会議日:令和7年7月1日【産業労働常任委員会】
災害に関する中小企業制度融資について

中小企業の事業継続のための計画であるBCP策定率は全国的に低く、神奈川県内でも同様だと思います。災害リスクが高まっている今、事前の備えの強化が課題ですが、県中小企業制度融資において、BCP策定を促す融資メニューにはどのようなものがあるのか、あわせて融資実績についても伺います。
参考
事業継続計画(BCP)の策定割合
2024年度(R6)15.2%
2023年度(R5)12.3%
2022年度(R4)12.0%

事業継続計画いわゆるBCPの策定やBCPに基づく対策を行う中小事業者を対象としたBCP策定支援融資があります。融資限度額は8,000万円、融資期間は設備資金の場合は最長で15年です。さらに、簡易版BCPである事業継続力強化計画を策定し、国の認定を受けた中小事業者は、融資限度額が8,000万円多くなり、合計で1億6,000万円まで利用できます。
次に融資実績ですが、過去3年間において、令和6年度が1件、令和5年度が0件、令和4年度が4件となっています

※神奈川県「BCP策定支援融資」https://www.pref.kanagawa.jp/docs/m6c/cnt/f5782/bcp.html#mosikomi

報告資料に記載されている「災害対応融資」について、令和6年9月に新設した趣旨と実績について伺います。
災害対応融資

https://www.pref.kanagawa.jp/docs/m6c/cnt/f5782/saigaitaiou_yusi.html

まず、新設した趣旨についてですが、これまでにも災害に対応する融資メニューはありましたが、災害が発生する都度、被災企業向けの融資メニューを新設しており、融資開始までに最速でも10日程度の期間を要していました。また、国の資金繰り支援策であるセーフティネット保証4号の発動は、災害救助法が適用されるような大規模災害のみが対象で、近年増加している局地的な豪雨などは対象になっていないなどの課題がありました。こうした課題に対応するため、国の支援策を待たず、地震、台風、豪雨などさまざまな災害において、被災した中小企業が即座に利用できる県独自の融資を新設したものです。次に実績ですが、災害対応融資を創設した9月直前に、令和6年台風第10号による県内中小企業への被害が生じたため、令和6年8月1日以降に被害を受けた企業も対象としたところ、令和6年度の融資実績は20件4億990万円で、すべて台風第10号に対応するものでした。

これまでは、災害が発生する都度、被災企業向けの融資メニューを新設していたということですが、過去の事例と融資実績について確認したいと思います。

出典:令和元年度1 0 月補正予算案の概要https://www.pref.kanagawa.jp/documents/3847/10hokisyahatu2.pdf

令和元年台風第15号と第19号が直近の事例で、台風第15号では金沢産業団地、第19号では多摩川周辺の工場など、県内の多くの中小企業が浸水により甚大な被害を受けたことから、特別融資を創設しています。2つの台風にかかる融資実績は62件16億5,800万円でした。

金沢産業団地の事例の話がありましたが、こうした過去に被害を受けた、災害履歴のある、いわゆる災害リスクの高い地域に立地する企業に対して、BCP策定促進にどのように取り組んでいるのか伺います。

BCPについて災害リスクの高い地域に立地する企業に対し、重点的に策定を推進するという取組みはこれまで行っておらず、そうした地域に立地する企業のBCP策定状況といったデータも持ち合わせてはいません。この点、少し補足をしますと、一般に過去に大きな災害を経験した自治体や巨大地震による津波被害等甚大なリスクが予想されている地域では、自分ごとであるとの意識やBCP策定が必要であるとの認識が高く策定率が高い傾向が見られます。参考までに申し上げますと事例が紹介された金沢産業団地の組合もBCPを策定済みです。一方で県内を見渡すと、過去しばらく大きな災害が起きてない地域であっても、例えば。海岸沿いの海抜の低い地域や、河川沿いの浸水想定区域、断層や急傾斜地付近など、県内には大きな災害が起きる可能性のある場所が数多くあります。そのため、今後も専門家派遣やセミナーの開催等を、全県を対象としたBCPの普及促進に取り組んでいきたいと考えています。

帝国データバンクの調査によると、このBCP策定というのは、スキル、人手、時間といった要素がハードルになっていると言われています。資料作りに終わってしまって、なかなか実践的に使える計画にすることが難しいという声や、自社のみで策定しても効果が期待できないという声も多いという統計もあるそうです。BCP策定支援融資の関係で言いますと、実践的に取り組めることと、例えば数社でBCPを策定していくということ、この2つが理解されていくと、まだまだBCP策定が進む余地があるのではないかと思います。
帝国データバンクのデータを見ますと、潜在的に策定の意向がある企業はあると示されており、大企業なども入っていますけれども、潜在的には全国平均で5割ぐらい達しているというデータもありますので、まだまだBCP策定に取り組む余地は充分にあると思います。今後もしっかりと働きかけていただきたいと思いますし、融資についても事前の備えにつながるという意味で、合わせて進めていただきたいと思います。
神奈川県議会議員:佐藤けいすけ