令和7年

① 日産自動車の国内生産縮小及び米国関税強化を踏まえた県内産業・雇用への波及と県の対応について【令和7年第2回定例会】

会議日:令和7年7月1日【産業労働常任委員会】

日産自動車の国内生産縮小及び米国関税強化を踏まえた県内産業・雇用への波及と県の対応について

佐藤けいすけ

日産自動車の国内生産縮小の報道および米国関税強化を踏まえた、県内産業・雇用への波及と県の対応について、地元の中小企業や雇用環境にどのような影響を及ぶか、県の現時点での対応と、今後の見通しについて伺います。

佐藤けいすけ

まず、日産は県内においてかつての座間工場、そして現在の追浜工場、厚木のテクニカルセンター、みなとみらいの本社機能など、それぞれ役割を変化させながら展開しています。これらの県内拠点の役割と、長期的な機能再編の流れを県はどのように把握・整理しているか伺います。

産業振興課長

県では日産自動車に対して、企業誘致施策「インベスト神奈川」を活用し、当時東銀座にあった本社の横浜市内への移転と、厚木市内における研究開発拠点の設置について、助成金による立地支援を行い、県内での事業展開を支援してきました。厚木市の研究開発拠点では、先行技術開発の機能強化のための拠点ということで、この拠点の立地後に、本社が横浜市内で立地するということにより、県内にすでに立地していた横浜工場、追浜工場等との連携強化を図ってきたと承知しています。本県では、自動車などの輸送用機械をはじめとする製造業の生産拠点が集積し、工業製品、製造品出荷額等が全国第2位となっています。日産自動車は地域経済にとって重要な役割を担ってきているものと認識しています。

【参考】「インベスト神奈川」による立地企業一覧https://www.pref.kanagawa.jp/docs/pw3/cnt/f6853

佐藤けいすけ

6月24日に日産の株主総会が開催されました。今後の国内生産体制の方針についての発表はなかったと思われますが、県として今後どのように対応していくのか伺います。

企画調整担当課長

今回の対策本部設置にあたり、平成20年のリーマンショックの際に経済状況等の悪化への対応として設置された神奈川県緊急経済対策本部を参考としました。この対策本部も全局を対象として構成していたことや、日産自動車生産縮小の影響が現時点では計り知れないこともあり、全庁で情報を共有することの必要性を考慮し、全局を対象とする対策本部を設置したところです。

また、地域経済への影響をより詳細に把握可能な地域県政総合センターも構成員としています。今後は部局を絞ることなく、この対策本部において情報共有連携をしていくことを想定しています。

佐藤けいすけ

自動車産業の裾野の広さから考えますとさまざまな影響があると思いますので、引き続きその体制でお願いしたいと思います。

続いて、こうした生産体制の縮小や変化は、非正規雇用や外国人の労働者に影響が出る可能性があると思います。現時点での離職や雇用調整の情報があるのか、また県として備えている支援対策について伺います。

雇用労政課長

現在のところ、日産自動車の生産縮小及びそれに伴う離職等の情報はありません。そのため、どのような対応をとるのか、具体的なことは決まっていません

出典;KISTEC(地方独立行政法人 神奈川県立産業技術総合研究所ウェブサイトより
https://www.kistec.jp

佐藤けいすけ

続いて、技術転換や業種転換のあたりを伺っていきます。

自動車の部品等を主力にしてきた県内企業は、今後、業種転換等を検討する必要が出てくると想定されます。そこで、県の産業技術総合研究所KISTECにおいて、これまで自動車関連企業に対して、どのような技術支援等を行ってきたのか、また、業種転換等に向けた支援も可能なのかと伺います。

産業振興課長

県立産業技術総合研究所KISTECでは、例えば、自動車の軽量化のための溶接技術の開発ですとか、生産性の向上等を目的とした金型プレス加工の開発などの技術等の支援を行ってきました。また、県内中小企業等が新たな産業分野への転換を目指す際、KISTECが有する技術や能力、ノウハウを活用し、各企業のニーズに応じた技術や事業化に向けた支援を常時行っているところです。

技術支援については、毎年度5,000件超で、製品化やデジタル化といった事業化支援については、80件超の実績があります。

佐藤けいすけ

自動車は、電動化やEVの流れが今後進んでいくと思いますが、KISTECではこうしたEV化に関連した技術支援も行ってきているのか確認します。

産業振興課長

KISTECでは、例えば、電気自動車向けの高容量でかつ安全性の高いリチウムイオン電池の開発を支援するため、県内企業が開発中の電極の分析などの技術的な支援を行ってきています。そのため、各企業ニーズに応じた技術や事業化に向けた支援が可能です。

佐藤けいすけ

自動車部品サプライヤー支援センターという取組みもあると思いますが、県として何かできることはあるのでしょうか。

産業振興課長

神奈川県自動車部品サプライヤー連絡協議会が令和5年10月にスタートしているものです。概略ですが、自動車産業がカーボンニュートラルに向けた電動化や自動運転をはじめとする次世代技術の開発が加速化するなど、大きな変革期にある中で、この自動車産業の大きな変革をチャンスと捉え、県全体として一体に取り組み、自動車産業に関わる中小企業等が事業再構築をするのに積極的に取り組めるような支援の充実を図ることを目的とした協議会です。メンバーは、一次下請けの企業様、中堅中小自動車部品サプライヤーの企業様、金融機関やコンサルタント会社、支援機関、神奈川県、そしてオブザーバーして、県内の自動車産業で日産自動車様やいすゞ自動車様、日産車体様、協議会としては20社以上で構成されているという状況です。その中で、次世代自動車への対応に向けた課題の抽出や情報提供及び共有、神奈川自動車部品サプライヤー支援センターは神奈川産業振興センターにおいてやっておりますので、実施している事業の検証テストの提案、その他協議会でさまざまな取組みを行っています。

佐藤けいすけ

JFEについては、先行会派でも言及がありましたけれども、ダイハツ工業と日野自動車の認証不正問題というものが過去にあって、工場が生産停止になった際に県が特別相談窓口を設置したと記憶していますが、当時、県ではどのような支援を行ったのか伺います。

金融課長

ダイハツ工業と日野自動車の生産停止の際には、いずれも県金融課に特別相談窓口を設置するとともに、県中小企業制度融資の経営安定融資による資金繰り支援を行っています。

佐藤けいすけ

日産自動車について確認をしましたが、関連の中小受託事業者、いわゆるサプライチェーンというのは把握が難しいのではないかと思うところもあり、今回対策本部の中で、日産自動車と取引がある県内企業数について、東京商工リサーチによると、1次請け・2次請けを調査したところ全国2番目の1,757社となっており、帝国データバンクの調査では、1次請けから3次請けで全国3番目、2,030社が存在していると示されましたけれども、県内のどういったところに地域分布があるのかという点は、なかなかわからないと感じました。帝国データバンクでは、埼玉県の事例で、各自治体ごとの分布がわかるような公表をされているようでしたが、一体どのような感じで地域に影響があるのかという部分は、私たちも含めて確認していかなければいけないところだと思っています。例えば私は愛川町ですが、糸の産業が有名なエリアがあって、車の座席を縫製するミシンの糸の取引を日産としている会社もあるという話を聞いており、影響が出ていくという意味で言えば、対策本部の市は限られたところだけだったと思いますが、県内33市町村との情報交換の場は設けていただいているということですので、サプライチェーンの把握ということは、今後もワーキングも作られていくという話ですので、把握していただきたいと思います。

神奈川県議会議員:佐藤けいすけ

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