会議日:令和8年3月9日【産業労働常任委員会】
新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金返還請求訴訟の判決に対する控訴(専決処分)について


新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金返還請求訴訟の判決に対する控訴(専決処分)の件について何点か確認します。
まず、全面敗訴をしたということで、一部敗訴などの要素もあると思いますが、なぜ全面敗訴なのか確認します。

この事件の概要については、新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金のうち、飲食店を対象としたものについて、被告名義で第3弾から第15弾の交付申請がなされ、県は合計1,314万円を交付しました。ところが、第16弾の協力金の際に、第三者から同一の建物、同一の店舗名の申請があり、調査をしたところ、第3弾から第15弾の期間について、無許可営業であることが判明したため、県は交付決定を取り消すとともに、令和5年6月1日に1,314万円の返還を求め、提訴するに至りました。訴訟における主張立証を通して実際に協力金を受領していたのは、平成30年から店舗を賃借し、無許可営業を行っていた第三者であり、被告名義で協力金を申請したのは、第三者から依頼を受けた行政書士であることや、協力金のほぼ全額が被告からこの第三者に渡っていたといったことが初めて明らかとなりました。
第一審では争点として1点目が、県と被告との間に贈与契約が成立したといえるか、 2点目が、被告が不当利得返還義務を負うか、この2つが争点となりました。第一審の判決では、この2つの争点について1点目として、協力金の申請が被告名義で行われたものだったとしても、第三者が協力金を取得する意図で行政書士に申請を依頼し、当該第三者が返還義務を負うことを認めている以上、原告と被告との間に贈与契約は成立しない。2点目として、被告に協力金の取得意思はなく、実際に取得したとも認められないので、被告が不当利得返還義務を負うとは認められないとの判断がなされ、県の請求が全面的に棄却されることとなったものです。

県としては事実誤認と法律判断がある部分をどのようにとらえているのでしょうか。

この判決内容について担当弁護士とも精査をしましたが、被告は第三者のために協力金を受け取る意思を有していたのだから、贈与契約は成立したと評価すべきである。また、協力金が被告の口座に振り込まれた時点で不当利得は成立しており、被告が第三者に協力金を渡したという事実は、不当利得成立後の事情に過ぎないとみなすべきであり、県としては、第一審の判断には事実誤認と法律判断に誤りがあると捉えています。

訴訟の相手ですが、第三者の方ですとか、申請した行政書士というのが考えられるのではないかと思いますが、返還を求める相手は適切だったのかも含めて、今後の対応はどうするのか伺います。

冒頭で申し上げたとおり、被告が受領した協力金のほぼ全額が第三者にわたっていたことや、被告、第三者、行政書士の間で当時行われていたやりとりなどは、この裁判における主張立証や3名に対する尋問を通して初めて明らかになった事実であり、県としては、訴訟を提起するまで、それらの事実を知り得ませんでした。今後の対応としては、まずは控訴審で勝訴できるよう、しっかりと対応をしていきます。また、裁判を通して明らかとなった協力金を受領していた第三者と、被告名義の申請に関与した行政書士に対しても、すでに損害賠償を求めています。今後はさらに、この両名に支払い督促を申し立てるなどして、協力金の回収に努めてまいります。

引き続きこの2者についても督促等していかれると思いますが、よろしくお願いします。もう1点、令和5年12月9日に提起をされて先月2月13日に判決の出たコロナ協力金請求訴訟についてですが、概要について確認します。

この事件の概要ですが、飲食店向け協力金の第7弾、第9弾から第15弾及び第18弾について、県は被告に対して合計795万5千円を交付しましたが、第16弾の審査の中で営業実態に異議が生じるところとなりました。調査の結果、申請に係る店舗に営業実態がないことや、協力要請に基づいた休業ではないことが判明したため、交付決定を取り消した上、令和5年12月9日に返還を求めて提訴しました。第一審では争点として1点目が協力金の交付要件を満たしていたか、 2点目が被告に調査義務違反があったか、この2つが争点となりました。第一審の判決では、この2つの争点についての1点目として、被告店舗は第7弾の要請開始前から営業実態があり、要請を受けて第7弾から第15弾までは休業を続けていたのであるから、交付要件を満たしているというべきであり、一方、第18弾については、本県店舗の場所で他の料理店の開業準備がなされているため、交付要件を満たしているとは言えない。2点目として、被告は、県が営業実態を確認できる資料の提出を求めた際、資料を提出しなかったことが認められるが、被告が陳述や証言をしているとおり、手元に十分な資料が保管されていなかったにすぎず、このことが調査義務違反による協力金の返還事例に当たるとまでは言えないとの判断がなされ、県の請求は第18弾のみ認容され、残りの請求は棄却されることとなったものです。

返還訴訟の裁判中に会社を閉業したということですが、これは可能なのでしょうか。

会社や法人の登記を所管する法務局としては、法人の解散・清算結了について形式要件が整った申請が行われれば、それを受理して閉鎖登記の手続きを進めていくものと考えられ、実際に本件においても、裁判が継続しているにも関わらず、法人の閉鎖が行われました。実務上、こうしたケースがよくあることなのか、担当弁護士に確認したところ、滅多にない事例であるということでした。こうしたことからも、現実的に訴訟の当事者が相手方である法人の閉鎖登記を未然に防ぐというのは難しいと考えています。

やはり返還できないということになると逃げ得のようなかたちになってしまいますし、これ自体も悪しき前例になってしまうと思います。これは裁判中に起きたことですが、こうした例は国との連携も必要と思いますので必要な対応をしていただきたいと思います。これまでもわが会派としては「不正は許さない」ということで、本来は控訴すべきと考えられる案件でもあると思いますし、不正受給にたいしては毅然とした対応と訴訟を含めた債権回収を引き続きやっていただきたいと思います。
一方、訴訟中に法人が閉鎖された案件については、結果的に逃げ得のようにになることに、強い憤りを感じます。裁判の実効性を鑑みた判断はやむを得ない側面もありますが、判決で認められた一部の返還分についてはしっかりと回収すべきです。今後、国とも連携して、例えば閉鎖登記の悪用を防ぐ対策を講じるなど、実効性のある債権回収を継続することを強く望みます。
神奈川県議会議員:佐藤けいすけ
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