいるところです。委員からご指摘のあったネイチャーポジティブ、生物多様性の取組みだと思いますが、特別枠を設定することは現時点では難しいところですが、ネイチャーポジティブにつながる有効なプロジェクトがありましたら、社会課題解決につながるプロジェクトの1つとして支援できると考えています。

社会課題の解決に向けて、企業・自治体が取り組んでいくことが増えている今、独自の取組み、技術などを持ち合わせたベンチャー企業の存在や育成、マッチング支援は必要だと思いますので、引き続き県としての取り組みを強く求めたいと思います。
神奈川県議会議員:佐藤けいすけ