南都留森林組合を視察しました

視察

視察日:令和6年6月17日

森林の多面的機能を活用した空間利用

森林の多面的機能を活用した空間利用について南都留森林組合を視察しました、
地元の森林管理者である森林組合さんと今後の森林管理について、さまざまな話をしています。

出典:第4期かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画(概要版)リーフレットhttps://www.pref.kanagawa.jp/documents/80518/4th_suigen-saisei.pdf

本県の森林の管理は、水源環境保全税などが活用された整備が行われていますが、木材産業が十分に確立していないことや、市場の課題従来の補助中心の森林整備が行われている継続的な財源の課題など多くの課題があります。

持続可能な森林経営に向けてどうしていくべきか。

そこで、「ユニークな森林管理」や、「山主への還元に関する取組み」、「地域振興」まで幅広い課題の解決に向けた森林空間利用の取組みを行う南都留森林組合を視察しました。

南都留森林組合HP「https://minamisinrin.com/

今回受け入れていただいた南都留森林組合では、森林の多面的機能に注目し、空間活用としてのMTB活用業や学校などへの森林環境教育に取り組んでいる先進的な森林組合です。
参事の竹田さんは、様々なアイデアを具体化されるために動いています。

南都留森林組合 参事 竹田さん

植生や地質や形状にあったトレイル作りが検証

初めに見させていただいたトレイルは、都留市にあるスポーツ広場などに隣接しているトレイルであり、フリー走行を今後繋げていくために、現在整備中の箇所です。
まだオープンでなく、里山に広葉樹が様々生え、散歩に気持ちの良いトレイルという感じで、実際に市民の方が散歩に訪れており、植生や地質や形状にあったトレイル作りが検証されていました。

散歩中の市民の方

トレイルについては特に、MTBで通った場合のオーバーユースや轍などから水みちができてしまうリスクから、水がしみこむような整備方法などを試されていました

こちらの森林は市が所有しているもので、緩やかな斜面を横切るようなトレイルがついており、山の上から下に降りていくように設計されていくということです。
森林組合が市や地権者との交渉などを担当し、MTBの愛好者を中心とするボランティアの方が整備を担当、ゆくゆくは市民団体などの民間団体に運営を任せていく方向ということです。

 

午後は西桂町にある森林です。
こちらは町の観光施設を拠点に連携して取り組む予定とされており、MTBの愛好家に向けたトレイルです。

トレイルは赤道の他、過去の作業などで山に入る道が複線的に入っており、森林整備のためにつけられた作業道の脇に、天然のオーバーハングが存在しています。
約1kmほど下り続けられるトレイルがあります。

 

天然のオーバーハングしたトレイル

将来的にはアクセス路やダウンヒルのトレイルを複数作っていくということです。

近年の森林整備

近年の森林整備は作業道を敷設し(神奈川県では水源環境税も充当されています)、森林整備が終わったあとは、敷設した作業道が放置されがちであると言われています。

南都留森林組合では、森林所有者から、一度間伐に入った森林についても、風倒木や病虫害などを定期的に点検してほしいとの声があり、森林組合がこれらの広大な面積すべてを毎回見回りすることは現実的ではありません

また、ある森林の作業場所では、放置された作業道から国道に土砂が流れ、そのフォローに苦心しているとのことです。

 

だからこそ空間活用をする中で、MTBの2次利用を図っていく必要があります

不特定多数の方が入ることはオーバーユースの観点からも抑制する必要がありますが、ガイドツアーや企業研修、登録制など森林管理の一環で取り組んでいくということです。

また活用を図っていく中で得た利益をもとに、管理費や山主への活動費にも充てることも考えており、このように整備と活用はセットという考えです。

こうして空間利用による維持管理が進めば、集約化もどんどん進むとも考えられました。

森林所有者:今はたまたまお金入ったからいいけど、毎年毎年固定資産税だけ払って悔しい。もう手放したい。こんなの持ってても1円にもならない

森林所有者:別に儲けようとは思っていないが、負担にしたくない。 ちょっとお小遣いとか入る程度、固定資産税でプラスアルファぐらいのお金が毎年入れば、森林を持っている意味がある

森林所有者

あくまで森林所有者の意向に沿った森林整備がメインということですが、南都留森林組合では、活動の利益の1/4ほどがこうした森林環境教育などソフト事業による利益となっているということです。
※1億6,000万円の利益のうち3,000万円ほど(MTB利活用はこれから)

こうした取組み自体も、森林環境税を国民に負担していただいている中、大事な取組みであると考えます。実際に南都留森林組合でも、森林環境税を使用してソフト事業が行われているそうです。

竹田さんはこうした空間活用をまちづくりとも関連させて、将来的にさらなる地域振興も考えられており、今後近い時期に活動を徐々にオープンにしていかれるとのことでした。

 

今回神奈川県内の森林組合や行政関係者など、森林空間を活用したい意向などがあるということで、声をかけさせていただき、視察をご一緒して取組みについて伺うことができました。

県の水源林整備の兼ね合いもあり、活用に関しては県独自の事情もあることなど、視察をご一緒する中で、考えられている悩みなども共有することができました。 神奈川県においても県有林や水源林の活用の視点からも、提言できる内容があると考えられましたので、今後の活動に繋げていきたいと思います。

神奈川県議会議員:佐藤けいすけ

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