会議日:令和8年3月10日【安全安心・未来環境特別委員会】
本県の温泉文化について

令和7年11月28日、文化庁の文化審議会無形文化遺産部会において、「温泉文化」が今年度のユネスコ無形文化遺産への新規提案案件の1つとして選定され、同日開催の無形文化遺産保護条約関係省庁連絡会議において、提案案件として了承されました。本年3月末までにはユネスコ事務局に提案され、2030年にも政府間委員会において審議される予定とのことです。
こうした動きがあることから本県の温泉文化についていくつか確認をしていきます。

初めにこの会には知事の会もあり、47都道府県が参加し、神奈川県も参加しています。参加した経緯や本県の温泉文化の認識、こうした知事の会での本県の温泉文化をどのように共有しているかについてまず確認します。

知事の会参加の経緯ですが、「温泉文化」ユネスコ無形文化遺産登録を応援する知事の会 は、令和4年度に設立されましたが、発起人の群馬県知事の方から、本県の知事にも参加してほしいといったご依頼がありました。その際、温泉の文化的価値を見直し、コロナ禍とインバウンド需要の拡大の柱としていく、そうした登録を目指す意義などについてお話がありまして、これに賛同して本県も参加するということとなりました。
次に、温泉文化の認識ですけれども、有識者で組織する,温泉文化のユネスコ無形文化遺産登録に向けた検討会により、温泉文化は自然の恵みである温泉に浸かり、心と体を癒すという、日本人に根付いている社会的習慣である、こうした温泉の定義がされており、本県の温泉文化と同様のものであると認識しています。
次に、知事の会での本県の温泉文化の共有ですが、この知事の会がユネスコ登録を目指すことを目的とした組織でございますので、これまでの会合では、登録のための温泉文化の研究成果や機運醸成に向けた取組みの共有、あるいは意見交換などを主な内容として会が開催されていますので、そうした各都道府県の温泉文化を共有するといった機会が特段設けられていません。

こうしたユネスコ無形文化遺産の件も受け、温泉文化をどう発信していくのかという点を確認します。

温泉文化のユネスコ無形文化遺産登録は、最短でも2030年度となります。それまでの間は登録に向けた機運醸成をしていくことが大切であると考えています。このため、県教育委員会としては、まずは温泉文化のユネスコ登録を目指していることや、温泉文化とは何なのか、といったことを知っていただけるように、ホームページや広報媒体等を活用して、情報発信をしていきたいと考えています。また、温泉文化の保存継承を担う団体としまして、昨年7月に全国の旅館や温泉関係者、観光業界等による「温泉文化」国民会議が設立されました。民間主体で、例えば温泉や旅館のプロモーションであったり、地元の名産品を紹介するイベントなどを通じて、今後より一層温泉旅館の発信が行われていくものと考えています。

本県は過去に県の広報にも載せていたと思いますが、県内に温泉が点在しています。本県の温泉資源の概要について確認します。


令和7年3月末現在の数字ですが、本県には温泉井戸などの源泉が26の市町村に602カ所あります。このうち、箱根湯河原地域には457カ所の源泉があり、県全体の約75%を占めています。また、県内の温泉は、箱根湯河原地域に代表される火山性温泉と、それ以外の地域の非火山性温泉に分類することができ、さまざまな泉質の温泉が県全域に広く分布しています。

わたしが見た資料ですと、日本には3,100あまり温泉があるということです。わたしたちも入る機会があると思いますが、本県にはすでに廃業などで、源泉はあるものの、一般にはなかなか触れられない温泉があるとも聞いています。こうした温泉がどの程度あるのでしょうか。

県内の源泉のうち利用されていない源泉の状況について、廃業等の個別の事情については把握していませんが、温泉を汲み上げることができる状態であるにも関わらず、入浴などの目的に利用されていない、いわゆる未利用源泉は、令和7年3月末現在で161 カ所あることを確認しています。

わたしの地元の清川村にも別所温泉というバス停があります。ここには村営の温浴施設がありますが、実は温泉ではなく、手前の方にある昔の民宿がかつて温泉として利用されていたということです。伊勢原市や横須賀市にも閉業ですとか、別施設として続いていると聞いています。


温泉文化を残していくためには、多くの方が安心して入浴することができるよう、温泉施設の衛生管理を行うことが重要であると思いますが、衛生面の規制についてどのようなものがあるか確認します。

温泉施設を含む客を入浴させる施設の営業を行うためには、公衆浴場法に基づく許可が必要となります。また、旅館など宿泊施設の浴場については、旅館業法に基づく許可の範囲で営業が可能となっています。公衆浴場法、また旅館業法を受け、県条例において、衛生上の観点から構造設備や衛生措置などに関する基準を定めています。具体的には、構造設備の基準としては、濾過器を設置する場合には、濾過能力が浴槽の容量に応じたものとすることなどが規定されています。また、衛生措置の基準としては、浴槽水の水質基準を定めており、営業者の方には、その基準に適合していることを確認するため、1年に1回以上、浴槽水の水質検査を行わなくてはならないといった規定などがあります。

法令上の規制について説明いただきましたが、温泉施設で衛生面の基準が守られるようにするため、県ではどのような取組みを行っているのか確認します。

県の保健福祉事務所において、定期的に施設に立ち入り、条例で定める基準に適合した衛生管理を行っているか確認しています。不備がある場合は、改善を図るよう指導を行っているところです。

わたしの地元の厚木市・愛川町でも、もともと日帰りをやっていましたけれども今は入れなくなってしまったという話も最近聞くようになってきたと思います。そうした中、厚木市の商工会議所なども、温泉旅館を日帰り施設として適用できるような施設整備の補助を要望していることもありますし、規制と補助はセットというところもありますので、県としては難しい部分もあるのかもしれませんが、県も未病の改善という取組みの中で県内各地の温泉を紹介していますし、「プチ湯治」という形で推奨もしていますので、地域の温泉を残すという意味で、温泉文化につながる部分において取り組みをお願い致します。


続いて、ユネスコへの登録を踏まえ、温泉文化を守り伝えていくためには、施設やお祭りなど文化財として保存・伝承することも考えられると思いますが、県としてはどのように取り組むのか伺います。

県内の温泉地には、例えば箱根の「富士屋ホテル」や「福住楼」といった歴史ある建物が現在も宿として活用されながら、国の登録有形文化財として大切に保護されているものがあります。文化財保護法によって保護をしていく上では、一定の制限がかかりますので、所有者の方の意向というのが大変重要になりますが、歴史的価値あるいは学術的価値が高いと認められるものがありましたら、県としても保護に向けて必要な対応を行ってまいります。

歴史ある建物は、機運醸成を図っていく中で、今後老朽化などさまざまなことが考えられますので、取り組んでいただきたいと思います。

入浴方法や湯治としての滞在、宿泊や周遊観光、食を味わうこと芸者の芸など、温泉を取り巻く資源との関係も深いと思いますが、温泉文化の担い手をどう育てていくことが考えれるのか確認します。

温泉文化の担い手について、温泉に浸かって心と体を癒すという温泉文化の部分ですけれども、温泉文化というのは社会的習慣として、生活の中で身についてきたものであると考えています。こうした我が国固有の温泉文化がユネスコ無形文化遺産として登録されましたら、温泉を取り巻くさまざまな資源の活性化にも繋がると考えられますので、県教育委員会としては、今後も登録の実現に向けた気運醸成に協力をしていく所存です。なお、宿泊や食、そうした取組みについては、温泉文化の担い手に「温泉文化国民会議」が位置づけられていますので、宿泊施設であったり、温泉協会が温泉を提供する技術、あるいは技能、そうしたものを守り伝えていくことが担い手の育成にも繋がるのではないかと考えています。

担い手も非常に大事になってくると思いますので確認しました。
続いて、温泉地学研究所は、温泉に関する研究も実施している県の研究機関であることは承知していますが、今後温泉文化の発信にはどう貢献していくのか確認します。


湯治などの温泉文化に係るパネルを温泉地学研究所の1階で展示しているほか、単純温泉や硫黄泉、さらに硫酸塩泉などの泉質や効能などを分かりやすく表示しました「温泉掲示プレート」を作成し、温泉浴場への掲示や温泉施設のホームページ、パンフレットへの掲載など、さまざまな場面で活用していただいています。
また、箱根町が開校します箱根大学という講座などで、県内温泉の歴史や開発の背景などの温泉全般的な講義も行っています。温泉地学研究所は試験研究機関でありますが、今後も温泉文化の発信にも努めていきたいと考えています。

温泉地学研究所に行く機会は限られるので、先ほどの箱根大学など外に出る機会などで、いろいろ発信していただくといいと思いました。
続いて、本県には、箱根や湯河原などの有名温泉地以外にも、私の地元である厚木市にある「あつぎ温泉郷」のように魅力的な温泉も数多く存在しています。こうした隠れた温泉の魅力を、観光振興に繋げることも重要だと考えますが、これまでどのような取組みを実施してきたのか確認します。

本県には箱根や湯河原に加え、カルシウムが豊富な鶴巻温泉、信玄の隠し湯として有名な中川温泉など、県内各地に魅力的な温泉地が点在しています。そこで、昨年度こうした各地の温泉の特徴ある泉質の紹介や、周辺の観光スポットと組み合わせたモデルコース等を掲載するガイドブック「神奈川湯めぐり旅」を作成しまして、観光情報ウェブサイトでも発信をしています。


観光で温泉に入っていただくのが、1番温泉を知っていただく機会になりますので、非常に大事だと思っています。
最後に、温泉は、外国人観光客にとっても、心身の癒しが得られ、日本らしさを感じられる特別な体験として人気だと思いますが、本県を訪れる外国人観光客においてもそうした傾向は見られるのか確認します。また、ニーズなどを把握しているのか、外国人観光客に向けた温泉の情報発信などについても、併せて伺います。

まず傾向ですが、県が令和6年度に実施した観光客実態調査では、県内に宿泊した外国人観光客が来訪時に期待していたこととして、温泉は、食・自然・景観観光に続く第3位となっており、高い関心を集めています。そのため県では、外国語観光情報ウェブサイトに、温泉の特集ページを設けて紹介しているほか、多言語で展開するSNSにおいて、視覚的にもインパクトのある露天風呂を盛り上げるなど、積極的にPRを行っています。
また、あわせて、初めて温泉を体験する外国人観光客向けに、体を洗ってから湯船に入る、タオルを湯につけないといった入浴マナーの紹介を行っています。


この温泉文化、海外では「ONSEN」と取り上げられることもあるということです。そもそも外国人もこれだけインバウンドで来られますと、答弁の最後の方にありました温泉に入るマナーなどを伝えていく必要が出てきて、それも温泉文化を提案していく1つのきっかけになることだと思います。
ユネスコの無形文化遺産への新規提案案件という機会の中、本県にもこれだけ温泉資源があるということです。日帰りで非常にアクセスしやすい温泉もあると思いますし、一方で、すでに入れなくなっている源泉もあります。こうした温泉を「入れる形」で残していくこと、行政としてもしっかりと目を向けていくことが、温泉文化を守ることにつながると思いますので、引き続き今回をきっかけに、さまざまな取組みを進めていただきたいと思います。
神奈川県議会議員:佐藤けいすけ
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