会議日:令和8年9月16日【令和8年第3回定例会】
⑦水循環の視点に立った一体的な水政策の推進について
本県の「水」という資源について着目してみると、先人たちの長年にわたる苦労や努力のもと、ダム開発や水道整備などの「利水」を着実に進め、安定供給の土台を築くとともに、洪水から県民の生命・財産を守る「治水」対策、森林の再生を図る「水源環境保全」に取り組んできました。こうした地道な積み重ねが、本県の県民生活の向上や産業経済の発展を大きく支えてきたと認識しています。

一方で、中長期的には人口減少や産業構造の変化により、生活用水の需要減少が見込まれています。例えば県営水道をはじめとする水道5事業者が公表した施設整備計画では、30年後には一日平均給水量が約15%減少するとされ、浄水場のダウンサイジングなど水道システムの再構築が進めていると承知しています。


加えて、地球温暖化に伴う気候変動への対応も極めて深刻です。この春、宮ヶ瀬湖の貯水率が一時30%近くまで低下した渇水では、給水制限には至らなかったものの、長年築いてきたダム間の連携運用など広域的な水利用の重要性と、水の有限性が改めて浮き彫りとなりました。一方、西日本では今年渇水による給水制限もあり、現在も悩まされていると聞きます。また、局所的に水が集中した「令和8年8月千葉豪雨」や東海地方を襲った大雨など、豪雨の頻発化・激甚化による水害が全国で相次いでいます。

このように、記録的な渇水と激甚化する豪雨が、全国的に同時に襲いかかるような極端な水のリスクに加え、予期せぬ水需要の変化など、水を取り巻く環境が見通しにくい時代です。だからこそ、将来に必要な水の「保全」と「活用」の適切なバランスを保ち、県全体で臨む視点が欠かせません。
将来にわたり安心・安全な水環境を維持していくためには、水が蒸発し、雨となり、地下水や河川を通って海に戻る「水循環」の考え方に改めて立ち、これまで各部局で取り組んできた施策について、政策局が中心となって「水」というキーワードで密接に連携し、一体となって進めていくことが不可欠だと考えます。

そこで、利水や治水、水源環境の保全など、県の様々な局が行う「水」に関わる取組みについて、より一体的に進めていくべきと考え、政策局長の見解を伺いました。
政策局長答弁

県ではこれまで、水道・水力発電といった「利水」、豪雨による洪水を防ぐ「治水」のほか、水を生み出す水源地域の環境保全にも、市町村や関係機関と連携して取り組んできました。
そうした中、人口減少によって、生活に使用する水は減少傾向にある一方、例えばAIの普及で、基盤施設であるデータセンターに使用する冷却水は大幅な増加が見込まれるなど、水の需要は変化しています。
また、気候変動によって、風水害がさらに激甚化・頻発化することも懸念されています。
こうした水資源を取り巻く状況の変化に的確に対応するためには、まずは庁内の関係部局が緊密に連携し、意識を共有しながら取組を進めることが必要です。
そこで県では、令和3年度に設置した、水に関わる5つの局で構成する「水資源総合調整会議」の場を活用し、一層の情報共有を図っていきます。
今月開催した会議では、人口減少に伴う水道システムの再構築に加え、春に起きた30年ぶりの渇水への対応や、相模川水系の整備方針において、想定する洪水のピーク時の水量を約20年ぶりに増加させたことなどについて、意見交換を行ったところです。
県では引き続き、関係する局が課題や対応等をしっかりと共有しながら、水に関わる取組を一体となって推進してまいります。
再質問

「水」に関わる行政内部の連携強化は、県民からすると少し馴染みにくく、生活していく上での繋がりが見えにくいと考えます。
県民にとって重要なのは、こうした一体的な取組みによって「自分たちの安心・安全な暮らしや産業に不可欠な水がどう守られ、還元されているのかを実感できることが重要です。
そこで、今後、「水」に関わる取組みを一体的に進めていくにあたり、その重要性などについて、県民に対して分かりやすく示し、理解や共感を広げていくために、どのように取り組んでいくのか、政策局長の見解を伺いました。
政策局長答弁

県ではこれまでも、例えば、ダムや水道の整備など、水に関わる様々な取組の重要性について、ホームページ等で県民の皆様にお知らせしてきました。
今月には、水源である「やまなみ五湖」の重要性を、分かりやすく伝えるため、人気の漫画「神奈川に住んでるエルフ」とコラボした小冊子を作成し、県内の全ての小学4年生に対し、配付しているところです。
今後も、さまざまな手法を用いて、県民の皆様が水に関わる取組の重要性を理解し、共感いただけるよう、取り組んでまいります。
意見

今年になって、国連では「水破産」というような言葉で、世界的に水への警告を出したとのことす。限りある水資源を大事に使おうという意味合いだけでなく、世界中でも、干ばつやネパールを代表とする氷河の融解による洪水など、我が国だけでなく、水資源の在り方はすでに人々の生命を直接脅かすような事態になっています。
新たな水への危機のステージに入ったと言われている今、こうした世界的な事例も踏まえながら水の危機、行動変容も含め、県民へ伝えていく必要があると思っています。
本県は、水源環境保全・再生施策や5事業者での水道システム再構築など、水への独自の取組をしているからこそ、県としてできることを強い意志をもって取り組むことを求めました。
※2025年10月の決算特別委員会において質疑しています。
神奈川県議会議員:佐藤けいすけ

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