会議日:令和7年10月30日【決算特別委員会】
水資源に関する施策の取組について

神奈川県では、先人たちの長年にわたる苦労と努力の下、水源開発を着実に進め、水の安定供給の土台を築いてきたことで、県民生活の向上や産業・経済の発展に寄与してきました。本日は総括質疑ということで、水資源をテーマとして、水資源の有効利用、 水源環境の保全などの取組について横断的に質問します。

まず、公営企業会計から確認します。 県営水道事業では、令和6年度決算において約33億円の利益を確保し、今後の施設整備に向けた財源確保が図られますが、これからの水道事業を見通すと、人口減少社会の進展等により、水需要が減少していくという経営面の課題があります。そこで、水需要の動向や水資源の有効活用を図る取組みについて確認します。
令和6年度神奈川県公営企業決算審査意見書の経営分析表について令和6年度の水道使用量を令和2年度と比較すると、家庭での使用となる家事用は減少、企業などでの使用となる営業用、公共用、工業用は増加をしていますが、水道使用量の推移や傾向について詳しく説明をしていただきたいと思います。また、料金改定に伴い、使用水量の変化があったのかどうかについても確認します。

まず、令和2年度の水道使用量の動向について、当時は新型コロナウイルスによる外出自粛などの影響を受け、平成7年度をピークとして減少傾向が続いていた家事用が増加した一方、店舗や企業等の営業用、公共用、工業用は営業自粛などにより大幅な減少となりました。その後、コロナ禍が収まるにつれて、家事用は再び減少傾向に転じている一方、営業用、公共用、工業用は増加傾向を示していますが、令和元年度の水準までは回復していない状況です。 次に、料金改定による使用水量の影響についてですが、今回の料金改定は、令和6年10月に実施したものであるため、令和6年度の下半期の前年同期と比べますと、家事用は0.51%の減、営業用は2.04%の増、公共用は0.11%の増、工業用は1.28%の減となっています。今回の料金改定は3年かけて段階的に実施していくものであるため、引き続き使用水量の動向を注視していきます。

全体的な使用動向を確認いたしましたが、新規の水需要への対応について気になるところです。そこで、水道を大量に使用する開発計画について相談を受けた場合などにおいては、県営水道ではどのように対応しているのか伺います。

新たに大量の水道水を必要とするような大規模な工場や商業施設などの開発が計画された場合には、その開発規模や使用水量などについて事前に事業者と協議を行い、周辺地域の水量や水圧に影響がないか等について確認しています。このうち大量の水量が必要になるなど一定規模以上の開発の場合には、事前に事業者と協定を締結した上で、新たな水道管の布設など必要な工事を企業庁が受託して実施しています。 なお、令和6年度に企業庁が受託した工事の実績としては、平塚市ツインシティ大神地区土地区画整理事業など3件の工事を行い、決算額は1億7,548万余円となっています。

今後、水需要が減少していくということは避けられないとは思いますが、県営水道では、水源を同じくする5事業者との広域連携によって、浄水場の統廃合を含めた水道施設の再構築を進めていると承知しています。それとは別に、水需要の減少は料金収入の減につながりますので、 経営面では水道をより多く使っていただくための対策を打つという視点も不可欠と思います。 そこで、水道をより多く使っていただくための対策として、県営水道では企業誘致施策への協力を目的とした水道利用加入金の減額制度を設けていますが、この制度の概要と過去5年の適用実績を伺います。

県営水道では、企業における使用水量の拡大と県の企業誘致施策への協力を目的として、産業労働局の企業立地支援事業「セレクト神奈川NEXT」の認定を受けた事業者が、新規の水道利用申込みや水道メーターの口径を大きくする場合に、申請に基づいて水道利用加入金の50%を減額する制度を設けています。過去5年間の実績ですが10件あり、合計で3,218万余円の減額を実施しています。

企業誘致では、今データセンターですとか、半導体の製造とか、水を多く使うことを期待できる業態の進出ということも考えられると思いますが、新規開拓のみならず、既に県内に立地している企業などに水道の使用を促すような対策というのは実施しているのか確認します。

県営水道では、地下水利用から水道水への転換を促すことを目的に、水道料金を減額する制度を設けています。具体的には、地下水を利用している事業者が地下水の全部または一部を県営水道の利用に転換する場合、申請により転換によって水道使用量が増加した分の水道料金の40%を減額するものです。この制度は、平成23年度に導入して以降、これまで12件の適用があり、その後、工場閉鎖等による解除もあったことで、平成6年度末時点の適用は8件となっています。 なお、このほかにも県営水道では、使用水量が増えるほど料金単価が上がる逓増制の料金としていますが、昨年度10月の改定では、逓増度を引き下げ、大口使用者の負担軽減を図ることで、 水資源の有効活用につなげる対策も講じています。


千葉県では、データセンター需要も今あるということで、 水需要がまだ伸びるという話もあります。こうした水需要については、また注視をしていただきたいと思います。

続いて、特別会計のほうも少し伺いますが、水源環境保全再生施策の最終評価報告書では、森林整備等により、理論上利用可能な水資源量が年間61ミリ、4,948万立方増加し、これは神奈川県の上水道の年間給水量(生活用)の6.3%に当たるとされています。この調査は、水源環境調査費の中で把握されていると思いますが、内容について確認します。また、こうした成果をどう評価し、今後の施策展開にどのように生かしていくのか伺います。


最終評価報告書暫定版概要における森林整備による利用可能な水資源量の試算については、 国立大学法人東海国立大学機構へ委託した調査結果によるもので、水源環境調査費で支出した委託費用は91万5,200円になります。この調査は、間伐による立木密度と降雨の蒸発散量を分析することで、森林に蓄えられた水量を推計し、利用可能な水資源量として理論値で示したものであり、これまでの森林整備により水資源量が増えた効果を県民の皆様に分かりやすくイメージしていただける内容となっています。あくまで理論値ですが、施策開始以降、本県で取水制限が行われていない状況等と併せて、これまでの取組の成果として、水源施策に対する県民の理解促進に活用していきたいと考えています。

続いて、当初、企業庁の水道事業会計から水源の森林づくりへの分担金、負担金が支払われていたようですが、これまで特別会計に入れていた額や経過について伺います。 また、県民が良質な水を享受するという視点から、県営水道を所管する企業庁との連携や情報共有など、資源管理の取組などは何かあるのか。例えば、特別会計の中で水源環境調査費や水源林環境費、自然保護費の中で鹿の調査、森林資源解析などがありますが、企業庁とのやり取りもあると思います。実績等を伺います。

水道事業会計からの負担金についてですが、個人県民税の超過課税、いわゆる水源環境保全税導入以前の平成9年度から17年度までの間、水源の森林づくり事業への緩やかな応益負担として企業庁から毎年5億円を当時の水源林づくり事業会計に受け入れ、水源林整備に活用していました。現行施策における企業庁と連携した取組としては、庁内に設置した水源環境保全再生施策推進会議等により、事業の進捗状況や課題等について情報共有を図るとともに、県民向けのパンフレットの配架などを連携して行っています。 また、水源環境調査費及び水源林環境費における航空レーザー計測による森林資源解析調査では、企業庁が管理している水源涵養林も対象地域に含まれていることから、企業庁が令和元年東日本台風による被害状況を把握するため、令和2年度に実施した調査結果を提供するなど、連携を図りました。なお、令和6年度と7年度に実施している航空レーザー計測等についても、同様に調査結果を情報提供することで引き続き連携を図っていきたいと考えています。

企業庁との連携も引き続きよろしくお願いします。
続いて、現在、森林整備や水源涵養は個人県民税の超過課税によって支えられていますが、将来にわたり良質な水を確保するためには、企業を含めた新たな関与や対応強化も重要と考えます。 県として、使う以上に還元するというウオーターポジティブの考え方や、企業・団体等の自主的 な寄附の現状や協働の現状などを伺います。

令和6年度一般会計における企業・団体等からの寄附金としましては、水源の森林づくり事業にご賛同いただいた森林再生パートナー企業などから4,300余万円を水源林整備費指定寄附金としていただいており、水源林の整備等に活用しています。また、森林再生パートナー企業のうち複数社からは、寄附の理由として、製品の製造に良質な水を大量に利用していることからも、県の水源環境の保全再生施策に賛同したといったことも伺っており、そのことは、ウオーターポジティブの考え方に通じるものがあると考えています。今後、県としては、企業でこのような主体的・自発的な活動が広まるよう、引き続き森林再生パートナーへの賛同企業の拡大に努めるとともに、個人や団体等も含めた県民全体に対し、水源施策の理解促進を進めます。


こうした企業との協力関係、しっかり築いていただきたいと思います。
続いて、一般会計のほうを少し伺いますが、土地水資源対策費のうち、土地水資源調整費として267万9,826円が計上されています。主要施策説明書では、水資源対策に係る総合的な推進とありますが、水資源対策にはどのように取り組んだのか、事業費の内訳とともに確認します。

土地水資源調整費の取組みで、主な令和6年度決算の内訳を申し上げますと、まず神奈川県水利用図という、県内の水道事業の水源や管路などを示した地図、こちらの増刷をしまして、金額が60万5,000円となっています。また、国が水資源に関する長期計画策定のための基礎資料を集積するため、国からの委託により実施しております水需給動態調査がありますが、この調査では、上水道用水、工業用水の需要量や、取水、給水制限の実施状況、農業用水の渇水の状況等について県内の市町村別に取りまとめており、金額が42万2,069円となっています。 さらに、国の施設の宮ヶ瀬ダム水とエネルギー館の展示施設の維持管理費の一部を負担しており、金額が33万4,605円となっています。このほか、水の重要性の理解と関心を深めるために実施している中学生水の作文コンクールの開催経費の金額が12万2,781円となっており、そのほか消耗品など維持管理経費を含めて決算額267万9,826円となっています。

続いて、土木費の都市整備費についても少し伺います。 近年、中国やニューヨークなどでは、スポンジシティの概念を導入して、雨水の貯留、浸透、再利用によって洪水抑制と地下水涵養の取組が行われています。私も過去にグリーンインフラについて取り上げたことがありますが、例えば、都市再開発事業費において、こうした雨水の貯留、浸透、再利用における洪水抑制や地下水涵養の取組などは、都市の再開発などにも実際に使われているのか、もし例があれば、実績やその決算状況について確認します。

都市再開事業費において、雨水貯留槽や浸透ますなどの整備に要する費用については、補助の対象外となっています。都市再開事業費は、国が定める補助制度に基づき、再開発ビルの 所有者や利用者等が協働して利用する広場や通路、エレベーターなどの整備に要する費用等に対して補助を行うものです。令和6年度は、横須賀市内と小田原市内の計4地区で市街地再開発事業等が行われており、都市再開発事業費の決算額は10億8,400余万円となっていますが、雨水貯留槽などの整備に要する費用については補助対象外であるため、決算額としてはありません。 なお、今後、横須賀市内で1地区、小田原市内で1地区、計2地区で雨水貯留槽などの整備が予定されていますが、都市再開発事業費の補助対象外であり、施工者が事業の収益の中から負担して整備することとなります。

続いて、商工費ですが、工業振興費の工業振興事業として、セレクト神奈川NEXTなどがあります。企業誘致関係の支出もありますが、本県では、半導体分野では学術・開発分野で全国トップクラスの実績を持っており関連企業も立地しています。半導体分野やデータセンターでの実績のようなものがあれば伺います。 また、国内では、半導体工場など大量の水資源を要し、熊本県では確保が課題となっていますが、県として産業誘致を進める際には、本県は水資源が豊富だから誘致を進めるのか、限りある資源として慎重に対応するのか、県としてはどのようなスタンスで考えているのか確認します。

これまで、熊本県のTSMCのような、大量の水を使用する大規模な量産工場の誘致はありませんが、セレクト神奈川NEXTなどを活用し、例えば、株式会社レーザーテックなどの検査装置、それや株式会社レゾナックといった素材分野の研究開発拠点など、 様々な半導体関連の企業を県内に立地を支援してきました。ですが、データセンターにつきましては、企業誘致施策によって立地を支援した事例はありません。 また、企業誘致に当たっての考え方について、本県の産業は、多くのダム湖や豊富な地下水などに支えられて発展してきており、豊富な水資源は本県の強みの一つであると考えています。一方、企業の誘致を進めるに当たっては、地域によって水資源の豊富さや利用可能な用地があるかどうか、また、交通アクセスなどに濃淡がありますので、こうした地域の実情を踏まえた上で、また、企業側のニーズにも応じて誘致活動を行う必要があると考えています。

続いて、本県でビジネスを行うメリットとして、水資源が豊富であることをPRするということは有効な手段になると思いますが、今後、企業誘致においてはどのように取り組んでいくつもりなのか伺います。

例えば、県内の事業所などに水の供給が滞った場合には企業活動に影響が出る可能性がありますけれども、本県においては取水制限を30年近く実施していませんので、豊富な水資源に基づく安定的な供給というのは、本県への企業誘致において強みの一つであると考えます。 また、先ほども答弁がありましたが、県営水道では、セレクト神奈川NEXTの認定 を受けた事業所を対象に、水道料加入権の50%を減額する仕組みがありますので、誘致活動の中においても、企業のニーズに応じてこのメニューを周知するとともに、豊富な水資源を生かして誘致に取り組む県内の南足柄市や秦野市といった市町村とも連携して、企業誘致に取り組んでいきたいと考えています。

今、水資源に関する施策について伺ってきましたが、水循環という点で少し伺います。水循環という点でいいますと、各関係者がそれぞれ水循環に関係して、分野ですとか課題に対して共通認識を持って、将来像を相互に共有するというようなことが必要であると思います。県としては、それらの施策についての共有や連携に対する仕組みというのはあるのか確認します。

水循環施策の情報共有に関しましては、国から、災害時水利用ガイドラインなどの水利用に係るものや、水循環の啓発に係る事業の紹介など、幅広い情報提供が行われますので、関係部局や市町村に対して、政策局土地水資源対策課が窓口になり、必要に応じた情報提供を行っています。また、県庁内の関係部局を構成員にした水資源の調整に関する会議体がありますので、水資源に関して課題が生じた場合には調整や情報共有に努めています。

最後の質疑にしますが、水循環基本法では、水は、国民共有の貴重な財産であるという理念に基づいて、県としても水循環基本法の施策の推進に取り組んでいく必要があると思いますが、最後どのように取り組んでいくのか、政策部長に伺います。

平成26年度に成立した水循環基本法では、水循環の重要性といった基本理念の下、国が定める基本計画に掲げる貯留・涵養機能の維持向上や水の適切かつ有効な利用の促進等の施策に、国・ 自治体・事業者等が協力して取り組むこととしています。また、能登半島地震で水インフラの耐震化や平常時からの備えの重要性が顕在化したことなどを踏まえまして、昨年8月に国は基本計画を変更し、安定した水供給の確保や最適で持続可能な上下水道の再構築などに重点的に取り組むこととしました。こうした施策は、県の各局の取組と関連が多岐にわたりまして、それぞれの内容に関連があることもあるため、水が健全に循環し、その恩恵を将来にわたり享受することが不可欠である、こういう考え方の下、水循環に関する情報や課題に共通認識を持って取り組んでいく必要があると考えています。 そこで、今後、水循環基本法の理念と基本計画の変更内容を関係部局間で改めてしっかりと情報共有しまして、より一層連携を図りながら施策を推進していきたいと考えています。
神奈川県で独自に取り組んでいる水資源の取組というのは非常に多くあります。活用ですとか保全ですとか、県も将来像をしっかりと示して行動していく必要があると思いますので、引き続き連携を持って取り組むことを求めました。
神奈川県議会議員:佐藤けいすけ
コメント